こゝも墓らしい筍が生えて
島はしづけし墓光りつゝ昇る日よ
囚人の墓としひそかに草萌えて
母の兄の墓参るわたしひとりで
水を前に墓一つ
山裾あたたかな日にならぶ墓すこしかな
ふるさとは暑苦しい墓だけは残つてゐる
松風ふいて墓ばかり