此次は我身の上かなく烏
此(この)やうな末世(まつせ)を桜だらけ哉
小坊主や袂のなかの蟬の声
(廿四晴、柏原ニ入。)
是がまあつひの栖(すみか)か雪五尺
五六間烏追ひけり親雀
穀つぶし桜の下にくらしけり
(やかましかりし老妻ことしなく)
小言いふ相手もあらば菊の酒
心からしなのゝ雪に降られけり
五十にして鰒の味をしる夜かな
五十にして冬籠(ごもり)さへならぬ也
子宝がきやらきやら笑ふ榾火哉