すでに周知済みだが、5月31日(土)の午後の時間帯に初めてとなる「あきた里山サミット」を開催することとなった。
原案は、昨年末から考えていたのだが、20名となる実行委員会を結成し、様々な角度からのご意見をいただくことによって内容も膨らんできた。
これまでにも述べてきたのだが、現在、私たちにとって身近な里山を考える絶好の機会になることは間違いないと考える。
本来、里山は私たちのエネルギーを供給してくれていたが、戦後、生活スタイルが大きく変化することによって、ともすれば忘れさられる存在であった。
せいぜい、林業にかかわる方々や山歩き愛好者や山菜を取る方にとってかかわりのある存在ではなかったか。
それが近年、松枯れやナラ枯れに伴う里山風景の急変のみならず、ツキノワグマなどの街への出没それになんといっても相次ぐ山林火災は、いったい身近な里山はどうなっているのかという危惧と共に皮肉にもどんなにも今まで関心を持たなかった人々の眼にも里山を見つめざるを得なくなってきた。
私たちのライフスタイルから離れれば離れるほどいやというほど里山に目を向けざるを得なくなってきたと言えるだろう。
その里山を今回の「あきた里山サミット」(以下サミットと記述)で3つの視点から考えていきたい。
一つは、多面的公益的な機能を持つ森林を抱える里山である。
近年の気候変動に伴う大雨や洪水は本来、森林がいくらかでも防止してくれた。
もともとは、保水機能を持つ森林によって私たちの命のもととなる水を供給してくれた。 また、炭素固定機能を持つ森林は、近年の温暖化の原因と考えられる二酸化炭素の増加を少しでも和らいでくれるものと期待されている。
その森林が今はどうなっているのか?
それを実際現場で森林管理に向き合っているリーダーに語ってもらうことになる。
基調講演でもシンポジウムでもその現状と課題に迫っていきたい。
二つ目は、山歩きや山菜取りを楽しむといった里山の魅力についてより多くの方に広げていきたい。
最近、山歩きをしましょう!と呼び掛けるとまず出てくる言葉は「熊(ツキノワグマ)がいませんか?」である。
その度に私は、「確かに熊はいますよ。でもそんなことを心配していたら私の体がいくつあっても足りない。」と半分冗談とも思えるような返事をしている。
それだけ、準備と共に慎重に行動しているということだ。
もっとも強調しているのは、一人ではなくグループなどの複数人数で歩きましょうということだ。
今回は、いつも複数で歩いている横手山岳協会の会長さんにお願いした。
みんなで歩くことが、どれだけ安心で楽しいかを伝えてくれるはずだ。
さらには、毎年開催されている「山の写真展」に出展されている写真パネルを会場に展示するとともにシンポジウムの際にもスクリーンに映し出していただく。
普段、山歩きや山菜取りにも縁のない方にも魅力が伝わるはずだ。
三つ目は、ある意味、今回の目玉でもあるのだが、「里山で子どもは育つ」という視点である。
もしかすると多くの方には、ピンとこない視点かもしれない。
しかし、それをシンポジストの高校1年生が彼自身の言葉で証明してくれる。
なぜなら、彼自身が小学校3年生以来、8年間自然観察会という観察会、自然に関する講座講演に何百日も通い続けている彼自身からのメッセージだからだ。
私の創り出した言葉ではないが、まさに「里山は子育て道場」ということが理解されるはずだ。
だからこそ、この視点に関して強く言うならば、子育て世代、現在子育て中という方々に多く参加してほしいのだ。
そのため、これもまた実行委員会からの提案だったのだが、キッズルーム(託児所)を会場のすぐ隣に設けることにした。
もちろん、そこには保育士さんが交代で常駐し、絵本も準備されている。
片時も子どもを離せないという方でも安心して預けられる。
以上、3つの視点から里山の魅力と課題について迫っていきたい。
さらに忘れられないもう一つの楽しみがある。
それは、オープニングに秋田市で音楽スタジオを開いている声楽家・茂木美竹さんの歌が2曲聞けるということだ。
それも「故郷」と「夏は来ぬ」という里山に関連した歌だ。
さらに、驚いたことだが、今回歌を披露してくれる茂木さんのお子さんが、同じく今回基調講演される佐藤清太郎さんの森で育ったということだ。
偶然とはいえ、大人になったお子さんがまさに里山で育ったという証でもある。
総合司会は、横手かまくらFMのパーソナリティのゆこリン♪こと柴田優子さん。
こう書いていくと本当に充実した陣容であると言える。
5月31日といえば、昨年案を練っていたころは、遠い先のことだと考えていた。
それがいよいよ開催まで1か月となった。
当日は、これもまた実行委員の提案によるものだが、来場者にはもれなく花の種をプレゼントする予定だ。
来場者目標は、100名。
当日は会場にたくさんの笑顔の花を咲かせたい。