カミノアナログ

POGに命を削る日々を綴る「紙の穴」ブログ編。ドラフト終了までは日当たりアクセス100以下に抑えたいんで、ご協力よろ。

2頭併せの遅れた方

2010-07-01 | pog-strategy
(※ 最初に書いておくが、この記事はPOGで負けがちな人は読まない方がいい。
基礎のできた中級者以上向けの内容になっており、基礎のかたまっていないPOGプレイヤーにとっては、読むことでかえってフォームを崩す恐れがあるからだ。
自分はすでに勝ち組で、しかももっともっと勝てるようになりたいと思っている、そんな人だけ読んで欲しい。)


POGにおいて、ゲームに習熟し、コンスタントに勝ち組に入れるようになった頃、忘れがちなことがある。

それは、他人と違う視点を持つことの価値。
常々俺が言っている、「人の行く 裏に道あり 花の山」というヤツだ。

昨年でいうと、栗東・坂口正則厩舎にツルマルジュピターエーシンダックマンという2頭の早馬がおり、ドラフト前から好調教で有名だった。どちらを取るか1年前に悩んだ人も多いと思う。
じつは俺もそうだった。配合には両者とも見所があり、どちらを取るかの判断が本当に難しかった。

しかし5月27日の併せ調教で、後者が遅れを見せると、評価に大差がつく。
ツルマルジュピターは、サークルによってはドラ1級の人気となった。POG自動集計の人気ランキングを見ると、ツルマルジュピターは416グループで281回の指名、世代の33位につけた。
一方エーシンダックマンはというと、113回の指名、世代の100位となっている。

この様子をリアルタイムで観察していた俺は、最終的に私撰馬としてエーシンダックマンを採用し、ツルマルジュピターを外した。
フツーとは逆の手を選んだわけである。

当時、俺はこう考えた。

調教で優勢かつ遅生まれのツルマルが人気でまさっているが、血統的な伸び代ならむしろエーシンに分がある。
ツルマルの加速力と、エーシンの粘り、タイプは違うがどちらも一介の早熟馬ではない。
2頭の配合評価はほぼ同等。
 ↓
ツルマルが本当にすごければ、それと同等に見込まれ併せていたエーシンの能力も保証される。
仮にエーシンが他の2歳馬と併せていれば、チギリ捨てて過剰人気になった可能性が高い。
そう考えるとエーシンの人気の落ち方は極端すぎる。
 ↓
ならば中位で取れるエーシンの方がウマイ。

はたして実弾戦ドラフトでは、ツルマルは1位で25人中4人競合となり、エーシンは3位で単独指名だった。
俺は4位で指名予定だったのでエーシンを指名しそこねたが、ツルマルに突っ込むよりはエーシンの方を狙って正解だったと改めて思った。

1年後、2頭はともに3勝をあげ、4722万円と4683万円というほぼ同じ賞金を稼いだが、ツルマルの3勝目はダービーの翌週であったため、ダービールールでは3294万円獲得となり、エーシンの方が上になった。
上位でツルマルを指名していた人にとっては、かわりにエーシンを取っていれば上位でもっと人気の馬に突っ込めて、賞金もより多く稼げたことになる。

多くのPOGプレイヤーは、こうした現象を結果論と笑い飛ばしながら、毎年同じことを繰り返す。

お前それで良いのか?(ブロント様)


たしかに、単に調教時計だけ、厩舎やラインだけ、父や母父の名前だけ、脚が何本あるかだけを見ていると、何回繰り返しても2頭のうちツルマルジュピターに飛びつく癖をなおすことはできないだろう。

じゃあ・・・いやいや、誤解しないでくれ。
俺は何も、類似品がいたらいつでも人気のない方を指名すべきだと言っているわけではない。
競馬ではよく「2頭出しは人気薄を狙え」というが、これも2頭の力関係とオッズを適切に判断できてこその狙い目。2頭出しを見るたびに人気薄を買っていても、回収率は絶対に上がらない。

大切なのは、他人と違う視点、それでいて確実に使えることが実証されている視点を持つことだ。
ツルマルとエーシンは本当に人気ほどの実力差があるのか?
それを判断する物差しを自分の中に持っている人は、人気をむしろ武器に換えることができる。
俺の場合は配合分析だが、もちろん別な物差しだってかまわない。
その中身が、他人にはないもの、予想されないものであって、ツールとしての実用性・信頼性が備わっていさえすればいいんである。
・・・いっそ、逆に考えてみよう。
ツルマルとエーシンのように、よく似たタグがついている類似品同士ほど、君の持つツールの実用性・信頼性を確かめるのにふさわしい標本はない、と。


今年の2歳なら、ホーマンフリップホーマンルッツがちょうどいいか。

いずれも父フジキセキで、母父はDeputy Minister直仔。よく似た血統構成だ。
同じ馬主の所有で同じ栗東・安田隆行厩舎に早期入厩し、開幕開催を狙っていた。
ただ、ノーザンF生産でG1-2着馬の半妹である前者は、牡馬とはいえ預託生産馬しかも初仔である後者より、メディアで取り上げられる機会は多かった。
昨年のツルマル対エーシンと違い、人気は最初から傾いていたわけである。
しかし、前者が後者に2頭併せで先着した途端、人気の振り子は一方に振り切れた。

POG自動集計の人気ランキングにはツルマル対エーシン以上の差がついている。
前者は現在312グループ中指名回数211回、全体でも32位につける人気。
後者はなんと指名回数4回、全体では500位以下だ。
フリップとルッツは、本当にこの人気ほどの実力差があるだろうか?

俺は、2頭の配合評価をほぼ同等としていたが、人気を見て迷いなく後者を私撰馬とし、実弾戦でも最下位指名した。

2頭の評価を、単に露出の多寡や人気の比例でフリップ>>>ルッツとしていた人は、自分のツールを再点検してみてはどうだろう。
ひょっとしたらその先に、まだ見ぬ地平が広がっているかもしれない。