どうでもいい日記

なんとなく、政治や経済、英語のことなど。
夢は海外移住…か?

「金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉」読了

2009年03月29日 14時24分03秒 | 読書
いい本だ。とても,いい本なんだけど,
ある程度の経済への理解がないと,読みにくいと思う。
正直,私には,一読してわからないところがあった。

時系列に沿い,歴史的にアプローチしている点が,素人にはありがたい。
“ある程度の経済への理解”というのをどう考えるか,
難解さを補足する書籍として何を挙げるべきか,
そこのところで実に悩む。ま,それはともかくとして。

実は,恥ずかしいことに,
サブプライムローンに関する本を,今回初めて読んだ。
前知識は多少あったけど,それがすっきりとまとまったね。
CDOとかCDSとか,少しだけ仕組みがわかった。
いやはや,実に壮大なババ抜きですなあ。
欧州が米国と歩調を合わせることをしぶるのも,少しわかる。

要するに,一連の騒動は,
米国による自作自演のネズミ講じゃねえの?て感じ。
ていうか,資本主義の本質がネズミ講なんだな。
米国がそれを精製して極めちゃった。
資本主義=ネズミ講=単発的なバブルの発生。
勘違いでもいいの。私がそう思ったんだから。

著者が最も主張したいのは,たぶん二つだ。
新自由主義は終わったということと,
投資で稼ぐビジネスモデルが終わったということ。
ざっくりまとめると,世界経済の中でも,
米国の先行きは特に暗いってことだと思う。

筆者は,米国の不況は,5年は続くという。
実質住宅価格をベースにした展開は,かなり説得力がある。
5年続くということは,その間,新興国経済も不安定に推移する。
正直,これは私の勘よりも長い。
だとすると,ちと困ったことになるな,というのが本音だ。

正直,タイトルは扇情的すぎるかな。
読むかぎり,金融システムが崩壊することはないと思った。
相当な危機にさらされていることは確実だけど,
システム自体はそれほど激しく揺るがないと思う。

最近の日本で流行っている,
“資本主義はもう終わった”という言説を,私は信じない。
ただし,この不安定さと,それに伴う激動,これは20年は続くと思う。
それがどういう形に落ち着くかは,たぶん誰にもわからない。

すなわち,投資の世界は今後,さらに不透明さを増し,
生き抜くのはどんどん難しくなっていく。
お金を運用してお金を殖やすという,
そういう考え方自体がもう古いのかもしれない。
今後,市場としてまともな動きをするのは,
商品とゴールドくらいかも,という気がしている。

そんなことをつらつらと考えさせられた。
★★★★☆。

「凡人として生きるということ」読了

2009年03月14日 15時52分21秒 | 読書
言わずと知れた映画監督,押井守先生のエッセイ。
オヤジ論から始まり,自由論,勝敗論,
セックスと文明論,コミュニケーション論,オタク論,格差論とまあ,
よくぞこんだけ本音をぶちまけましたねってくらい語りまくり。

これだけ話が多岐に渡れば,賛否両論分かれるのは当たり前。
アマゾンの書評もてんでバラバラ。
エッセイなんだから,もうちょい軽くてもいいのに,
わざと挑発的な見出しを用意したりして,
サービス精神の旺盛な人だなぁというのが第一印象。

正直,そのサービス精神を鬱陶しく感じることが何度かあって,
途中で投げ出しそうになった(笑)。
当然の話を,わざわざ極論ぶって過激っぽく書かなくても,て感じ。
いや,たぶんそう感じたのは私だけだろうが。

あとは,論理的な思考力を持った人だなぁという印象を受けたかな。
各章を貫く,ある種の思考パターンがある,と感じた。
岸田秀先生の“唯幻論”を思い出す瞬間が,何度かあったね。

たぶん,各論を各個撃破することに意味はないんだ。
本人も,個人的な意見だと書いている。
違和感は,知的刺激の一つ。
持論を考え直したり,疑ったりするチャンスなんだな。
それを面白いと思える余裕が読者に求められてる感じがするね。

監督の作品が好きなら,
その頭の中を覗きたい気持ちがあるはず。
そういう方にのみお勧めする。
★★★★☆。

「16歳の教科書」読了

2009年03月13日 08時45分00秒 | 読書
「ドラゴン桜」副読本と銘打って,各界の学者さん達に,
なぜ勉強するのか?何を勉強するのか?
というお題について語ってもらっている。
学校と社会の橋渡しをしようという,野心的な試みだ。

結果,学生さんのモチベーション維持の領域に踏み込んでいて,
勉強のテクニックのみにとどまらない良書となっている。
16歳以上の大人が読んでも十分面白い。
自分が勉強してきた行為そのものの意味を省みることができる。

今でこそ,橋渡し的な機能を持つ本が多々あることは知っている。
しかし,複数人のインタビューを科目ごとにとりまとめ,
しかも新書という比較的安価な形で出した例があったかどうか,
寡聞にして私は知らない。
月並みな感想だが,私が学生の頃にこういう本があったらなと思う。

ただ,今の私は「若さに価値がある」というテーゼに否定的だ。
おっさんになるのも悪くないと,そう素直に思えるようになった。
世間一般では,若さをうらやむ声が大勢だが,
若いだけじゃ意味がないんだな。
これについてはまた,別のところで触れる。

面白いけど,あえて新品を購入するほどのことはない。
古本屋で見かけたら買ってもいいだろう,というレベル。
★★★★☆。

「超簡単 お金の運用術」読了

2009年02月28日 11時04分10秒 | 読書
現時点で,ベストの資産運用本。
これ一冊で,普通の個人投資家なら事足りると思う。

新書サイズでお手軽かつ安価。コストパフォーマンス最強。
安価というのは,とても大事な要素だ。
何と言っても「節約」が資産運用の両輪の一つだから。

前書きにある通り,内容はシンプル極まりない。
amazonの評の中には,その内容の簡潔さゆえに,
買ってまで読む必要はない,とする向きもあるが,
私はそうは思わない。

高くてブ厚い本を一回通読するより,
軽くて薄いコイツを何度も繰り返し読む方が,
いわゆる金融リテラシーは絶対に上がるだろう。
実際,私はそういう使い方をしている。
手元において,気が向いた時にパラパラと,て感じ。

本書は,初心者向きの範囲を超えるところはなく,
私にとっては,目新しいことは書いてなかった。
だからと言って悪い本ではなく,
むしろ,今まで読んできた本がうまくまとめられた良書だ。

この手の本は,10冊20冊読んでいくと,
なかなか新しい知見を得にくくなる。
真面目に書かれた本は,どの著者であれ,
おおよそ内容が似通ってくるものだ。

ちなみに,こいつの直線状にあるのが,北村慶先生の,
「ほぼ確実に世界の経済成長があなたの財産に変わる最も賢いETF海外投資法」。
同路線でさらに投資の世界を突き詰めたいという方には,
北村慶先生の著作をぜひお勧めしたい。

今のマネー本がいかに腐っているか,
初心者にとっては,それを知るだけでも意味があると思う。
こういう本から入門できる,今の投資家がうらやましい。
投資初心者必携かつ必読の一冊。
★★★★★。

「中国の「核」が世界を制す」読了

2009年02月22日 08時50分26秒 | 読書
超・名著。
タイトルは扇情的で陳腐だが,内容は論理的かつ真摯なもの。
全日本人必読の書と言っても過言ではないと思う。

中国が今後,日本にとって脅威と化すこと,
それに対し,日本が核抑止力を保持すべき理由,
米国が日本の自立にとって最大の障壁であること,
これらを真剣に論じている。
初版から3年経過しているが,古臭さは感じられない。

今読むべき本を,たった一冊だけ推薦するとしたら,
私は全力をもって,この本を推す。
これからも日本国内で生きていこうと考えているなら,
絶対に今,読んでおくべきだと私は思う。

筆者が,日本の核保有に反対する米国人を論破するロジック,
このくだりは圧巻の一言だ。
それを読むだけでも,この本を購入する価値はある。

実は,けっこう前に読み終えていたのだが,
正直,この本についてここに書くかどうか,少し迷った。
基本的に,このblogはおふざけというか,
私にとって遊びにすぎないわけで,
こんなところでネタ元をバラしながら熱く語ってもなぁと。

率直に言って,私が思い描く最悪のシナリオは,この本の中にある。
今後,うだうだと拙い文章を書くのは面倒なので,
日本の未来を知りたい方は,黙って読んでもらいたい。
普通の人なら,読めば読むほど暗澹たる思いにとらわれ,
おそらく日本の未来に絶望するだろう。
否応なく,今まで現実を直視してこなかった自分に気づかされる。

残念ながら,現在の日本国は砂上の楼閣だ。
今後,地政学的に不安定になることが確実であり,
自信をもって,我が子に永住を薦められる国ではない。
そういう思いから,私はこの本を読むことを,万人にお勧めする。
ものすごく照れくさいのだが,ここは我慢しよう。

現在の政局の混乱は,親中派・親米派・自立派の暗闘だと思う。
米民主党が政権をとった時点で,今後の日米関係はほぼ決定した。
米国は,日本を中国に渡す前に,搾り取るだけ搾り取るだろう。
あとは,日本の国内政治家がどこまで抵抗するか,である。

依存先が米国から中国に代わるだけだと思っているなら,
その認識は甘すぎると思う。
中国は,米国以上に日本の富を搾取するだろう。
いずれは,国家としての体裁をとらせてもらえなくなるはずだ。
巷でささやかれているように,日本はいつか“小日本省”になる。

最後に,ドン引きされることを覚悟の上で,個人的な意見を述べるなら,
日本国の核抑止力の保持は,これは必然だと思う。
2010年頃が,自主防衛を真剣に考えるべき,ぎりぎりの期限だろう。
右だ左だと空騒ぎしてる場合じゃない。
そんなのは米中を喜ばせるだけだ。

今後,中国からの要望は徐々にエスカレートしていき,
国内でナショナリズムが高まるだろうが,そこから対応しても遅すぎる。
今から核抑止力の保持を真剣に論じなければ,この国は終わる。
核抑止力なしでは,2020年以降の荒波を乗り切れず,
日本はなしくずしに,中国の属国となるだろう。

今後,国防は,個人が真剣に考えるべき事項になる。
現在の日本は,そういう状況にある。
一人でも多くの日本人に,目を覚ましてほしい。
心からそう願う。★★★★★。

「金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った」読了

2009年02月12日 10時02分24秒 | 読書
陰謀論に興味はないと書きつつ,
こういう書籍を評価するのもどうかと思うが,
けっこう面白いんだ,これが。

この本は,タイトルでものすごく損してるね。
八つの章からなっているんだけど,
第一から第三章は,貨幣史,金融史として,特に秀逸。
いろんな本を読んできたけど,
これほどに簡潔かつ明瞭に書いたものは読んだことない。
ここを読むだけでも価値ある一冊。

第四章からはタイトル通り,
ロスチャイルド一族がいかに近代史に関わってきたか,
これでもかってぐらいに執拗に書いてて,途中から飽きてくる。
中盤部分は,トンデモ系と呼ばれても仕方がないだろうね。
それなりの根拠資料を提示しているところは認めるけど,
正直,検証のしようがない。

第七章から少しまともになって,
現状認識と,その解決策の提示を行なってる。
ほな日本はどうしたらええの?!という疑問に答えてて,
ここんところも,他の書籍とは異なる,実に秀逸な箇所。
まあ,それが正確かつ十分なものかどうかは別として。

結論として,トンデモ系を装ってはいるもの,
他のトンデモ系とは一線を画す,比較的マトモな本。
amazonでの評価が高いのもよくわかる。
著者の主張を100%,真に受けてはいかんと思うけど,
これが 680円なら安い。激安。
文庫だし,だまされたと思って買ってもいい値段でしょ。
★★★★☆。

爆笑問題+遠藤秀紀「人間は失敗作である」読了

2008年11月30日 22時17分47秒 | 読書
遠藤先生は動物を解剖されてる方で,
骨格等から進化の過程を解明されてる方。
いわゆる“比較解剖学”の権威。著書もけっこうある。

正直,あまり期待してなかったのだが(失礼),
予想外に面白かった。買って損はなかったと思う。
後半,本筋から大幅に逸れて,
基礎科学に対する日本政府への批判に終始してるんだけど,
それすらも面白かった。とても熱い人だ。

科学と技術は違う,という点。
動物園は遊園地ではなく教育機関である,という点。
どちらも理解できる。なるほどなぁと思った。

たぶん,技術は基礎科学の積み重ねから生まれる。
観察結果・基礎研究の地道な累積が文化の厚みとなるわけで,
先生の主張通り,この部分,日本は明らかに遅れてるんだろうな。
カネにならない基礎科学に予算がつかないであろうことは,
昨今の財政事情や,行政改革の方針から容易に想像できる。
それじゃあ新しい技術は生まれないと。うん。納得。

動物園については,
まず,子供のものだという意識を変えるべきなんだよね。
子供にわからなくてもいいのよ。
読んでオオッそうであったかと,大人が驚けるような研究結果,
それを,わかりやすく大量に提供してほしい。
多少理屈っぽくてもいいから,
大人が楽しめる知的エンターテイメントであってほしいな。

人間が異端の動物であるということ,
これは,普通の人なら誰でも思ってることだろう。
脳の大きさ,その進化の速さ,二足歩行による異形,
改めて指摘されると,確かにそうだよねと。

人類はネオテニーだという説を思い出したな。
ネオテニーを訳すと,幼形成熟?
つまり人類は,子供を産める毛のないサル,ってことだ。
だからどうしたと言われれば元も子もないが,
たぶんそこに,人類の進化の秘密が潜んでる。

先生いわく,人類にはもう進化の余地はないとおっしゃる。
ある意味,とても悲観的な結論なのだが,ま,そりゃそうかなと思う。
これ以上の脳の容量増には,体の方が構造的に耐えられない。
理性で御すには,得られた脳みそ(:知性)が過大,ということもある。

人類は将来的に,脳に機械的な補助装置を内蔵し,
記憶量増大や処理速度向上を機械にサポートさせる,
そういう形で進化していくのではないかという先生の見解は,
まさに士郎正宗の世界そのものだ。
SFと,学者の未来予測が合致するのが面白い。

未来の人間は,自身の体に,どんな進化の痕跡を見出すんだろう。
シリコンを摂取しないと生きていけない体になってたりしてな。

この本は面白いです。★★★★☆。

爆笑問題+福岡伸一「生物が生物である理由」読了

2008年11月30日 14時26分48秒 | 読書
福岡先生は,ベストセラー「生物と無生物のあいだ」の著者。
いずれは読んでみたい本なのだが,
本丸を読む前に,肩慣らしとして読んでみた。

たぶん,分子生物学入門講座ってこんな感じなんだろうな。
学問が,入門 → 基礎 → 応用,という過程を経るのだとすれば,
基礎までもいってない気がする。

内容は,高校で生物をやった人なら誰でも理解できるはず。
まあ,だからと言って,買って損したというレベルじゃない。
いろいろと思い出すことが多くて,よい刺激になった。
内容についてはあまり触れたくないかな。
正直,ほとんど記憶に残ってないから(笑)。

人間の体が分子レベルで入れ替わってるという視点は,面白いね。
細胞レベルじゃなくて,分子レベルなんだよと。
知ってたけど,改めて書かれると,あぁそうだったなぁと。

例えばですね,こういうの考えたことないっすか?
人間,30年も生きてりゃ相当な量の分子が体を通過していってるわけです。
つまり,アナタの体を通過した分子が,食物連鎖を通じて,
今現在,私の体の一部に組み込まれている可能性,
これは確率的にかなり高いはずなのです。特に水分子あたりはね。

これを敷衍すると,過去の偉人とされる方々の体を組成していた分子,
あるいは,死んだ友人の体を組成していた分子,
これが私の体に相当量,組み込まれているはずで,
つまり,彼らは分子レベルでは死んでないんじゃないかと。

もし分子レベルで記憶が保持されるのであれば(んなことありえないが),
人類は少しずつでも賢くなれるんじゃないか,と思ったこともある。
愚かさも分子レベルで遺伝されるから,賢くはなれないんだけど(笑)。
そういうメチャクチャな夢想,思い出しちゃったなあ。

学問のよいところは,大局的な視点を得られるところだと思う。
学問の世界を覗きこんで,日頃の悩みが小さいことだと思えたら,
それはものすごくいい体験だ。
というか,今の私にとって,読書の成否の判断はそこだけ。

小説でも似たような体験はできるけど,
いつからか私は,虚構の世界に没頭できなくなってしまった。
フィクションじゃダメっつうのは,なんだか悲しい。
想像力の減退を感じるね。

以上のような感想を持てたということで,
この本はなかなかよかった。★★★☆☆。

「立ち上がれ日本人」読了

2008年11月30日 13時17分33秒 | 読書
マレーシアの元首相,マハティール氏の著作。
新書でこの手の本が出てるのはめずらしいので,買ってみた。

一読,氏の対中国観に疑問を持った。
私の感覚とは,大きくかけ離れている。
ちょっと,楽観的すぎるかなと。

氏は,中国は戦後,領土を拡大していないと書いているけれど,
フィリピンの例を忘れていると思う。
中国は,米軍の影響力の低下と同時に,
フィリピンから南沙諸島をかすめとった。

また,氏は領土問題のほとんどが経済問題だと言うが,
東シナ海の中国の所業は盗掘レベルであって,
日本国民としては,これを経済問題だとすることに心理的抵抗が大きい。
領有権を明確にする話と,共同開発区域とする話とは別物だろう。
地政学的にみて,日本は明らかに中国の脅威にさらされている。
その事実を軽視しすぎている印象を受けた。

もう一つ,私の感覚との大きな相違点は,
アジア共同体と,アジア共通通貨の創設を推奨していること。
これはまだ早すぎる。
米国の国力低下と,日本の自立への方向性が明らかになるまで,
つまりは,日米同盟がどう変化していくか見極められるまで,
日本として,話を俎上に乗せるのはやめた方がいいと私は思う。

その他については,大筋で意見は同一。
高級品の生産に絞り込み,いわゆるセレブをターゲットとする,
その国家戦略は,わが意を得たりという感じ。

いっそ,マハティール氏を外務大臣に迎えたい(笑)。
年俸1億円くらいでどうだろう。安い買い物だと思う。
優しく穏やかな口調で毒を吐く。私が思い描く,理想の政治家像だ。
氏のような方が首相であったマレーシアがうらやましい。
これが本音。★★★☆☆。

「仕事道楽―スタジオジブリの現場」読了

2008年09月23日 16時25分03秒 | 読書
ジブリの鈴木プロデューサーの著作。
劇場版ナウシカのエンディングは,当初と違っていた!
というのは衝撃だったけど,ま,それはともかく。
この本,たぶん聞き語りだね。まとめるのが大変だったろう。
つまり,構成が支離滅裂。

プロデューサーなんつうカタカナ商売,
うさんくさいもんだと思ってたけど,認識を改めた。
実に大変なお仕事なんだなぁと。
私が間違ってました。すいません。

私が思う,この著作のキーワードは,記憶と記録。
記憶と記録,どちらを基に仕事をするか,
職種の違いを感じたね。
あの手のお仕事は,記憶が曖昧だからこそ,
そこに創造の余地があるってわけだ。

私の仕事は記録がすべて。
1円単位まで,場合によってはそれ以下まで,
きっちり合わせて記録していくことが大前提。
それを引っ張り出して,こねくり回して,仕事が成立する。
想像力や創造力は,あまり必要じゃない。

いわゆる“創造”からは離れて久しい。
もう,その手の作業は無理だろうと思ってたけど,
この本を読むと,やり方次第ではまだイケるのかなと。
問題は年齢じゃないんだなと思った。

ジブリの仕事の流儀をレアケースととらえるかどうか,
そこのところで意見が分かれると思う。
私は,読み物として純粋に楽しませてもらった。
その点では,私にとっては小説に近いかもな。

面白いし,よい本だと思う。
でも,購入をお勧めするほどのモノではない。
★★★☆☆。以上。

「隷属国家 日本の岐路」読了

2008年09月23日 10時58分42秒 | 読書
相変わらずの,明瞭な論理展開に感嘆した。
わかりやすさと説得力。
この二つを兼ね備えた国際関係論を書ける人は少ない。
やっぱり北野先生は最高だ。

今までの著作と最も異なる点は,メッセージ性の強さだと思う。
日本はもう,他国に依存するのをやめようよ,
米国とも中国とも違う,独自の道を歩む時期がきてるよ,
という強いメッセージが込められていると感じる。

今後,日本が国際社会で生き残るための,
その具体的な処方箋がいくつか提示されてて,
それがまた,これまでの著作とは明らかに違う。
現状把握を完了し,さらにもう一歩踏み込んだ感がある。

著者の言う通り,現在,日本が岐路にあることは間違いない。
それに対してどう対応していくか,これには様々な意見があるだろう。
正直,著者が提示する解決策は,楽観的すぎる印象を受ける。
しかし,本文中にもあるように,
要は,方向の明確化と統一化の問題なんだと思う。

北野先生の,日本国への応援歌。
あとがきの“夢”を読むと,泣きそうになる。
こういう姿勢,立脚点が,私を心酔させるのだろう。

日本国民なら,一読の価値がある良書。
悪いこと言わないから,いますぐ買って読みなさい。
私も今から再読するから。
★★★★★。

「世界自動車戦争論」読了

2008年08月09日 06時38分57秒 | 読書
福野礼一郎先生の新機軸。
刊行即購入で,とっくの昔に読み終えてた。
今までの著書と違い,かなり「経営」寄りの話が展開されてて,
自動車なんか興味ないよ,という方にも読めるかもしれない。

私なりにざくっと端折ると以下のような感じだろうか。

よいものをより安く,という商売の方法は,
今後はさらに通用しなくなる。
中国との価格競争で,日本製品は必ず負ける。
技術的な優位性は,時間とともにいずれは埋まる。
生き残るためには,日本企業は恥も外聞も捨てるべきだ,と。

そこそこのものをより高く。
ブランド戦略は,これを実現するための方法であり,
ブランドの確立が日本製品の最優先事項となる。

とまあ,おおよそこんな感じ。

ここまでは腑に落ちたんだけど,
では,どうすればブランドを確立できるのか。
著書の中で一番気になったのは,
ブランドは作るものだ,という記述。
どうやって作るか,その方法さえ確立してしまえば,
どんな商売をやったってうまくいく。

ものの本によれば,ブランドの本質は,
「夢」「一貫性」「革新性」だそうだ。
福野先生の著作から私が読み取ったブランドの本質は,
「理想のために,どこまでも論理を貫くエゴイズム」。

極端な話,ユーザーニーズなんてどうだっていい。
これはこうあるべきだ,という理想。
なぜならこれはこうなのだから,という論理。
そういうものを貫く根性,エゴ,わがままさが,
今の日本企業にあるかどうか。

この話は,企業に限った話ではない。
一次産品や,広くは地方自治体にも適用されるだろうし,
もしかしたら今後は,個人にも適用されるかもしれない。
氷見ブランドの魚や,住みよい都市ランキングなんてのは,
まさにブランディングだと思う。面白い観点だ。

昔,マーケティングの講義にでてたとき,
マーケティング論のキーワードは二つだと教わった。
「市場細分化」と「製品差別化」。
この二つで,巷にあふれるマーケティング論はすべて語れる。
今でも十分に通用すると思うが,
今後は,この二つだけじゃ足りないんだな。

ブランド,スタイル,価格。
この三つで製品戦略が決定する。
性能・能力・品質だけをとらえれば,上には必ず上がある。
自分のキャラクターをブランド化する。
そのための体系的な方法があるなら,私は知りたい。

このblogにもブランド戦略を適用したら,どうなるか。
…そんなの考えてる暇ないよ。
★★★★☆。

「ルポ貧困大国アメリカ」読了

2008年08月02日 22時20分04秒 | 読書
久しぶりにスゴイ本を読んだ。
この衝撃は「ドキュメント 戦争広告代理店」以来。
レビューはamazonに山ほどある。
なんだか知らんが,賞もとってるらしい。

世界の片鱗が見える。
日本の行く末も,透けて見える。
改めて,怖い時代に生まれちまったなぁと思う。

買って読んでも損はない,とだけ書いておこう。
よい本だ。735円は激安。★★★★★。

投資関連のお勧め本,まとめ

2008年07月06日 10時00分39秒 | 読書
「貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント」
「大人の投資入門」
「なぜ投資のプロはサルに負けるのか」

あえて今まで,投資関連の本について,書いてこなかった。
面白い・役立つと感じる本は人それぞれだし,
いい本はちゃんとまっとうに売れてるから,私が書くまでもない。

でも,最近の投資関連のクズ本の多さは目に余る。
よほど上手に本を選ばないと,時間とお金をムダになる。
ていうか,考えてみたら,ムダにしてきたお金と時間が山ほどあって,
それに思いを巡らすと腹が立ってきたから,書く気になった。

てことで,この手の本は他にも山ほど読んだけど,
常に手元において読み返しているのは,現時点ではこれくらい。
続々と出版されるけど,再読するに値するものはなかなかないね。
つまり,私が購入をお勧めするのは,上記三冊です。

もっとすんごいのはいっぱいありますよ。
「敗者のゲーム」とか「ウォール街のランダム・ウォーカー」とか。
でも,舶来もので(:翻訳で),基礎的で,古臭くて,高価で,となると,
私のようなフツーの人は,図書館で借りて一読するのがいいのかなと。

上記の書籍群は,ほぼ株と投信の話で,為替はカバーしていない。
それでも「投資」と「リスク」に関する本質的な話だから,
為替をメインにやってる私にも役に立つ。
よい本だと思います。ホントに。

試しにどれか一冊だけ買ってみようかなというなら,
「大人の~」をお勧めするかな。新しいだけに。
「貧乏人の~」は,「大人の~」と同じ著者で,内容は8割カブる。
「なぜ~」は読みやすいけど,ちょっと内容が薄い。

書いてから思ったけど,やっぱこのエントリ,意味ねえな。
クズ本の筆者ども,お金と時間を返せ!という恨み節。
要はウサ晴らしであった。

「墨攻」

2007年02月11日 20時14分10秒 | 読書
映画の原作ですな。
何年ぶりかに小説を読んだけど,
いやー,面白かったね。

墨子は,高校生の頃から興味があった。
孔子,孫子,老子,荘子あたりは有名で,
倫理の授業でもけっこうしつこくやったけど,
墨子については「非攻」「兼愛」,以上。て感じだった。

つまりは,墨家って今でもわかんないことだらけなんだね。
孔子の儒教と真っ向勝負ってのがまたイイ。
儒教には,うっすらと身分差別が垣間見えるけど,
墨家では,人間はみな平等だと説いている。
紀元前5世紀に,平等思想がアジアにあったって,すごくね?

非攻ってのも,現在の日本の専守防衛に通じるものがある。
ま,それの是非はともかく,
墨子の思想は想像以上に面白い。

どうでもいいが,私が本を読むときは,
すべてを投げ捨てて読書に集中するので,
家族には,すこぶる評判が悪い。
同年代のお父さんはみんなどうしてるんだろう。
けっこう気になる。

断煙48時間経過。
今日はニコチンの禁断症状があったねえ。生まれて初めて。
ぼちぼち,体からニコチンが全部抜けたかな。
呼吸が改善されるまで,もうちっと我慢すっか。