BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

優しい世界 第2話

2024年04月29日 | ハリー・ポッター生存IF捏造パラレル二次創作小説「優しい世界」
ハリー・ポッターの二次小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

二次創作が嫌いな方はご注意ください。

葬儀から暫く経った後、ハリー、アルバス、そしてシリウスとリーマスは遺品整理の為にスネイプの家に来ていた。
家の中は、整理整頓されており、本棚には彼の蔵書が隙間なく詰まっていた。

「片づけようにも、余りに綺麗過ぎて何もする事がないね。」
「そうだな。」
シリウスがそう言いながらスネイプの本棚を漁っていると、一冊の本を彼は見つけた。
「シリウス、それは何?」
「セブルスのレシピ本だ。“半純血のプリンスのレシピノート”か。奴らしいタイトルだよな。」
ハリーとシリウスが、セブルスが遺したレシピ本を見ていると、ハリーの好物である糖蜜パイのレシピのページに、“あの子の大好物”と書いてあった。
それを見たハリーは、涙が止まらなくなった。
「父さん、大丈夫?」
「ちょっと、外の風に当たって来るね。」
ハリーはそう言うと、スネイプの家から出た。
(もっと、色々と話したかったな・・)
今まで、沢山の死をこの目で見て来た。
だが、スネイプの死はハリーにとって余りにも辛く、悲しいものだった。
長年の確執が消え、漸く家族ぐるみの付き合いが出来ると思っていた矢先に、彼は逝ってしまった。
(会いたいなぁ・・)
「少しは落ち着いたか、ハリー?」
「はい。」
「糖蜜パイを作ったから、食べよう。」
その日食べた糖蜜パイは、少ししょっぱかった。
「そういえば、思い出したよ。ゴドリックの谷にあるジェームズの家に遊びに行った時、出された糖蜜パイが美味しかったなぁ。後でリリーに聞いたら、あのパイはセブルスの手作りだったんだ。」
「あいつに、意外な特技があったんだな・・」
「レシピ本の厚さを見る限り、セブルスは相当料理好きだったんだろうね。」
リーマスはそう言うと、紅茶を一口飲んだ。
「ねぇ、このレシピ本、僕が貰ってもいいかな?」
「あぁ、あいつも喜ぶと思う。」
「そうだよね。」
ハリーがアルバスと共に帰宅すると、ドビーが玄関ホールで二人を出迎えた。
「お帰りなさい、アルバス坊ちゃま。」
「ただいま、ドビー。君に、渡したい物があるんだ。」
ハリーはそう言うと、ドビーにスネイプのレシピ本を手渡した。
「この方は、あのセブルス=スネイプ様の・・」
「ドビー、スネイプ先生を知っているのかい!?」
「はい、存じておりますとも!この方はドビーが最も尊敬している料理研究家です、ハリー=ポッター!」
ドビーはキーキー声でそう言うと、スネイプのレシピ本を胸に抱えた。
「ありがとうございます、ハリー=ポッター!」
「そんなに感激しなくても・・」
「お帰りなさい、ハリー。」
「ただいま、ジニー。」
「さっきドビーがスキップしながらキッチンに入っていったけれど、何かあったの?」
「スネイプ先生のレシピ本をドビーにプレゼントしたんだ。」
「スネイプ先生の新刊を!?それはドビーが泣いて喜ぶわね!」
「ねぇ、スネイプ先生は、そんなに有名なの?」
「えぇ。先生は、毎月“週刊魔女”にお菓子のレシピを載せていたわ。」
「へぇ、初耳だな。」
「ヘドウィグの介護食も、スネイプ先生のレシピ記事に載っていたのよ。」
「そうだったのか。」
「ねぇハリー、わたし今日聖マンゴに行って来たんだけれど・・妊娠三ヶ月ですって。」
「本当かい?」
「ええ。」
ジニーはそう言うと、嬉しそうに笑った。
「ねぇ、子供達にはいつ話す?」
「今日話そう。良いニュースはみんなに広めるべきだ。」
ハリーはその日の夜、ジェームズとアルバスにジニーの妊娠を告げると、二人は大喜びした。
三人目は、ジニーに良く似た、愛らしい女の子だった。
「可愛いわね。」
「そうだね。」
女の子は、リリーと名付けられた。
「ヘドウィグ、リリーだよ。これからもよろしくね。」
ハリーがそう言ってヘドウィグにリリーを見せると、ヘドウィグは嬉しそうに鳴いた。
そして遂に、“その日”が来た。
「ヘドウィグ、大丈夫だよ、僕がついているからね。」
 ハリーがそうヘドウィグに呼び掛けると、彼女は白い翼をはばかせながら、大きな声で何度も鳴いた。
ハリーが窓の方を見ると、白い影のようなものが居た。
(もしかして、エロール?)
エロールは、ヘドウィグととても仲が良かった。
だから―
「ヘドウィグ、良かったね。エロールが迎えに来てくれたよ。」
ハリーがそうヘドウィグに話し掛けながら彼女の頭を撫でると、彼女は静かに息を引き取った。
すると、窓際に居た白い影は、何かを連れて闇の中へと消えていった。
「ヘドウィグ、これからは自由にお空を飛べるね。」
「そうだね。」
ヘドウィグの葬儀は、はりーの家族や友人達で行われた。
「寂しくなるね。」
「ええ。」
ハリーは、ヘドウィグを亡くしてから暫くして、空の鳥籠を見ながらボーッとする時間が多くなった。
ロンがエロールを亡くした時に漏らした言葉を、ハリーは実感する事になった。
(これが、“ペットロス”か・・)
「ハリー、どうしたの?」
「何だか、ヘドウィグが亡くなってから急に疲れやすくなったんだ。」
「あなたに必要なのは休養よ。ヘドウィグは、あなたの人生の相棒だったもの。」
「ジニー、ありがとう。」
ハリーはそれまで激務に追われた分、有給休暇を取り、暫く休養する事にした。
ハリーは休暇の間、子供達を遊んだり読書をしたりして、徐々にヘドウィグを亡くした悲しみから癒えていった。
時は経ち、ポッター家の長男・ジェームズが11歳の誕生日を迎えた。
「おめでとう、ジェームズ!」
「ありがとう、父さん!」
「ホグワーツに行けるのね、お兄ちゃん。いいなぁ。」
「リリーもいつか行けるさ。」
「ジェームズ、くれぐれもネビルに迷惑を掛けないようにしてね。」
「わかっているよ、父さん!」
(本当に、わかっているのかなぁ?)
ジェームズ=シリウス=ポッターは、その名の通り悪戯ばかりしてハリー達を困らせている。
シリウスから最近、学生時代の思い出話を聞いたことがあるが、それらは少しというかかなりドン引きしてしまいそうになるものばかりだった。
(どうしよう・・)
「ジェームズが、ホグワーツで問題を起こさなければいいのだけれど・・」
ジニーの言葉を聞いたハリーは、思わず笑ってしまった。
「どうしたの、ハリー?」
「いや、僕も同じような事を思っていたから、君が先に口に出したから、つい・・まぁ、ホグワーツにはネビルが居るから、何とかなるさ。」
「そうかしら?」
長い夏休みが終わり、ハリー達はキング・クロス駅に居た。
「いいなぁ、僕達も行きたい!」
「そんなに焦らなくても、アルバスはあと二年待てばホグワーツに行けるよ。」
「でも、そんなに待てないよ!」
9と4分の3番線のホームには、ホグワーツ入学を間近に控えた子供達とその保護者達が集まっていた。
「気を付けてね!」
「行って来ます!」
ホグワーツ特急がキング・クロス駅から発車した後、ハリー達はブラック邸に立ち寄った。
「ハリー、良く来たな!アルバス、少し大きくなったか?」
シリウスはそう言うと、ハリーとアルバスを交互に抱き締めた。
「シリウスおじさん、話があるんだ。」
「その顔だと、ジェームズの事かな?」
「うん。」
「父さん、僕は母さんとキッチンに居るよ。」
ハリーはシリウスと共に彼の部屋へと向かった。
「それで、俺に話したい事ってのは、ジェームズ坊やが、ホグワーツで問題を起こさないだろうかって、心配しているのか?」
「うん。父さんとあの子は違うけれど、何だろうな・・少しヤンチャな所が、隔世遺伝したみたいで・・」
「まぁ、それはわかる。だからと言って、ジェームズ坊やが問題を起こすと決めつけちゃいけないよ。」
「そうだね・・」
シリウスにジェームズの事で相談したハリーは、晴れやかな気分で帰宅した。
だが―
「ジェームズが校長室に忍び込んで、グリフィンドールの剣を盗もうとしたって!」

歴史は、繰り返される。


コメント    この記事についてブログを書く
« 優しい世界 第1話 | トップ | 優しい世界 第3話 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。