ヘチマカス

「泣いてみようとしたが泣けなかった…」「笑ってみようとしたが笑えなかった…」そんな心の不感症カモンが送る無意欲文章群。

4組

2006-07-11 | Weblog

まあ、うちは決して裕福なイイトコの子っていうわけじゃなかったから、たいした家にも住んでなかったし、
どっちかっていえば、狭くて、汚い家だったよね。まあ、いろいろ事情のあった親が建てた家だから、別にそれに不満があったってことじゃなくって、今日の話をする上で、少し触れておかなきゃいけないから。


で、まあ、そんな特別いい家でもなかったんだけどね、「女・男の兄弟」ってことで、おれが中学にあがる頃には兄弟3人、部屋を別々にしてくれた。

そのことについては、すっごく親に感謝してるんだけど、家自体狭いからねぇ、ドア一枚隔てて、すぐ姉ちゃんの部屋みたいな、廊下なんてないから、
プライバシーは常に横漏れ?みたいな、ね、そんな環境。

そして事件はおきた。

あれは、おれが高校1年の時だったから、真ん中の姉ちゃんは、高3かな。
その姉ちゃんが、自分の部屋に、テレビ欲しいって、言い出したんだよ。
まあ、別に親も反対する理由もないし、自分で買うっていうし、親の承諾を得て、ファミレスでバイトして、自分で稼いだお金で、テレビを買ってきたんだけど、
この真ん中の姉ちゃんが、だらしなくってさ、しょっちゅう、テレビをつけっぱなしで寝ちゃうんだよ。

で、こっちは、テレビの音で起こされて、消しに行くと、当の本人は寝てるからね、
まあ、ムキっとならないでは、いられないよね。


まあ、そんな感じだから
節子も、黙っちゃいないわけ。

あ、節子ってうちのお母さんの名前ね。

「次つけっぱなしで寝てたらテレビ捨てるから!」って、しょっちゅう姉ちゃんに怒ってた。

こどもを叱るときの「おもちゃ出しっぱなしだったら、捨てちゃうからね」と、まったく一緒なんだけどさ、

それでも、真ん中の姉ちゃんは、直らない、だらしなく、つけっぱなしで寝ちゃう。

そして、とうとう、うちの節子がキレたんですよ。

いつものように、寝てたら、ヒステリックな怒鳴り声で、起こされて、
ああ、また怒られてんなーって思ってたら、姉ちゃんの声で「やめてよー、わかったから、やめて!」って泣き叫ぶ声が聞こえたからね、

ああ、これは、いつもとちょっと違うな、って駆けつけてみたら、うちの節子がハサミ持ってて、

「こんなテレビがあるからいけない」って、コンセントをちょん切ったんですよ。つけっぱなしのテレビのコンセントをハサミでバッサリです。

その瞬間、当然ハサミを伝って節子に電気は、流れて、

節子感電ですよ。


バチバチって、音がして、

一瞬だったと思うんだけどね、
節子が感電してる間、ちょっと、テレビが点いたり、消えたりしたんだから。

うそじゃない、ほんとに。

ほんとなんだから、うそじゃないよ。


節子に聞いてみ。

あ、今も、生きてるから。ぴんぴんしてるから。
なんなら、電気通って、肩こり治ったって言ってるくらいだし、

うちの節子は、平気みたい。

自分でも、「あたしの胃はがんも消化する」って言ってるくらいだからね。

ガンが、うんこになって、出てくるはずもないんだけど。



ちなみに・・・・


そのとき体を通して映し出されたテレビの番組は「ねるとん」で、


そのとき成立したカップルは、4組でした。