(箱根六道辻)
寒空(さむぞら)にはなればなれや菩薩達
さはつたら手も切(きれ)やせん冬木立
参詣のたばこにむせな雀の子
(けふ一かたけたらへざりしさへ、かなしく思ひ侍るに、
古へ翁の漂泊、かゝる事日々なるべし。)
三度くふ旅もつたいな時雨雲(しぐれぐも)
三絃(さみせん)のばちで掃きやる霰哉
五月雨にざくざく歩く烏哉
五月雨や肩など打(たた)く火吹竹
五月雨や天水桶のかきつばた
(貧 家)
寒き夜や我身をわれが不寐番(ねずのばん)