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古代ギリシアに学ぶチームプレーの経営戦略

2009年04月15日 | 歴史に学ぶ

テーバイ(テーベ)とは世界史の教科書に登場する古代ギリシアのポリス(都市国家)です。パルテノン神殿で有名なアテネやスパルタ教育で有名なスパルタと争い、一時はレウクトラの戦いでスパルタにも勝利したほどの有力ポリスでした。
このテーバイがスパルタに打ち勝つほど軍事的に成功した要因は、「神聖隊」とよばれる精鋭部隊の存在です。この部隊は「同性愛」で結ばれたカップルによって構成されていたとして有名です。つまり、同性愛で結ばれた兵士を同じ部隊に配置することで、おたがい相手には勇敢なところを見せようと必死に戦うわけです。さらに万一、一方が倒れた場合は、その敵討ちをするために決死の覚悟で突撃するという、まさに人間心理(?)を巧みに利用した部隊でした。

この「神聖隊」を創設したのはペロピダス、実戦に活用したのはその親友(同性愛で結ばれていたかどうかは知りません・・・笑)のエパメイノンダスという人物です。ちなみにエパメイノンダスの戦死後、テーバイは没落していきますが、そのエパメイノンダスの戦術を学び取ったのが、幼少期にテーバイで3年間人質生活を送ったマケドニアのフィリッポス2世であり、その子アレクサンドロス3世は「アレキサンダー大王」とよばれる英雄になったのです。(ただし同性愛者による部隊編成は真似していませんので念のため・・・)

さて、いつものように、経営学の視点から「神聖隊」をみてみましょう。当時のギリシアではスパルタが覇権を握っており、テーバイもその圧政下にありました。男子は7歳で家庭を離れて集団生活を送り、12歳からは本格的な軍事訓練を受けるという「スパルタ教育」で有名なほどですから、当時のスパルタは軍事大国です。また、スパルタのライバルであるギリシア最大のポリス・アテネ(アテナイ)は経済大国で、資金力に優れていました。
こうした2つの超大国の間にあって、テーバイが自立するためには、何らかのオリジナリティが必要です。エパメイノンダスもそれを考えたに違いありません。資金力では、アテネに勝てない。兵力(戦力)では当然スパルタに勝てない。いったいどうしたら・・・

ここでエパメイノンダスは兵士の質の向上を図ります。例えれば、A、Bという2つの大企業に立ち向かう気鋭の中小企業といえます。
経営資源に限りのある中小企業で重要になるのが人材活用です。経営学では、人材活用のための「人事戦略」として、2つの定石があります。ひとつは「モチベーションの向上」であり、もうひとつは「能力開発」です。エパメイノンダスが、兵士の「戦う気力」を向上させるために「神聖隊」を活用したことは上述しました。それではもうひとつの「能力開発」はどうしたのでしょうか。

個人の能力開発といっても、スパルタ教育のスパルタ兵士にはかないません。そこで集団としての能力開発として、「斜線陣」という集団戦法を考案したのです。すなわち、個々の兵士の弱点をチームプレーで補ったわけですね。

経営資源の限られている中小企業が大企業との競争に望むためには、人材活用が必要です。それも個人の能力開発に限らず、チームとしての能力を高めることで、1+1を3にも5にもする・・・テーバイの人事戦略は、現代でも参考になるのではないでしょうか。

 


 


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