墓に夕日があたゝかな草のもみづりて
墓のしゞまを身ひとつに落葉焚く
墓のしたしさの雨となつた(放哉墓参)
墓へ藷の蔓
墓へも紫陽花咲きつゞける
墓まで蔓草の伸んできた
墓をおしのけレールしく
墓が家がごみごみと住んでゐる
墓がならびそうしてそばのはな
墓がならんでそこまで波がおしよせて
墓が一つこゝでも誰か死んでゐる(山をうたふ)
墓から墓へ夕蜘蛛が網を張らうとする
墓に紫陽花咲きかけてゐる
墓にかこまれて家一つ