「風邪や病気などにはかからない」が自慢だった。
現に退職してからの5年間は、病院といっても検診ぐらいで、あとは講演中にしゃべりすぎて歯が突然ポロリと落ちてきたこと、海外(モンゴル)に行く2日前、興奮のあまり鼻血が止まらなくなったことぐらいでお医者さんにお世話になることもなかった。
いろいろな方から
「どんな薬を飲んでいますか?」
と聞かれても堂々と
「全く飲んでいません。」
が決まり文句だった。
それがどうだ。
前期高齢者の年齢を迎えてから少しずつ身体に異変が現れた。
まずは目が見えにくくなった。
これもまた
「顔もスタイルも悪いけど目だけは良い。」
と自慢していたのだが、ほぼ急激に視力が落ちた。
少なくとも現職時代には視力が両目とも1.5はあったはずだが、検診に行けば、
0.7か0.8。
ただの老眼が進行していることかなとも思ったが、どうも視界がぼんやりしている。
眼科で診てもらったところ、「立派な」白内障。
この冬には、両目とも手術することになった。
血圧もそうだ。
検診でひっかかり医者と相談した結果、毎日1錠だがついに血圧を下げる薬にお世話になる日々が始まった。
そして、この度のコロナである。
いつもの通り、観察会を終え、お昼を食べようとした時のことだ。
どうも食欲がない、身体がだるい、それでその時はいつものように睡眠をたっぷりとることだなと考え、自宅に戻った。 ?
翌日は自宅で静養した。
だが、思うように体調が良くならない。
翌日の朝、病院に向かった。
発熱していることや身体の節々が痛いことを話し、検査したところ、コロナ陽性であった。つくづく「俺は病気とは縁がない!」という自分のバカさ加減を恥じた。
それから熱は3日ほどで下がったが、念のため10日間は活動を避けることにした。
私の活動は、たくさんの子どもたちを相手にしているからである。
活動のキャンセルも3つあった。
楽しみにしていた2つの懇親会もキャンセルした。
ストレスがたまりそうだったので、熱が下がってからは、誰にも会わない場所に行っては一人里山散策していた。
ただ、活動のキャンセルに関しては、本当は会えたであろう親子や子どもたちの顔が思い浮かんできた。
それは申し訳なさと同時に改めて自分にとって健康や老化ということについて考える機会ともなった。
まわりからは、「忙しすぎですよ。」とか「時に休むことも必要ですよ。」などと言われることもあったが、確かに6月から7月にかけてオファーや自分の仕掛けた活動で自分を忙しくすることは誇りであったし 自分の勲章であるとさえ思った。
ところが、その考えはあまりに甘すぎることに気づかされた。
今は、コロナ回復からほぼ3週間が過ぎ、元の活動に戻っている。
ただ、コロナ回復後にこれまでの考えを修正したり反省したりしていることも多い。
つくづく自分のスタイルは、頭脳で勝負している(大した頭脳ではないことを承知の上で)ということは感じている。
確かに、もともと体力勝負などできるはずがないし、年齢は増し、体力は落ちていく一方だ。
これまでは、一度に2つや3つのオファーや仕掛けたものがあってもそれを頭の中で整理し、いつどこで何を準備すべきか実施までの時間を見通しながら調整してきた。
つまり同時に複数の活動の準備に当たってきた。
それがコロナ発症で狂わされた。
今まで生きてきた人生の中でおそらく一番というぐらいの頭痛それも偏頭痛に襲われたからだ。
何しろ眠れないほどの痛みである。
もちろん、薬は飲んでいるが、偏頭痛には効かなそうだ。
痛みは、ちょうど30秒に1回、右耳の上部を針が貫いていくような痛みである。
それはそれは苦しかったので、夜中に起きだしては、ノーシンに頼ったりもした。
ただ、後遺症も心配だった。
今後、頭の中の機能は大丈夫なのか?と。
まだ、完全にコロナ発症前に戻ったとはいえないかもしれない。
もしかするともともと先述したような切れ味などなかったのかもしれないが。
ともかくも普段通りの活動に戻っている。
私をよく知っている人でさえも(コロナ発症前と)変わらないのではないかと言われることもあるが、自分としては完全に頭の中に関しては機能しているとは思えない。
ただ、単に老化が進んでいるだけのことかもしれないが・・・・
ともかくも今回の発症で気づかされたことは少なくなかった。
教訓は、先述したとおりだが、特に自分に言い聞かせたことは、「いい気になるなよ!調子に乗るなよ!油断するなよ!」だったのかもしれない。
今は、ただ一人静かに勉強し、次なる企画準備をひたすら考えている。
もちろん、反省の日々であることは間違いない。
先日は、横手市の社会教育施設「釣りキチ三平の里自然体験学習館」主催の1泊2日におけるアドベンチャ―キャンプが行われた。
40名近い申込者の中から抽選で横手市内の20名の小学4~6年生が決まった(直前のキャンセルにより18名が参加)。
1日目は、第5回釣りキチ三平の里自然体験塾ともなっている秋田駒ヶ岳登山。
コースは、バス終点口である8合目からしゃくなげコースを通り、阿弥陀池そして秋田県最高峰となる男女岳山頂(1637M)それから阿弥陀池で昼食を取り、新道を通って8合目に至るおよそ6キロのコースである。
体験塾の登山も4年目となる。
1年目は、栗駒山登山。
3年生から参加させたことやコースが長かったこともあり、ばてる子どもが少なくなかった。
そこで、2年目からは秋田駒ヶ岳に変更。
秋田駒ヶ岳は3回目となる。
8合目に至る時間は長いが、登山そのものはそれほどきついものではない。
いわば初心者コースとでも言った方が良いのかもしれない。
とはいえ、1000メートルを超える登山はほぼ全員が初めて。
まして、登山者は、10歳から12歳までの子どもたちだ。
リスクを背負うことになる。
だから、実施までにはできる安全態勢をしっかり取る。
例えば、ガイドとなる大人は、子ども2人に対して大人はほぼ1人。
皆、高山は歩ける方ばかりだ。
リーダーは、今やNHK「にっぽん百名山」の案内役で有名となった山岳看護師である熊谷久美子さん。
他に山が大好きという看護師。
そして、増田ネイチャークラブ2名と体験学習館職員4名の合わせて8名のメンバー。
他にも観察会という観察会に参加し続け今や準スタッフとなった中学3年生の男の子もサポートしてくれた。
いざバスで6時45分に体験学習館を出発。
ほどなくバス酔いする子が出た。
それを車内にいた女性スタッフがすばやく対応する。
2時間あまりかけて看護師二人が待つアルパこまくさへ。
看護師二人もバスに乗り込み登山口に向かう。
登山口で、グループを確認してからいざ出発だ。
熊谷リーダーを先頭にして他のスタッフは、各グループに付く。
しゃくなげコースを歩く。
途中、コマクサやハクサンシャジンそれにイワブクロやオヤマソバといった砂礫に広がる高山植物を見た。
歩くこと2時間。
阿弥陀池避難小屋に付いた。
ここで、荷物を1か所にまとめ、飲み物だけをもって男女岳山頂へ向かう。
大した距離ではないが、この辺から子どもたちの「もう疲れた~」という愚痴も聞けてきた。
阿弥陀池から20分余り。
ようやく山頂に着いた。
子どもたち全員がこの場に立ち記念写真だ。
子どもたちにしてみるともし、このような機会にでも秋田駒に来なければ一生登山などしない子もいるかもしれない。
そんなことを思いながら全員で秋田県最高峰に立てたことを喜ぶ。
阿弥陀池に下りてから昼食だ。
時計は1時を回っている。
帰りのバスを考えるならゆっくりもしてはいられない。
休憩を入れて20分ほどで出発だ。
ここまでに足をひねった子がいるらしくテーピングをしてもらったが、どうやら大丈夫のようだ。
帰りは新道コースだが、ニッコウキスゲも咲いていた。
途中、指を強く岩にぶつけた子がいてこれもまたテーピング。
指を動かしてみると痛そうだ。
大したことがなければと案じながら下山する。
ちょうど3時になったところで8合目登山口に到着。
熊谷リーダーにけがの状況を書いてもらい、体験館職員がバス内で家庭と連絡を取る。
アルパこまくさに着いた。
ここで、看護師2人ともお別れだ。
来年の再会を約束し、手を振った。
それから、体験学習館に向かったが着いたのは、すでに午後6時を回っていた。
指を痛めた子の親も連絡を受け、待っていた。
子どもの状況を見て、親だけが帰った。
どうやら大丈夫らしい。
良かった、大したことがなくて。
ここでスタッフは、体験学習館職員に任せることになる。
子どもたちとは、駐車場でお別れのあいさつをした。
6年生の子らとは、最後になるかもしれない。
4年、5年生の子どもは来年の再会を約束した。
かくして秋田駒ヶ岳登山の一日が終了した。
看護師や職員らによって助けられながら、無事終了した。
確かに子どもたちが18人もいるとけがやバス酔いなど様々な事が起きる。
だが、これが怖いからと言って何も活動を起こさなければ先述したように全く登山などしない子もいることになる。
大人ならば、本人がリスクが高いと判断するならそれを避けるか続行するか決めることができる。
子ども(まして10~12歳の子どもだ)は自分で判断する力はまだ弱い。
大人からの援助を必要とする。
たくさんの大人や友人に支えられながらも様々なリスクを乗り越えていくーこれによってこそ子どもたちは、成長していくのだ。
いわば学び成長し続ける存在なのだ。
これを「危ない」とか「もし、何か起こったら」などという理由で、体験活動をやめた時、人としての成長の機会は奪われてしまうのだ。
ほんの小さな力かもしれないが、子どもたちの成長のお手伝いはできたかなと思う。
スタッフの皆さんに感謝しながら、今年もまた第5回釣りキチ三平の里自然体験塾が成功に終わった。

