お休みで遊びに来ている息子の寝顔を
見ていて思い出したお話しです。
ある日の父母会でのお話しでした。
奥様を亡くされた先生は、四国の親戚から独りのメイド
さんを、預かったのです。
家事は短大の家政科の先生にお願いして指導して頂くことにしたそうです。
少し知恵遅れのその娘さんは、非常に純真で真面目に務められたそうです。
ある日、おみそ汁の「だし」の煮干しがないことに気づかれた先生は、鰹節を1本彼女に渡して、明日の朝は、「だし」はこれで良いと言われたそうです。
次の朝良い匂いに誘われて、お鍋の蓋を開けてみますと、何と1本の角らしき物があ
るので、ビックリしてすくってみたら、なんと鰹節がそのままの姿で、入っていたそうです・・・
その時先生は、ご自分が、教育者であることを、とても恥ずかしく思われたそうです。
「なぜ、鰹節を渡すときに、削って使うことを、教え無かったのかと」・・・教育とはそう言う事だと言われました。
又あるときこんな事もあったそうです。
寒いので、カレーライスが食べたいと、言いますと彼女は喜んで作ってくれたそうです。
が・・幾ら待っても夕食になる気配が無く、呼んでも返事が無いので心配しておりますと、息を切らして、彼女が飛び込んできたそうです。
話を聞けば、副神漬けが無いので、買いに行ってきたとの事・・この時も先生は、ご自身のいたならさを、深く恥じたと話しておられました。
教育とは、何であるかをとても大切になさった方でした。
その学長先生の学園は、甲子園初出場で初優勝致しました。応援席には、何時も黒のスーツ姿の先生がいらっしゃいました。
「優しさに 導き育った 幼子は 人の心の 憂いを分かる」