壊れたオト

 

 

 

明け方に一度だけ鳴るオルゴール割れた硝子の傷震わせて

 

 

 

自転車

 

 

遠くから近づいてくる自転車に目を凝らしてた春の陽だまり

 

 

　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

 

 

無常

 

 

 

絢爛も無常な末路に遵ひてそぞろ流るる春の桃色

 

 

 

 

 

 

 

 

紅い舌先

 

 

 

ぎこちなくこじあけられてゆく銀のスプーン触れる舌先の紅

 

 

 

かなしみ色

 

 

 

繰り返すかなしみ色の約束は壊れたおもちゃのピアノの音で

 

 

 

無邪気な罠

 

 

 

チューリップうつむき気味に開きたる無邪気なくちびるその奥の罠

 

 

 

 

ＣＲＡＹＯＮ

 

 

 

 

クレヨンの巻紙剥がれ指先にオレンジ色の夕日が映る

 

 

あだばな

 

 

 

 

実を成さぬ徒花なれど薄桃が零れますゆえ抱いてください

 

 

昨日の夜で今年の桜、私は見納めかも・・・

 

 

櫻、桜、さくら・・・

 

 

 

みづいろの空が桜を透かしこむ何もかも知っているんだと、ほら・・・

　

 

　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

 

　　　　　　　　　　　　　　　

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　満開の同じさくらを見上げてる輪廻転生深く感じて

 

 

　　　　　　　　　　　　　

 

 

儚げな運命背負いし櫻花ひらり散り際こころを咲かす

 　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　

 

 

ヒナゲシの花

              

　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　 

 

やさしさがゆっくりほどけてゆくように 

　　　　　　ぼたんをはずすひなげしのはな

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

 

 

ネコヤナギ

 

 

 

 

もういいよ・・あなたにそっと告げたくて春を呼ぶ声　銀のビロード

 

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊写真はてっぴさんよりお借りしました＊

理由

 

 

 

 

走り続けて息が切れても止まれない理由も意味もこのヒトのため

 

 

時間よ止まれ・・・

 

 

 

 

時はいつも待ってくれない追いついて立ち止まりたいこともあるのに

 

 

遠近感

 

 

 

 

すぐそこに見えているのに本当は手の届かない距離感のふたり

 

 

 

ゆびきり

 

 

 

約束を守ってほしいわけじゃないゆびきり小指ただ触れたくて