現在Jリーグ2部(J2)岐阜でプレーするMF橋本卓(27)は2007~08年、デンマーク2部リーグのヴェイレBKでプレーしていた。きっかけを作ってくれた監督が更迭されたため、2シーズンで試合出場は2試合にとどまったが、デンマークのサッカーを肌で感じた数少ないJリーガーだ。
欧州サッカー連盟(UEFA)が発表している最新のリーグランキングでは、デンマークは16位。ちなみに、13位が中村俊輔(現横浜M)のいたスコットランド、15位が中田浩二(現鹿島)がプレーしていたスイス。典型的な欧州の中堅リーグのひとつだろう。
ただ、橋本は「中堅の中で注目されているのはデンマークらしくて、元プレミアリーグ(イングランド)の選手が流れてくることが多い」と特徴を話す。その分、サッカー自体も、フィジカルの強さが占める割合が比較的高いイングランドに近いものがあるといえる。
「日本と一番違うのは、技術練習の時はリラックスしているが、対人プレーになると目の色が変わること。同じポジションの選手だと『けがをさせてでも(自分が試合に)出るぞ』というのがある」と橋本。それだけに「リーグ戦よりも紅白戦の方が激しいプレーが多い」と振り返る。
橋本自身も監督やコーチから「1対1に負けるな」とよく言われた。時には、練習中に取っ組み合いのけんかになることもあったという。
「初めはびっくりしたが、そこで自分の意見を口に出して言わないといけない」と対処法を話した橋本は「タックルやプレスも体全体でくるし、審判の笛も流す感じ。でも、その分オンとオフがはっきりしている」とデンマークの“サッカー選手気質”を解説した。
04年の欧州選手権。1次リーグ最終戦でデンマークはスウェーデンと2-2で引き分け、強豪イタリアを敗退に追いやった。北欧のチーム同士だったことから、談合疑惑も持ち上がったが、それぐらい“ここぞ”という場面で力を発揮する土壌があるということ。今回のW杯で日本がデンマークと対戦するのも1次リーグ最終戦だ。
「気持ちを前面に押し出してプレーする選手が多い。勝てば決勝トーナメントに行ける状況だと、ものすごい勝負強さがあるはず」と橋本。日本にとって侮れない相手なのは間違いない。=おわり
(奥村信哉、森本利優、北川信行が担当しました)
◇
■橋本卓(はしもと・すぐる) 1982年6月16日生まれ。兵庫県出身。関学大から、2005年にアルビレックス新潟・シンガポールに入団。その後、ヴェイレBKに移って2季所属し、09年から岐阜へ。MFとして昨季は37試合に出場し、1得点。今季も主力選手のひとりとしてプレーしている。
(MSN産経ニュース、http://sankei.jp.msn.com/sports/soccer/100503/scr1005031201002-n1.htm)