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積小為大で心をつなぐ ~(株)ニシムラジグ・西村会長の経営哲学~

2014年08月03日 | 経営に学ぶ

江戸時代後期の農政家・思想家として有名な二宮尊徳翁の教えに「積小為大」という言葉があります。意味は「小さな努力の積み重ねが、やがて大きな収穫や発展に結びつく。小事を疎かにしていて、大事を為すことはできない」ということですが、金沢市にまさにこの言葉を60余年にわたって実践し、顧客と社員を愛し続けてきた経営者がおられます。今回は、(株)ニシムラジグ西村明会長を訪ね、78歳になる現在でもなお盛んな西村会長の、仕事への熱い思いを伺ってきました。

 

二宮尊徳(金次郎)は江戸時代後期の農政家・思想家ですが、かつて全国の小学校の校庭にあったこの像で有名ですね。毎日厳しい労働をしながらも学び続けたその姿は、まさに日本人に勤勉であることの大切さを示すものとして、かつては日本中の小学校に建てられていたものです。


 
二宮尊徳("敷根小学校跡の二ノ宮金次郎" by TSUYOSHI/Y)

 

さて、その二宮尊徳のように常に努力と工夫をつづけ、事業を伸ばしている経営者がおられます。金沢市に工場のある(株)ニシムラジグ西村明会長です。今回は、その西村会長を訪ね、まさにこの二宮尊徳の「積小為大」(せきしょういだい)を実践しておられるような、長い人生の歩みを伺ってきました。

               (株)ニシムラジグ本社・工場

 

さて、今回訪問した(株)ニシムラジグは、金沢駅から車で5分という場所にあります。省力化機器の製造販売工作機械部品加工を事業内容とする企業です。その創業は古く、今年で創業81周年を迎える、金沢でも老舗の企業です。

訪問したのはまさに猛暑日。暑さが厳しい昼下がりでした。その私を快く迎えてくださったのは、同社の西村明会長。78歳になる現在でも製造現場に立ち、創意工夫を重ねておられる、まさに「仕事の達人」です。
 


             (株)ニシムラジグの西村明会長

西村会長は中学校卒業と同時に家業に就いて以来、60年余りにわたってずっと第一線で働いてこられた方。鉄工業界の盛衰を、まさに「体験」してこられた経営者です。

その西村会長が尊敬しておられるという人物が二宮尊徳です。二宮尊徳は「動いた人のところに情報は集まってくる」とも言っているそうですが、西村会長は「現代のように、自分で直接動こうとはせず、パソコンの前に座ってインターネットを使っているだけではダメ」とズバリ一言。会長はこれまで、とにかく自分の足で動き、手を動かし、人に会うことで多くの方と心を通わせてこられたそうです。実際に、この訪問を終えてすぐに会長から自筆のハガキをいただきましたが、こうした小さなことからの積み重ねが、81年も続く同社を支えているのですね。

 
         終始笑顔でお話を聞かせてくださいました

 

そんな西村会長のご自慢は、「これまで社員を辞めさせたことがない」ということ。同社は現在、本社工場に20人、販売会社に8人の合計28人で事業を営んでおられるとのことですが、「社員は皆素晴らしい人間ばかりで、まさに会社の宝」とおっしゃいます。これまで、どんなに経営状態が厳しいときであっても、たとえ自分の生活を切りつめても雇用を守ってこられたそうです。
「雇用を守るということは、社員やその家族、ひいては社会全体に幸せを提供するということですから・・・」と笑う会長は、「社員の雇用を守ること」が、経営者にとって一番大切なことだと何度も繰り返しておられました。

 
      私もすっかり会長のお話に聞き入ってしまいました


 

さて、インタビューの後は、いよいよ会長が一番好きな場所である工場を見学。建屋は築40年以上ということでかなり古いのですが、その中には会長の熱い思いがぎっしり詰まっている場所なのです。

 
            工場を案内してくださる西村会長


 
      数多くの部品や道具が整然と収納されています。

             若手の社員さんも大活躍!


         西村会長(左)と、長男の明広社長(右)

 
         明広社長も第一線で活躍する技術者です

 

見学の途中で会長の声が一層はずんできました。ここは石川テレビのレポート番組『飛びだせ!イナガキ』でも紹介された会長ご自慢のスポットです。

1000分の1ミリの精度で金属を研磨しているマシンですが、熟練した職人さんの絶妙な調整力で、ほとんど振動は伝わってきません。その証拠に、激しく動いている機械の上に10円硬貨を立てておくことができるのです。実際に現場で目の当たりにすると、その技術の高さに感動です。

 
          職人さんが、10円硬貨を立ててみます
 
    激しく前後に動いている研磨機の上に立つ10円硬貨


会長自らが言われるように、同社の工場には今も古い機械がいっぱいあります。古いものでは50年前の機械もあるそうですが、どれも新品同様に手入れが行き届いています。また、金沢市から「5Sモデル工場」に認定されているように、工場内は整理・整頓が完璧!さらに随所に皆さんの創意工夫が生かされているのです。

  

     機械や道具は手入れや整理整頓が行き届いています
 

同社の工場の中は、「創意工夫功労者」の文部大臣表彰を何年も続けて受賞されていることでもわかるように、様々な創意工夫があふれています。上の写真も、受賞した創意工夫が詰まっている装置です。

同社のもう一つのご自慢は、熟練した職人さんが多いこと。その手の中から様々な最新鋭の製品が生み出されているのです。



 

ひと渡り工場内を見学した後に案内していただいたのは、会長の夢がいっぱい詰まった記念の小部屋。ここには、同社がこれまでに受賞してきた数々の表彰状やトロフィー、そしてさまざまな思い出の品々が整然と飾られています。

 

同社の製品は、海外でも高い評価を受けています。モノづくりの本場、ドイツでも数々のデザイン賞を受賞。こうした世界で評価される製品が、金沢の伝統ある町工場から生まれているのですね。

 
        ドイツでのデザイン賞受賞も大きな収穫です

もちろん国内でも同社の製品に対する評価は高く、2013年度には同社の「ベンリーバイス」が金沢市の「平成24年度金沢ブランド優秀新製品」機械部門の大賞を受賞。地元のものづくりを代表する企業です。

 
  「平成24年度金沢ブランド優秀新製品」機械部門の大賞を受賞


案内をしてくださった会長も、この部屋にいるときは本当に楽しそうです。「これも皆、従業員やお客様のおかげです」と満面の笑顔で話してくださいました。
その会長の信条は「感謝」「感激」「感動」3つの「感」を大切にすること。この部屋には、まさにその会長の3つの「感」がぎっしりと詰まっているようでした。


今回お忙しい中、いろいろとお話を聞かせていただいた西村会長、本当にありがとうございました。また明広社長をはじめ、温かく迎えてくださった従業員の皆さんにも心から感謝申し上げます。
そして創業81年の老舗企業である(株)ニシムラジグが、100年企業を目指して、これからもますますご発展されることを心よりお祈りしております。

 

【ちょっとおまけ】

帰り際に見たパネルです。なんだか、素敵ですね・・・


 

 ニシムラジグのホームページ : http://www.nishimura-jig.jp/ 


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