私のテニスラケットは、クルム伊達公子さんが使っているラケットの初心者バージョンです。伊達さんのラケットは、もともと私のものより重いのに、あちこちに鉛を貼り付けてあって、かなり重いラケットだそうです。
帰宅してテレビをつけると、GAORAで1990年のウィンブルドン決勝戦、エドバーグvsベッカーの試合をやっており、ちょうどファイナルセットに入ったところでした。懐かしくて最後まで見てしまいました。
それにしても、今のテニスとはずいぶん違います。まず今の目で見ると、なんとなく恥ずかしくなるぐらい、半ズボンが短い。プレースタイルが今ではあり得ない。ふたりとも、100%サーブアンドボレーなんです。ラリーが1回もない。ふたりともバックハンドは片手打ち。両手打ち全盛の現在は、フェデラーvsワウリンカのスイス対決で見られるぐらいです。
技術と道具がこの20年でずいぶん違ってきているのが、改めてわかりました。スピードが全然違うのです。でも面白かった。その時代の最高の選手が渡り合う試合は、やはり魅力的です。この試合はエドバーグが勝利しました。1990年は、サンプラスがはじめてグランドスラム(全米)で優勝し、アガシが全仏と全米で準優勝した、次の時代のスターが出現した年でもあります。
そして1990年は、私がエドバーグの母国スウェーデンに留学した年でもあります。エドバーグ(Edberg)はエドベリと言った方が、本当の名前の発音に近いのですが、スウェーデン人は外国人と英語で話すとき、必ず英語読みで自分の名前を言います。イングリッド・バーグマン(Bergman)とベルイマン(Bergman)監督は同じ姓ですが、バリマンが本当の発音に近いようです。ジョン・ラーゲリンも本当はジョンではなくて、ヨーンのはずです。自国語に強い誇りを持つフランス人などは、絶対そんなことはしないでしょう。もっとも、エドベリと同時代に活躍したフランス人選手のフォルジェ(Forget)などは、英語読みするとちょっと変ですが。