今から6年前の2009年7月6日。
娘と二人「学問」新刊発売記念のサイン会(青山ブックセンター六本木店)に作家「山田詠美さん」のサインを頂きに。
本好きで、少なく見積もっても年間100冊くらいはコンスタントに読み・・・かれこれ・・・
えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
今まで計算したことなかったけど、30年で3000冊!?
(積み重ねの数とは恐ろしい。そして数以外、殆ど何も積み重なっていないことが一番恐ろしい)
たくさんの作家さんの中で、私にとっては敬愛、いや、崇拝していると言っても過言ではない詠美さん。
その詠美さんを初めて目の当たりにして肉声を聞き、握手をしてもらい、新刊にサインしてもらった興奮冷めやらぬ夜。
サイン会の後、六本木の多国籍料理店で娘と二人祝杯をあげ、ごっきげんで帰路につきました。
自宅マンションの敷地に入ろうとしたその時、
「あれ?まま、何か聞こえない?」と娘。
マンション脇の、車が往来する道路の隅っこで
それはそれは小さな声で
「みぃ~、みぃ~」
動物好きの娘は、すぐに走り寄って抱き上げました。
片手にすっぽり収まった、まるでハムスターのような子ねこ。

私の動物嫌いを知っている娘は
「ここにいたら車に轢かれちゃうかもしれないでしょ?
だからマンションの公園の草むらに連れて行くだけだから」
そう言って公園の芝生にそっと寝かせました。
「ウチじゃ飼えないんだから仕方ないよ」
「まま、動物無理だから」
それでも心のどこかで
「目、つぶれちゃってるよなー。このままだと死んじゃうのかな、この子」とちょっと憂鬱な気分で帰宅。
ところが家に帰ってからも気になって気になって、
「そ、そうだ。ゴミ捨て行かなきゃ。
ついでにまた道路に出てないか、見るだけ見てみようか」
(道路まで数十メートルあるので自力で出られる訳はない)
マンションのエレベーターの監視カメラに映らないよう
ミルクを隠し持って娘と二人・・・。
当然芝生の子ねこはさっきのままで。
そっと抱き上げ、ミルクを飲ませようとしたけどちっとも飲もうとしない。
首根っこ捉まえて無理やり口をミルクにつけたって飲む気配なし。
(あたりまえだーーー!馬鹿野郎!!)
どうしよう。

途方にくれながら一旦帰宅。
やっぱりどうしても気になる!!
再び芝生に戻る。
後で聞いた話しだけど、この時、さすがの動物好きの娘も
余りの子ねこの衰弱ぶりを見て(目は潰れ可愛いとは程遠い生き物ではありました)
「可哀想だけど、ちょっと気持ち悪いって思っちゃった…」

けど、やっぱり動物好きだった!
「明日、病院連れて行く!」
「誰か飼ってくれる人探す!」
「だから、今日はこの子連れて帰ろう!このままだと死んじゃうよ、まま!」
「絶対だからね。ウチでは飼えないから!絶対飼う人探してね!」
「名前とか付けちゃダメ。情が移っちゃうから。名なしのごんにゃね」
血も涙も無いセリフを平然と吐く私。
こうして我が家に一歩足を踏み入れたごんにゃは
ねこに興味も無く、ねこを育てたこともない、無知で愚かな飼い主にとんでもない目にあわされる運命に突入。
チーーーーーン!
