徳利と言えば、てっきりお酒を入れておくものとばかり思っていた。
映画やドラマで、酒におぼれた飲んだくれ親父に「おい、酒、買って来い!」と子供が徳利を持って使い走りされる場面が、私の脳裏に焼きついているためなのかもしれない。
この徳利は、表面に味醂(みりん)と白化粧土で盛り上げて書いてあり、その反対には「中西」と屋号が記されている。約30年前にそれを購入した近くに中西酒店が存在しており、お客は容器を持参して買い求めたようだ。
この間、名古屋市内を歩いていたら、「量り売りできます」という看板の酒店のあり、私は懐かしく思った。
情報や物流が発達していない時代では、すぐに生産地がわかり、作り手の顔も見えてくる。農産物、生活雑貨、家具、家造りだって同じだ。
使い捨ての時代とは、程遠い世界だ。
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