ユーラシアの風~2010年・自転車による単独ユーラシア大陸横断記

2010年・自転車による単独ユーラシア大陸横断記

東洋のピラミッド-銀川・西夏王陵

2010年06月07日 | 中国(2)呼市→西寧
今日は久しぶりにオフ(走行なし)。
路線バスを乗り継いで向かった先は…


○西夏王陵(さいかおうりょう・シーシアワンリン)

ここは寧夏回族自治区の首府・銀川市。
写真の西夏王陵は、町の中心から西へ40分、約35km。

この地は昔(11~13世紀頃)、西夏という国が栄えていた。
その歴代皇帝が作らせた陵墓がこの西夏王陵である。
当時は八角形の柱だったのが、約1000年の時を経て風化し、
現在のお椀のような形になってしまったとか。
周辺には、同じような形をした大小さまざまな陵が点在している。



○漢字と似ているが明らかに違う西夏文字。




とはいえ、銀川市内は開発の槌音高く、
おホテルやマンションと言った高層ビルの建設ラッシュ。
メインストリートには新しい自動車があふれ、
地方ではオンボロが多いバスですら、エアコン付きの新車。
繁華街を歩く人々の中に、回族を現す白い帽子をかぶった人はいなかった。



20年前はたった19万人しかおらず、そのほとんどが回族だったとされる
この街はいま、流入し続ける漢族が多数派となり、人口も150万人に
達しようとしている。
メインストリートを歩いただけでは、典型的な中国の都市といった風情で、
銀川特有の回族らしい風景…といったものには巡りあえなかった。


どうでもいい話ですが、西夏王陵は慎吾ちゃんの
「西遊記」ロケ地だそうで…。へぇ。


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蒙古→回…文化圏が変わります

2010年06月06日 | 中国(2)呼市→西寧
内モンゴル西南部から寧夏回族自治区に入ると風景は一変する。





極端に乾燥したステップ地帯から、一面の緑の世界へ。
街路樹からもれる木漏れ日がさわやかだ。

ここ寧夏回族自治区は、昔「西夏」と言う国(後述)が栄えた地。
一説では旧石器時代から5000年にわたり、黄河の水を灌漑し、
農耕を続けてきたとか。

西夏の時代は仏教が信仰されていたが、今この地域には
「回族自治区」という名がついている。
回族(ホイズー)とは、イスラム教徒のことで、
イスラム教のことを中国では回教という。
といっても、普段着の外見だけでは全く区別がつかない。
信じるものが違うから、異なる民族に属する…
日本人には想像しがたい概念だ。



○食堂は「清真料理」という、豚肉を使わない店が目立つ。
 清真料理を出す店の看板は、緑色が多い。


○内モンゴルの看板で見られたモンゴル文字(鎖のようなもの)は、
 省境から僅か10km来ただけでで全く見なくなる。(写真は烏海市)


○モンゴル族MTBサイクリスト現る。彼は中国一周。
 内蒙古師範大学のスポーツ特待生。
 名刺には「山地車騎手」とある…カッコいいじゃねぇか。
 ものすごいスピードでウルムチへと向かっていった。


○モンゴル料理店の夫婦。モンゴル族はやはり日本人と顔立ちがそっくりだ。
 彼らも親近感を抱いていたみたいで、お茶葉やライター、
 布など色々持たせてくれた。ありがとう。

内モンゴルの皆さん、お世話になりました。



○寧夏に入ってペンル県。町の中心には回教ではなく道教の寺院が建っていた。
 漢族の多くは道教を信仰する。


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黄河を越える!

2010年06月05日 | 中国(2)呼市→西寧
バインノール市郊外。この日は初めて黄河を渡る。




川幅は、思ったほどではない…と言いつつ、
河口からはすでに2000キロ近く離れている。
ちなみに、日本で一番長い信濃川の全長は367キロ。
世界で5番目・こちらの黄河は5,464キロ。
…。

橋のたもとは、微妙に観光地化されていた。
デートスポットなのか?
展望塔の上には、日本でよくあるこんなものも。




というより、この展望塔自体がこんな形だったりする。


…おいおい。


そして今日も肖は写真撮影をせがむ。
一箇所で3ポーズなんてざら。
そんなに撮ってどうする?

中国人はみんな本当によく写真を撮る。
たまに観光地で撮ってもらっている姉ちゃんのポーズも
なかなかモデルライクで笑える。
そういうのは外見が伴わないとイタいです…
というのは日本人的な感覚なんだろう。

というわけで、あまりにもうっとうしいので、
一日20カット限定ルール成立。
(但、こちらの機嫌のいいときはこの限りではない)


○TITANIC!!(知ってた)
 飯屋のテレビではBack to the futureやってた。
 ハリウッドすげぇ!



○朝は新聞取材。肖の後、筆談で応じる。
 地方紙のローカルネタだったらしく、結局記事は手に入らず。
 笑えるのが、写真撮影のときこの記者が一緒に入ってきたこと。
 2人だけのカットは撮らなかった。ただの記念写真か!


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ここに泊まらせてください!

2010年06月03日 | 中国(2)呼市→西寧
ウラト前旗という街で、旅社(地元民向けの宿泊所)の
おばちゃんは食い下がる。
「不可以、政府規定」(決まりだから、ダメ!)
こちらも粘る。
「大酒店、太貴了」(ホテルは高すぎます!)
しばらく睨み合い、周りのおじさんたちが面白がって
助け舟を出してくれる。
おばちゃんは折れたが、今度は「複印が必要」と言い出す。
そんなもの聞いたことないと応戦するも、今度はなかなか折れない。
周りの人も、それが何なのか説明してくれるが、
いまいちよくわからない。

「だからそれがねぇと、ヤツらがきたときに…」
「ヤツら…そう、ポリだ、ポリ!」
…と言っているところにポリ登場。
すばらしすぎるタイミングに、思わず吹き出してしまった。
(そして、中国語でも『ポリ』って言うんですね)

おばちゃんは筆談の紙切れを見せて、必死に弁解している。
「だからわたしゃダメって言ったんだけどこの人が…」
お巡りさんは、自転車を見て、
「天津から、これで新疆まで行くの?」と言いながら、グーのポーズ。
一同爆笑。


結局、わざわざ公安局へ滞在登録しに連れてってくれるようだ。
近くの交番から、車に乗せられる。初連行。
お巡りさんも、シートベルトはしない。
彼は日本語での自己紹介と数字の1から10を披露してくれた。
こちらも中国語で応戦。
そういえば、内蒙古に入った頃はまだ自己紹介をメモに書いて
渡していたけど、いつのまにか要らなくなっている。

肝心の車はまともに動かない。エンスト頻発。これで犯人を追えるのか?
しかし、本庁は外観も、中も床までピカピカ。
滞在登録は役場みたいな窓口で、お姉さんの対応。
終始大変友好的。


宿に戻って、向かいの食堂でご飯を食べていると、
宿の主人がやってきて手招きする。
表へ出ると、見慣れた自転車。
あっ、肖だ!

旅の神のいたずらか?ネタ投下のプレゼントか?
まだまだチームの旅は続くようです。



○現場の宿です


○あなたは本当に本当のキティちゃん?
 それより下のルイヴィトンの布団シーツ…あってたまるかw


(補足情報)
法律上では、外国人が三ツ星以下のホテル、招待所、旅社に宿泊する場合、
毎回管轄署でこのような手続きが必要なんだとか。
ちなみに、運悪く未登録で公安の巡回に遭うと罰金刑。
数年前の旅行記だと形骸化していて全くノータッチと書かれているが、
少なくとも今回、都市部のビジネスホテルや田舎の安宿でも
3分の1くらいの確率でこの規定により断られてしまっている。
状況が変わってきている。
(泊まれてしまう場合はおそらく、宿屋が規定の存在を知らない)
中国内蒙古方面を貧乏旅行する予定のある方は要注意!


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早くもチーム解散?(2)

2010年06月02日 | 中国(2)呼市→西寧
この日は珍しく猛烈な追い風。
内蒙古に入ってから、向かい風に随分苦しめられてきたから嬉しい。
30キロ近いハイペースで走れる。
しかし、30分、1時間…走れども走れども、彼の姿は見えない。
おかしい。彼がこんなペースで走れるわけがない。

正午を回り、村の超市(地元の商店)で彼の携帯に電話して
私の現在地を教えてあげてほしいと頼む。
地名がわかっても、正確に発音できないし、
いつも筆談の彼の言葉を聞き取ることはできないからだ。

店の若い男の子が、心配そうに対応してくれる。
電話はつながらない。
居合わせた村人の一人が、同じような自転車に乗った人が
「昨日」通ったと言った。人違いだったか。

少し待たせてもらうことにした。
遊びに来ていた女の子が、バナナと飴を分けてくれる。

1時間経った。彼はまだ来ない。
電話もつながらない。

肖はどうしているだろう。自分より後を走っていると認識していたはずだから、
「待っても来ない=迷子になってる」なんて思ってるんだろうか。
街へ引き返して探してくれたりしてるんだろうか。
いや、普通にこっちに向かって走ってるのか。
しかし、街から来たというドライバーは「見ていない」と。
…やっぱり先に行ったのか。

もう、考えていても仕方ない。
この追い風も無駄にしたくない。
前に進もう。

でも、頭の中はすっきりしない。
程なくして、市境のモニュメントが現れる。

肖なら絶対写真撮るんだろうな…なんて思ってると、
なんだか彼に悪い気がして、もう少し待つことにした。
1時間待って来なかったら、先へ進もう。
別に一人でも旅は続けられる。
会ったのも、何かの偶然に過ぎないのだから…。
思えば、あの忌まわしい向かい風が、二人を引き合わせた。
今、猛烈に吹くこの追い風が、二人を遠ざけていくのなら、
それはきっと旅の神様の思し召し。それに従おう。
また会う必要がある運命なら、きっと会えるだろう。
ちょっと唐突な別れだけど…

元気でな!肖!!



○超市とおばちゃん(文中の場所ではありません)


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早くもチーム解散?(1)

2010年06月02日 | 中国(2)呼市→西寧
この日は出発後すぐに市街地を抜ける…と思いきや、
肖は道を聞きまわり、教えられた国道へ向かってまっしぐら。

待て待て!国道は環状線だから、かなりの遠回りを強いられる上に、
その存在自体が危険な大型車と、連中が鳴らしまくるしつこいクラクションと
巻き上がる砂埃がもたらす視界不良と呼吸困難で、地獄絵図必至!
なんとしてもそのルート選択は阻止せねば!!
(※中国の大きな町は、大体市街地へのトラック乗り入れは禁止されています)

大げさなジェスチャーと地図を見せて、何とか説得。
基本的に肖はあまり地図を見ない。
というか、彼の持っている地図が大雑把過ぎる。
そして人によく尋ね、言われたことを素直に信用する。

一方、言われたとおり行ってひどいことになるより、自分で決めて
ひどい目に遭う方が諦めがつくと、地図と自分の勘しか信用しない自分。
(もちろん、人に尋ねて得たことも判断材料にはします)
言葉の壁があるとはいえ、行動は対照的だ。


大きな町の市街地を抜けるとき、最後は結局国道に合流するのだが、
そういったところはトラックの基地が多いので案の定、道は荒れている。
立ち上る砂煙と、入り組んだ道路。
まずいぞと思った。
先に行ってもらったはずだが、一向に姿が見えない。
やっぱり。はぐれてしまった。

彼は遅いので、併走することはまれだが、一本道なら大丈夫。
先に行ってもらっていても、すぐに追いつく。
しかし、今日は違う。何度も曲がっている。
こんなことなら馬鹿正直に国道走ってれば良かったかなと思う。

沿道で仕事をしている人に、同じような自転車の旅行者を
見なかったか聞いてみると、皆「先に行ったよ」とジェスチャー。
それを信用し、追跡を開始する。



○立派な道路も、突然こんなふうになったりする…
 一面沼。よけ方を知らず水没。ならぬ、泥没…。
 肖は平気だったりする。さすが現地人。


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