同じ過ちは繰り返したくない…
「ねぇ私が再婚しちゃったらどうする?」
花火の音に紛れて ふと彼に訊ねてみました
『美月は結婚しないよ』
「どうして、そう思うの?」
『愛の許容範囲が少ないから』
「そうね・・貴方のように
器用に生きられないかも知れない」
皮肉たっぷりに応えてみた
『それは少し違うかな…』
花火の音と雑踏・・
遠くで雷鳴も聞こえるなかで
めずらしくゆっくり言葉を探しながら
彼が語り始める
幼かった君の誘惑がなかったとしても
俺たちは始まってしまっていたんだ
花弁舞い散る下で父君に連れられて
深紅の和傘に映える白過ぎる肌色の手で
俺の髪にのった花弁に触れた瞬間に
瞳をそらすことさえできなくて
その手に重ねてしまった…
そこだけが鮮明過ぎて何度も夢に見る
何十年の月日が経っても
ともに活きられなくても
きっと愛してしまうだろうって
魂に感じた瞬間だった
それから何度も夢の中で美月を抱いた
今も変わらずに夢中で
美月を抱き続けているから
君は他の人を
受け入れられなくなってしまった
俺たちは夢が繋がっているからね
潜在意識下で繋いでしまったから
身動きできないんだよ
揺れ動ける範囲が至極少ないんだ
「貴方は動けるのにね・・」
責めるつもりはなかったけれど
哀しげな薄い茶色の瞳に傘を差し掛けると
手を重ねながら薬指にキスをして
『俺が寂しくなるからどこにも行かないで・・』
同じ過ちは二度と繰り返さないし
誰も傷つけたくないからひとりで活きる
「そう、わたしはひとりでも
活きられるから大丈夫・・心配しないで」
『俺の罪は俺が償うから
もう一度、奪い返す手間を省いてくれ』
花火の煌めきから逃れるように
傘に隠れてキスをした
一生、敵うことはないだろう
この恋と同じく叶わない…
愛しすぎて守りたいと願うこの想いは
何処からきて何処へ向かうのでしょう
浴衣の脇からスッと手を挿し入れながら
『夢の中へ還ろう…』 と声がかすれた
うつむきながら ゆっくり首を振る
来年の花火こそ貴方は
隣にいないかも知れないから
その瞳に映る花火を
もう少し見ていたいの
*ぽちっとお願いします*
切ない不倫の恋.☆。:*・° |
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