「連続殺人鬼カエル男ふたたび」を読み始めたので、とりあえずシリーズ(?)1作目の感想をアップしときます。
中山七里作品を手に取ったのはこの本が初めてでした。
なかなかのグロい表現の入ったミステリー小説です。
まず、埼玉県飯能市にあるマンションの13階で、フックでぶら下げられた女性の全裸死体が発見されます。そばには
「きょう、かえるをつかまえたよ。」
という一文で始まる、死体の惨たらしさとは対照的な、まるで幼児が書いたかのような稚拙な犯行声明文。
マスコミはこのセンセーショナルな事件の犯人を「カエル男」と名付け、世間を煽っていく。
それとは裏腹に、犯人は捕まらずさらに第二、第三の事件が起き・・・
物語は警察側、犯人、そして謎の人物と何人かの視点で描かれていき、読者にとっては少し混乱を招く描かれ方を
していますが、まさにそれが狙いだったり・・・。
殺害方法や現場の描写にも目を覆いたくなるような凄惨な状況が描かれますが、それと合わせて貧困家庭の子供や
DV、性暴力など、けっこう見ていてツライ状況がたくさん出てきます。
(後で中山七里作品を色々読んでわかったのですが、作者はけっこう社会問題やその時点で世間を騒がすニュースを
かなり作品に取り入れてる方みたいです。)
けど、それでもやっぱり続きが読みたくなっちゃうこの小説は、いろんな推理小説の手法も紛れていて、読み進める
につれ、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、見事に予想を覆されたりして、ストーリーの内容からするとちょっと
そぐわない表現ですがそれがほんと爽快。
最初に刑法39条について触れる部分があるため、それを中心に展開していくのかなと思いきや、そうでもなく・・・・
ちょい、ネタバレ入っちゃうと、私が一番、そうだったのかー、と感心してしまったところは、
筒井康隆氏の「ロートレック荘事件」の手口が入った作者の手法。
うーん、まんまとダマされました。
ものすごく精巧に作られた迷路みたいな小説。
読み進める間に「ん?」とちょっと気になりつつ、先が読みたくてスルーした箇所を最終的にスッキリ解決してくれる。
内容的にはけっこう精神的にキツイ話ではありますが、ストーリー全体の構成部分で読んだ後にすごく感嘆しちゃいます。
話が2転3転、4転するんだけど、全体としてちゃんとまとめてる。
まー、実際そんなこと起こりえないんじゃ?
って思うこともあるけど、そんなけちなんてつけたくなくなる。
この作品は、私が中山七里に出会った最初の作品でもありますが、
(訂正:すみません、これ、3作目でした・・・。)
今ハマってよく見てるドラマなんかと一緒で、この作品読んですごいテンションが上がって作者自身をめっちゃ検索
したりしました。
この作品は、第8回の「このミステリーがすごい!」
にもなりました。
で、実は、第8回の最終選考に残ったのが本作カエル男ともう1作がなんと同じく中山七里の「さよならドビュッシー」。
全く毛色の違うこの二つの作品がなぜ最終選考に残ったのかっていうと、実は第6回のこのミス選考で中山七里は
「魔女は甦る」(応募時は確か「災厄の季節」ってタイトルだっけ?)を応募していて、それが最終選考で落とされる
っていうことになり、だったら、てことで第8回大会に毛色の違った2作品を応募したんだとか。
この作品読んでかつ、このエピソードを知っちゃったらもう中山七里を好きになっちゃうしかなくない?
もう、才能が凄すぎるでしょ。
ってことで、めっちゃおススメです。
ミステリー小説はとても心が躍ります。
同様に、開花宣言も心が躍ります。「あと一週間で満開になる。満開近くには桜を見に行こう。」
残念ながら、まだ見れてないです・・・。
明日こそ仕事前に軽くお散歩に出かけて桜みてこようかなーと。