面影

日々の中で心に感じたことを綴ってゆきたい

正論

2009年01月26日 09時57分59秒 | Weblog

 ≪明快な米国の「刺激金」≫

 昨年の春から夏にかけて、アメリカ国民はひとりの例外もなく政府発行の「刺激金」という名の小切手を受け取った。金額はひとりあたり300ドル。事情によっては倍額の600ドルということもあるが、とにかく全員に小切手がとどいたのである。所得にも年齢にも関係はない。とにかくこれを使ってすこしでも景気を刺激しましょう、というのがその趣旨だから単純明快である。

 小切手は社会保障番号のケタ数の順序で整然と郵便でとどいた。ひとり300ドル。いまの為替レートでいえば3万円たらずだが、それでもちょっとした買い物ができる。小旅行もできる。それがどの程度、アメリカ経済に影響したかは知らない。しかし、政府発行の小切手が郵送されてくれば、それだけでかなりの心理的衝撃になったことはたしかだ。

 基礎になっているのが社会保障番号だから、年収数億円の富豪にも、裏町に暮らす失業者にも平等に配られた。ブッシュ前大統領だって、ビル・ゲイツ氏だって受け取ったはずである。


 このことを日本の報道機関はほとんどとりあげなかったが、いま論議沸騰の「定額給付金」というのも、もともとはアメリカの「刺激金」とおなじ性質のものであったのではないか。さいしょからその趣旨をはっきりさせて、おカネの流れを「刺激」するためのものであることを周知徹底しておけばよかった。ほんのちょっとだが、これをみんなが使えば社会的な血行不良がよくなるだろう、という金融政策の一部なのである。

 ≪辞退論議のばかばかしさ≫

 はっきりいって、これはもともと「バラまき」が趣旨なのである。バラまけば、ひとはよろこんで使う。「バラまき」おおいに結構。ひとり1万2000円。バラまきにはそれなりの経済効果がある。どう使おうと自由である。べつだん非難するにはあたるまい。貯金にまわるだけだ、という意見もあるが貯金すればそれだけ銀行の資金がふえるのだから、これまたまわりまわって、わずかながら経済貢献になる。

 おもしろいことに、アメリカでは高額所得者は「辞退」すべきだ、といったようなバカげた議論はなかった。閣僚や要職にあるひとが、オレはもらわないよ、などとはおっしゃらなかった。なぜなら、余裕のあるひとは受け取った300ドルにしかるべき上積みをしてそのまま慈善団体などに寄付したからである。

 「寄付」というのはじぶんの手もとにあるいささかのおカネを自発的に提供して社会的な再配分をする、ということである。そうすることによっておカネはちゃんと良識にしたがってうごくのである。そういう伝統がアメリカにはある。だからだれもおどろかなかった。

日本にだって互助の精神はある。じっさい、他のおおくのひとびとと同様に、わたしのような人間だって赤十字、ユニセフ、点字図書館などいくつもの団体や基金にわが身相応の寄付を何十年もつづけてきている。貧者の一灯。たいしたことではないが、いくらかは世の中の役に立っていると信じているからである。

 ≪社会貢献に思い至らず≫

 その点で「定額給付金」は、まず名前がよくない。「給付」などというからおカミがくださるおカネという権威主義的なイメージになってしまう。その結果「もらう」「もらわない」といった乞食のような下品なことばが国会でもやりとりされて、だれもそれを不思議におもわない。あの応酬をきいていて、わたしは情けなくなった。

 ひとりでもいい、もしも「寄付」ということばを口にしてくれていたら、どれだけ世の中が明るくなったことであろうか。

 せっかく既存の団体や基金のほか、全国いたるところにNPO法人という団体ができて、世のため、人のため、さまざまな事業をすすめておられるが、ほとんど例外なしに資金不足で困っている。たとえ5000円、3000円であっても「寄付」をもとめている。

 「要らない」とか「辞退する」などとおっしゃらずに、しかるべき医療福祉、学術文化振興、その他もろもろの財団や団体に「寄付」なさることこそ為政者、指導者の姿勢というべきなのではなかったのか。

 それだけ単純なことが、ゴタゴタになってしまった。日本版の「刺激金」の説明と広報はまことに稚拙だったのである。すくなくとも、それによってうまれるはずのわずかな景気対策の効果は半減したとみるべきではないか、とわたしはおもっている。政治献金の「寄付」を「うける」だけでなく、タマには「寄付する」心をみせていただきたかった。(社会学者・加藤秀俊(かとう ひでとし))
(MSN)


風とインフルエンザ

2009年01月26日 08時29分43秒 | Weblog

~風邪・インフルエンザの性質~


●風邪・インフルエンザは乾燥が好き

風邪の原因のほとんどはウイルスによるもので、約200種類ものウイルスが「風邪の原因」として確認されている。特に悪質なのが、ご存じインフルエンザ・ウイルス!そのウイルスが好きな環境が「乾燥」。
さらに人間の側にとって都合が悪いことに、ウイルス侵入を防ぐ第一の門「のど」が乾燥すると、異物(ウイルス)を排除するはたらきが弱まってしまうのだ。


●どのように人の体に侵入してくるのか

風邪は人の体でどのように進行していくのだろうか。その様子を見てみよう。

<鼻・のどの奥に
ウイルスが取り付く>

 自己免疫力(自分のことを守ろうとする力)がはたらいているうちは、鼻やのどの粘液分泌細胞から粘液が出て、ウイルスを洗い流してくれる。さらに、そのウイルスを含んだ粘液(たんなど)をせん毛細胞がほうきのようにはたらいて外に掃き出してくれるのだ。この自己免疫力が弱ってくると、ウイルスを外に掃き出すことができず、風邪にかかってしまう。
 
<弱みに付け込んで
進行>

 たいていは、何種類かのウイルスが取りついている。1時間後には100個、さらに1日経つと100万個に増え、細胞を破って外に飛び出す。それを体は外へ流そうとするため、鼻水がひどくなる。つまり鼻水が多く出るようになっている時には、すでにウイルスは細胞にまで侵入しているのだ。
 
<発熱サイン!>

 血液中のマクロファージ(白血球)は、入ってきて爆発的に増えたウイルスを食べ続け、なんとか数を減らそうとする。同時に視床下部の体温中枢に「発熱してくれ!」のサインを送る。
 
<体を休ませろ!
サイン>

 ウイルスが好きなのが、35~36度なので、それ以上の発熱で増えなくなってくる。同時に熱が上がると、ウイルスに対抗する免疫物質が活発になり、ウイルスをやっつける。また発熱で関節などが痛くなるが、これで体が動かない=休むことができる。
 
<回復へ向かう>

 ここで順調に回復すれば、再びかかることは少ない。インフルエンザの場合、1回目の感染では体の中に抗体ができるのに約1週間かかる。しかし一度そのウイルスに感染した後には、体の中を抗体を作るリンパ球がパトロールし、2回目にはたった1日で抗体を作ってしまうので、同じ型にはかかりにくくなっているというワケ。ただし、別のタイプの細菌が侵入してくると、また風邪をひいてしまうのだ。


●風邪とインフルエンザはどこが違う?

風邪といえば、鼻水、せき、くしゃみ、のどの痛み、頭痛、悪寒、だるい、体の節々が痛い、などが主な症状。それに比べ、インフルエンザは急に高い熱(38度~40度程度)が出て全身に悪化症状が出るのが特徴だ。重症化すると気管支炎や肺炎に発展してしまう。普通の風邪が流行しても死亡者はあまり増えないが、インフルエンザが流行すると特に65歳以上の高齢者で死亡率が高くなる。


~予防接種はどうする?~


●インフルエンザの予防接種とは?

予防接種は1回で終わりではない
インフルエンザの感染の予防、また、万一感染しても軽くすむのに有効なのが予防接種だといわれている。しかし、インフルエンザの予防接種は1回で一生効果があるものではない。インフルエンザのウイルスには多様な種類があり、すべてに対抗できるワクチンは作れないからだ。現在インフルエンザのワクチンは、毎年、“その年にはやりそうなウイルスの型”を予測し、それに対抗するものが作られているのである。つまり、予防接種でインフルエンザを防ごうとするのなら、毎年接種する必要があるのだ。
もちろん、予測した型と実際に流行するインフルエンザの型とが異なることもある。しかし、毎年予防接種を受けている人は、免疫が蓄積するので、かかった場合でも軽くすむケースが多いようだ。

(予防接種の前に相談が必要と思われる人
・たまごアレルギー  ・妊婦
・発熱をしている人  ・体力が低下している人
・重症の急性疾患にかかっている人   など)


●治療が無理なら「予防」をしよう!

市販の風邪薬は風邪の諸症状をおさえることはできても、ウイルスを直接やっつけてくれるものでは全くない。かかってしまったら、もう休むより仕方がないのだ。手立ては「予防」しかない。
しかし忙しい働き盛りは、疲れている時や、睡眠不足の時にも、人ごみ行かなければならない時もある。うがい・手洗いを敢行したくても、できない条件もあるだろう。
ならばひとつの手段として予防接種を受けよう!予防接種は子供や高齢者だけのものではない。


●効果80%!?

働き盛り層がインフルエンザ接種をあまり受けない理由のひとつが「忙しいから」 の他に、保険がきかず、完全に自費払いだということかもしれない。子供や高齢者ならば命に関わることもあって、ためらいは少ないが、自費でお金を払ってそれで、接種したものとは違うタイプにかかっては意味がないではないか?と思えるからだ。特にこの層は子供の時、そうしてインフルエンザにかかったという経験者が多い。
しかし、人間側もウイルスに対して、ずっと手をこまねいていたわけではない。WHOの指導のもと、世界各国の専門機関が協力を進めた結果、流行タイプの予想はここ10年では当たっている!つまり、作られているワクチンも有効ということだ。しかも、その効果は大きく、約8割ともいわれている。

(MSN)