背後に勇壮な和太鼓の演奏を聴きながら元来た方に引き返していくと、
花交の池の周囲に人集りがして何か始まろうとしていました。「何かな?」
と思いつつ群衆の中に分け入り下方の池を覗いてみると、着物姿の女性が
不安定なボートに乗っていました。そのボートの手前には池と岸の間に橋を
架けて、特設舞台を仕上げていました。
待つ事5分少々でしたが、15時30分から「幻日会」に依る仮面劇が開始
されました。ボート上の女性が語り部となって全ての役柄を上手に演じていま
した。その朗読に呼応してそれぞれの演技者が自分の役を無言で熱演をして
いました。ストーリーとしては、子供役の女性が魑魅魍魎(ちみもうりょう)の住む
島に渡ろうとしたところを物の怪姫(もののけひめ)がここは恐ろしい妖怪変化の
棲む場所だから来てはいけませんと押しとどめていた内容でした。もっと見たい
気持ちでしたが、時間も遅くなったので途中でやむを得ず退散しました。
そしてもうひとつ花交の池付近で茶室のような建物を見つけました。これは
茶祖堂と呼ばれ幕末に家老の下屋敷にあった利休堂を明治になって移築した
ものとのことです。岡山の生まれで「茶」を日本に伝えた栄西禅師も一緒に祀
られていることから茶祖堂と呼ばれるようになったそうです。
それから違うルートを経由して正門の方向を目指しました。そして沢の池が
余りにも美しいので違った角度から写真を撮りました。そして池の畔を漫ろ歩き
していると多くの人が一人の美麗な着物姿の若い女性の写真を撮っていたので
その中に便乗してはいらせて貰い、ポーズをとっていただき撮影しました。
上方写真をご覧ください。
そこから西に暫く進むと花葉(かよう)の池が在りました。その付近にも綺麗な
紅葉があったので写真に収めました。
その花葉の池の近くに延養亭がありました。ここは池田公が後楽園を訪れた
際に居間として使用したそうです。沢の池、唯心山、借景の操山が一望出来る
後楽園の中心的な建物であるとのことです。
延養亭に隣接して鶴鳴館がありました。江戸時代にあったのは茅葺の屋根で
数室に分かれ、使う人の格や用途に応じて使われていましたが、戦災に因り焼失
した為昭和24年に岩国市の吉川邸を移築したものとのことです。現在は結婚式や
同窓会等、広く一般の人にも貸し出され利用されています。
全ては上方写真をご覧ください。
以上で後楽園の全リポートを終了致します。