これまでにも海外の小学校で理科実験にチャレンジしてきた。
一つは、アメリカのサンディエゴでおよそ20年前。
二つは、モンゴルの村の小学校で5年前のことだ。
内容は、いずれも空飛ぶ種子の実験で種子模型を作った。
どちらも日本の子ども同様に反応が良く、楽しかった。
そして、今回はカンボジアの村の小学校で。
せっかくだから、空飛ぶ種子だけでなく様々な理科実験をしようと考えた。
流れも考えた。
最初のあいさつは、動物のパペットから。
続いて、空気砲。
残念ながら、スモークマシーンは現地に持っていけなかったため、また線香の火もうまくいかなかったため、空気そのものを発射し、子どもたちに体験してもらうことだったが、空気を受けた子どもたちの笑顔が印象的だった。
それから、こちらから一方的な演示実験だけに終わらないよう個別の実験にも挑む。
それは、定規を使った反応時間の測定であったり鳴くニワトリ工作であったりする。
もちろん、空飛ぶ種子模型も作った。
他にもアルコールロケットを飛ばして見せたり輪になってブザーを鳴らしたりする実験にもチャレンジした。
これらの内容で、90分。
ブザーは野外に出てやってみたので、およそ100分の実験授業となった。
その間の子どもたちの目の輝きや驚きの声が忘れられない。
終わった後、通訳を通して感想を聞いてみた。
子どもたちからは、アルコールロケットが人気があったようだ。
また、担任の先生からは、手をつないてブザーがなったことに驚いていたようだ。
そして、今回同行した10代から20代の若者やNPO法人の方にも協力してもらいながら試行したので、多くの感想を聞くことができた。
現地で、学校教育や学校建設などの他医療支援に当たっておられる、授業当日も協力してくれたNPO法人の方が感想を寄せてくれた。一部紹介する。
ヒロちゃん先生の授業自体は、プログラムもしっかりと作成されており、事前にシミュレーションがされているのが伝わったので私としてもとてもやりやすかったです。今後もヒロちゃん先生の授業で、日本を含め世界の子どもたちの笑顔が広がることを祈っています。
また、このツアーに参加し、当日授業を見学した高校生からも感想をいただいた。
高校3年生になり文理選択で文系を選んでおり、科学の授業を目の前で見ることはとても久しぶりのことだったので、授業が始まる前からワクワクが止まりませんでした。授業内容は、科学が苦手な僕でもとても親しみやすい内容だったので、楽しく授業に入っていけました。(中略)授業を終えてもこの興奮が冷めることなく科学への興味が沸いてくる一方なので、生活の中に科学が結びついていることも感じ、これからも興味を持って勉強をしていきたいと思いました。ヒロちゃん先生の授業はもちろん現地の子どもたちにとってもかけがえのないものになったと思いますが、僕のような科学等に苦手意識を持っていた日本の教育を受けた学生にとっても良い経験になりました。
科学は、万国共通の魅力を持っている。
それが言語の壁を越えていくらかでも伝わったのだろう。
なぜなら、授業で子どもたちの表情が輝き続けていたからだ。
授業を終えた一人の子が感想を述べながら、「私は将来お医者さんになりたい。だから科学をしっかり勉強したい。」と話してくれた。
するともう一人の男の子もやはり医師になりたいと答えていた。
おそらく現地での医療の現実は、ままならないことが多いのだろう。
だからこそ勉強して医師になりたいという気持ちが沸いているのではないだろうか。
ただ、この国はまだまだ発展途上だ。
長い内戦によって疲弊した経済や国土。
地雷はほとんど除去したというが、まだ国境付近には処理されていないものがあるという。
幸い、志を持った少なからぬ日本の若者が、カンボジアで医療活動を始め、教育支援に当たっている。
私は、現地でこうした若者を見て、頼もしくもありうれしくなった。
何が彼らを母国の日本を離れてまでも、生活環境がまだまだ厳しいカンボジアでの支援に当たらせたのか?
ただ、単にやりたい気持ちがあるからでは済まないだろう。
かの宮沢賢治は、次のように述べている。
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
彼らは、カンボジアという国を通して、日本のみならず世界を見ているのではないだろうか。
ふと自分の胸に手を当ててみた。
もう少し自分が若かったら・・・・
とどうしようもないことを考えていた。
ただ、今の私でもできることはある。
元気なうちにチャレンジしてみたいと思う。
そう考えたら、ますます元気が湧いてきた。

