広田寛治のブログ

音楽と社会と歴史と

さて、6月3日に最終回を迎える『家族のうた』は感動を呼べるか。

2012年05月29日 09時47分20秒 | ライブ・ドラマ・映画
日本のホームドラマ史にロックな金字塔(笑)を打ち立てた日曜ドラマ『家族のうた』。6月3日に、いよいよ「感動の最終回」(by予告編)を迎える。
最期を静かに看取るつもりだったけど、昨日、新聞社の人からの電話に触発されてしまって、書かずにいられなくなってしまった。このテーマで書くのはこれで最後にしよう。
主人公の元売れっ子ロッカー正義パパ。唯一のレギュラー番組、地域のミニFM曲のパーソナリティもついに降ろされてしまうことに…。そう、現実のドラマのうちきりがほんとのドラマに先行してしまっていたわけだ。
正義はこの番組でもロックな生き方を熱く語り続けていたのだ。正義を守ろうとするマネージャーがいつものように必死に頭を下げて、受けのいいランキング形式の番組にするなら、と一度だけチャンスをもらえることに。正義も渋々応じるが、けっきょく「自分を殺して、決められたとおりにやろうとするから、みんな苦しいんだろ!」と、ストーンズの「イッツ・オンリー・ロックンロール」をかけてしまう。「たかがロック」だけど、彼にとっては「されどロック」なのだ。
そんななか、家族の愛を知るなかで、正義はもうひとつのロックな生き方に目覚めていく。「自分の思いを貫ぬくだけじゃなく、だれかのための思いを貫くために、頭を下げる勇気を持つことも、ロックなんだ」と…。
ドラマの6回目には、正義パパがストーンズの曲の弾き方を子どもたちに教えるシーンがあった。子どもたちはお父さんの教えに忠実に応えていた。ドラマの7回目には、一週間で子どもたちがずいぶん上達したシーン。そして、子どもたちがこっそり「パパの歌」を作って、練習に励んでいるシーンも。さて、最終回にはどんなドラマが待っているのだろう。打ち切りが決まってからぐんぐんおもしろくなっているが、最期までロックな生き方の意味を突き詰めて、ロックの意地を見せてくれ。
ロックは、かつては、古くさいしきたりを打ち破ろうとする若者の叫びだった。だから自己主張しないで平穏に流れる社会が、そんなメッセージを拒絶するのはあたりまえのことだ。作者たちが意図していたわけではないのだろうが、このドラマが視聴率をとれずに、しかもそれが大きな話題になることこそが、このドラマがじつはロックなスピリットをもっていたことを、逆に証明しているのかもしれない。それだけでも、このドラマのロックな意図は十分に果たされているのではないだろうか。
できれば、映画化してビッグヒットさせてリベンジして欲しい。それもロックだから。


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