おでんの恋しい季節となりましたね。
昔はね、そんなに好きじゃなかったんですよ、おでん。
でもいつの頃からか、時々堪らなく食べたくなる時がある。
そしておでんを作る度に、思い出すことがある。
これは、約10年前、息子が結婚して家を出て行く時に、はなむけの言葉として贈った、自作の一冊の本「息子へ」から一部抜粋したものです。息子が幼い頃からの色々な出来事を思い出し、取り留めの無いことを綴った文章。言葉使いが悪く、お見苦しい箇所もあるかとは存じますが、名前の部分を仮名にした以外は、原文のまま掲載いたしました。宜しかったらお付き合いください。
今も我が家で語り継がれている?事件がある。
そう言えばわかるよね。
そう「たこ食った事件」
あれはおまえが確か小学4年か5年の時だった。
フルタイムで働いていた私は、
翌日の夕飯のために
夜遅く「おでん」を煮込んだ。
いつもいれる訳ではなかった「たこの足」は、
その時きっと近くのスーパーで
安くて美味しそうなのが見つかったんだね。
1本の足を半分に切って全部で15切れくらい入れた。
みんな大好きだったから。
事件が発覚したのは翌日の夕飯時。
私「あれ?たこ、3本しかないけど・・・、誰が食べたの?」
姉「食べてないよ」
おまえ「しゅ、しゅん(仮名)だって食べてないよー」
・・・・・・・んな訳ないじゃない。
こういう時、
問題が解決するまで
食事できないんだよね、我が家は。
でも、おまえはあの時、
必要以上に抵抗し否定した。
叱られるのが嫌だったんだろうし、
そして
少しばかり小狡く?成長したんだろう。
「ままはどうしてお姉ちゃんの言うことだけ信じるの?
しゅんが食べてないって何度も言ってるのに、
最初からしゅんのこと犯人あつかいじゃないか。
こんなに一生懸命言ったってしゅんのことは信じてくれないじゃないか。」
青春ドラマよろしく
涙ながらに熱く語った。
思わず私はおねぇに目配せした。
「そっか、ま、仕方ない」
「そーだよ、まま。誰かがこっそり忍び込んできて
たこだけ食べて出て行ったのかもしれないじゃん」
・・・・・・んな訳もないよね。
あの夜、
おまえが眠ってしまった後で
私とおねぇは話し合ったんだよ。
「あいつも姑息な真似覚えたね。」
「あれが通用すると思ってるところがまだガキんちょだけどね。
食べるの5本くらいにしとけばバレたりもしないのに!」
「でも今回は、あそこまで言っちゃって
引っ込みもつかないだろうし、不問に付すか。」
「仕方ないね、様子見ようよ。」
(おまえと実年齢1歳半、精神年齢10歳以上は離れていたおねえって、随分昔から頼りになった)
おまえが中学生の頃、
おねえが聞いたことあるよね。
「ねぇ、たこ食ったのおまえ?」
「食ってねぇって言っただろ!しつけーなー!!」
(激しくキレてガンを飛ばす)
・・・・・・やっべっ、まだだ。
そして高校生。
「ところであの時のたこ、おまえ?」
「・・・うん。」
「まーま―!認めたよ~!!たこ食ったって!!!」
私もおねえも嬉しかったー。
だって、やっとおまえが大人の仲間入りしたかな、って思えたから。
その後も思い出したように
「たこ、美味しかった?」
「一回謝っとく?」
今も時々いじめられるよね 笑
でも、あれはおまえにとって、
学ぶべきこと満載だった。
人間って、成長の過程で、
信じられないような言動をとる。
そして、
人はみんなそれを誰かに許してもらいながら、
また成長していくってこと。
いくつになっても、だよ。
勿論、私にとっても
とても勉強になった出来事だった。
とまぁ、駄文ではありますが、改めて読み返してみると、とても懐かしい気がいたします。そんな息子も二児の父。
こうやって、許して貰って大きくなったんだよ。
お前は子供たちのことを、ちゃんと許せてるかい?
ポチ、ありがとうございました~

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