広田寛治のブログ

音楽と社会と歴史と

映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』を観て

2012年09月13日 11時58分59秒 | ライブ・ドラマ・映画
ボブ・マーリーのドキュメンタリー映画見てきました。ピアの初日調査では90.9点だったみたいだけど、僕的には99点。ほんとうは満点なんだけど、映画館のクーラーが効きすぎていて、北極でジャマイカの音楽聴いてるみたいだったから1点減点。渋谷の映画館ホント寒かったよーー。

ボブ・マーリーが生まれたジャマイカの奥地にあるナイン・マイル。深い森のなかにあって、想像以上に神秘的な場所。明かりは月と星と蛍の光だけ、というナレーション。訪ねてみたい場所のひとつだ。
首都キングストンの貧民街トレンチタウンの映像もリアルだった。13本の通りがあって、うち1本が音楽通りだったと。ボブ・マーリーはここの青空教室でラスタの思想と生き方、そして音楽を学び、世界へ飛び立っていったのだ。
ボブ・マーリーが3人でコーラス・グループを始めた頃のことを歌っている曲が♪「three little birds 3羽の小鳥」。3羽の小鳥のけがれなきメロディにのせてメッセージを伝えたいな…という内容。‪

前半はボブ・マーリーの音楽やメッセージが生まれた背景をていねいにたどっている。ちょっと眠くなるかもしれないけど、ここをしっかりみておくと、後半の彼の闘いがぐっと身近に感じられるはず。後半はまさにボブ・マーリーが「神の子」として、ラスタのメッセージを世界に伝えるさまを描く。
予想以上にライヴ映像もたくさん観ることができた。スティーヴィー・ワンダーとの競演(ちょこっと)、スマイル・コンサート、ピース・コンサート、ジンバブエなどアフリカでのコンサートなどなど、胸を打つ映像が次々と出てくる。
それ以上に感動したのは、癌の治療のためにドレッド・ヘアーをきるときのエピソード。さらには、セントラルパークで倒れたときのようす、癌の療養で滞在していたドイツでのボブの姿、そしてジャマイカでの葬儀のようす。涙なしではみられない映像だった。
サウンドも充実していたけど、「ノー・ウーマン、ノー・クライ」のゴスペル・バージョンにはびっくり。ゴスペルは彼ら原点でもあるわけだけど、なるほどなーーととっても納得させられました。
この映画の核心部分には、西洋のバビロンシステムを否定するメッセージがあるんだけど、それを象徴する曲が「リデンプション・ソング」。そこで歌われているのは、奴隷貿易と原子力(原発)のこと。‪
ボブ・マーリーは原子力についてこう歌っている。「原子力(村)など恐れるな。彼らは時間まで止めることはできない。あまりにも長いこと奴らは俺たちの予言者を殺し続けてきた。俺たちはそれを傍観しているだけだった。」原子力を「原子力村」と置き換えてみれば、僕らにもストレートに響いてくる。

ボブ・マーリーのことを、より深くお知りになりたい方は、ぜひこちらをお読みください。文藝別冊『ボブ・マーリー/歌にすると現実になる』(河出書房新社) 。
(9月5日のツイートより)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。