「真説・長州力 1951-2015:田崎健太著」を読んだ。485ページのノンフィクション長編作品。とはいうものの、「木村政彦はなぜ・・・」のようなページ2段の細かい文字のやつじゃないので、3日で読み終えた。ちょっと寝不足。
暴露本では無いので、プヲタなボク的には、中学時代からオリンピック出場までを除けば大体知っている内容。著者は、長期に渡って長州に取材をすると共に、彼に関するいろいろな人の証言をとっている。アゴと鬼嫁の旦那からの証言は取れなかったようだが。(2人とも、どちらかと言えば嫌いなんで、どうでも良い。)
プロレス関係の人は、常に我を強く見せたがる、金にならないかを考えている的な癖があり、浜口パパやカーン、保永辺りを除けば、虚実入り混じっている感じの証言も多々。その辺は、往年のプオタ感でそこそこ真実は嗅ぎ分けながら読む。大きな驚きは無い。谷津や大仁田等、大概が想像通りの受け答え。
長州力という人は、自分が10代~20代、ホント夢中になったレスラー。今は、滑舌の悪いキャラで小銭を稼いでいらしゃる様だが、全盛の頃、漲るパワーというかオーラは凄かった。例の”切れちゃいないよ”の試合は、ドームまで観にいったんだが、やっぱ、アレが僕の生観戦では一番興奮した大会だった。観戦後、ドームから水道橋駅までの道すがら、知らないにいちゃんと肩組んで、”長州!長州!”って叫んで歩いた。いい時代だったわ。
長州力の隆盛と衰退、その時々の彼の思いが丹念に書かれている。何度も引き合いに出して悪いけど、「木村政彦はなぜ・・・」は、著者の柔道愛が強くて、ちょっと贔屓ぎみなのだが、「真説・長州力」の著者は長州ファンでもプヲタでもない分、淡々と書かれていて良い。読み進めていく中で、素の吉田光雄の部分と、長州力をやっている部分の違いがなんとなく感じられてくる。まあ、それも、ほぼ想像通りなんだけど。
大体がほぼ想像通りの内容だが、ボク的にはそれが満足。長州力の良い部分、悪い部分も、事実、他者の証言を通して丁寧に書かれている。自分を少しでも高く売ろうする長州、金で動く長州力、頑固で人の言うことを聞く耳持たない長州、そういうの全部アリですよ。プロレスラーだもん。裸一貫で金稼いでいるんだもの。全日四天王も好きだっただけど、限られた環境で会社の為に全力を尽くしてみたいな感じで、好きではあるが熱く成りきれなかった。プロレスみて、”さあ、会社行って仕事、がんばろうかっ。”じゃあ、なんか違うでしょ(笑)。全盛期の長州力を見てた時は、何事も控えめな私でも、”よ~し、オレも一発!”って思いになれたもの。
昭和から平成、長州力の人生と世の中の移り変わりって似てて重なる感がある。同時に、自分のここ20数年を振り帰ってみたりして、もう数年ぶりに”よ~し、オレも!”とちょっと思った(笑)。
自分が想像していた長州力が書かれている。マル。往年のプロレスファンにはお奨め。(アゴ、鬼嫁旦那のファンを除く。)