横浜市都筑区耳鼻咽喉科

南山田(センター北と北山田の間)の耳鼻咽喉科院長のブログ。

フィラデルフィア美術館、メトロポリタン美術館、MoMA

2011-06-30 23:45:10 | 絵画・音楽・文学

1993年の6月、留学から帰国して大学で仕事をしているころ、フィラデルフィアで学会がありました。ヨーロッパの国際学会では、英語が母国語ではない先生方も多いので気が楽なのですが、アメリカの学会で発表するのは初めてで、けっこう緊張したものです。懇親会はフランクリン協会科学博物館で行われたと記憶しています。ヨーロッパの学会でも、ノーベル賞の記念舞踏会の会場とか、古城の中とか、工夫が凝らされた懇親会に出たことがありましたが、博物館で懇親会というのは初めてでした。

フリータイムには、独立記念館も自由の鐘も見に行かず、一路美術館へ。フィラデルフィア美術館の正面階段は、映画ロッキーでトレーニング中のロッキーが階段を駆け上がっていくシーンで有名です。展示されている作品ではルノワールが印象的でした。しかしもっと印象的だったのは、館内のレストランです。実は、隣接するカフェテリアと間違えて入ってしまったのですが、美術館の中にこんなに本格的なレストランがあるとは。美術館内のレストランとしては、私の知る限り最高です。その分、値段も高かったと思いますが。

学会が終わったあとも、7-8月には夏休みをとらないという条件で、数日余分に休みをもらいました。鉄道(アムトラック)でニューヨークへ。ニューヨークでは2泊して、昼は美術館(メトロポリタン、MoMA:ニューヨーク近代美術館)、夜はブロードウェイのミュージカル(オペラ座の怪人、レ・ミゼラブル)。メトロポリタンはルーヴルや大英博物館と並ぶ巨大ミュージアムです。そしてMoMAには、好きな絵がいろいろありました。

 

その後ナイアガラを見物して、国境を越えカナダへ。トロントで一泊して、その年ワールドシリーズを2連覇することになるブルージェイズのナイトゲームを観戦。チケットはすぐ手に入ると言われていたのですが、チームの状態がよいと人気も上がります、完売でした。このためにトロント来たので、必死の思いで、スタジアム(スカイドーム)の周りにいたダフ屋から、値切ってチケットを手に入れました。

最後はミネソタへ。ミネアポリスには、Dr.パパレラという耳科学の大家がいて、彼のところには当時、大学の後輩で現在独協医科大学の教授になっている春名先生と、私がスウェーデンでお世話になり、今はカロリンスカ研究所・フディンゲ病院の教授になっているDr.Pontus Stiernaがいました。縁のあるふたりが、同じところにいるのですから、訪ねないわけにはいきません。ミネソタではパパレラの”神の手”の手術や研究室を見せてもらいました。

充実した旅行になりましたが、この時以来アメリカには行っていません。

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福岡県立美術館

2011-06-29 23:57:42 | 絵画・音楽・文学

今日も用事で大分へ・・・向かったのですが、霧のため滑走路を目視できず、大分空港への着陸をあきらめ、飛行機は福岡空港に向かいました。2回着陸をトライしたのですが、結局安全を優先して着陸をやめたパイロットの決断には、敬意を表します。また、これが帰りの便でなくて良かった。大分発羽田行きは、羽田から来た飛行機が折り返すので、大分空港に着陸してくれないと、必然的に羽田行きは欠航になり、今日のうちに戻れなければ、明朝の診療に間に合いませんから。

とは言え、時間のロスは最小限にしたいです。どの方法をとっても、福岡空港から大分まで2時間以上はかかります。航空会社が用意してくれたのは、博多駅までの地下鉄と博多駅から大分駅までのJRの引換券。JRの引換券は、博多駅のみどりの窓口で、乗車券、特急券と交換してもらうとのこと。福岡空港から別府までの高速バスの時間が、ちょうど良かったので、バスで行きたいということを伝えると、JRの引換券の換わりに、現金6000円を渡されました。

今日は予期せず、福岡経由大分行きになってしまったのですが、以前意図して帰省のときに福岡に寄ったことがあります。ある美術館に行きたかったからです。美術館シリーズ番外編、行きたい人は行ってみたい美術館、福岡県立美術館です。

この美術館には、高島野十郎(本名高島弥寿)のコレクションがあるのです。高島は福岡出身で、独学で絵をはじめ、画壇とは全く無縁に、隠者のように生き、認められないまま世を去ったため、孤高の画家と呼ばれていますが、その作品の力には、尋常ではないものがあります。私がこの美術館を訪れたときには、高島の絵の展示室には私ひとりしかおらず、彼の作品群に囲まれて、怖れさえ覚えました。

   

高島は蝋燭を描いた作品をたくさん残しています。そのため蝋燭の画家と呼ばれることがあるそうです。彼の蝋燭の光の妖しさ美しさは、確かに魅力的ですが、それだけなら、ド・ラ・トゥールという先駆者がいます。蝋燭は高島のほんの一部に過ぎません。

 

上は、ド・ラ・トゥールの大工の聖ヨセフ(ルーヴルの膨大な絵画の中でも、目を引く作品です)とマグダラのマリア(メトロポリタン美術館)

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プラド美術館

2011-06-28 22:59:09 | 絵画・音楽・文学

マドリッドのプラド美術館の所蔵品は、かつて世界一の大国であった時代のスペインの、歴代の王のコレクションです。

王朝全盛期の宮廷画家ベラスケス、王朝末期の異端の画家ゴヤ、トレドのギリシア人エル・グレコといったスペインの巨匠たちの作品の豊富なことは、言うにおよびません。

  

しかし、スペインの絵画と並んで、あるいはそれ以上に必見なのが、北方絵画のコレクションです。今のオランダ、ベルギーおよびフランス北部の一部であるネーデルランドが、スペイン・ハプスブルク家の領地だったためかも知れません。そうでなくても北方絵画は、イタリアルネサンスと並び立つような、大きな存在なのです。ボッスの快楽の園、ブリューゲルの死の勝利、ファン・デル・ウェイデンの十字架降下、等々、傑作が目白押しです。イタリアやフランスの絵画と異なる文化がそこにあります。

16世紀には、ミラノやナポリもスペイン領になり、イタリアの絵画もたくさんこの美術館にあります。

一方、スペインは、ピカソ、ダリ、ミロという現代美術の巨匠も産んでいますが、彼らはいずれもカタルーニャ地方生まれ、あるいはバルセロナ育ちです。バルセロナを中心としたカタルーニャ地方は、マドリッドを中心とするスペインの中で、異なった言語を持ち、文化も異なります。ピカソ美術館もミロ美術館もマドリッドではなく、バルセロナにあります。

 

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オルセー美術館

2011-06-26 22:21:54 | 絵画・音楽・文学

一度は行ってみたい、何度でも行ってみたい美術館 、第二弾はオルセー美術館です。またパリですが、パリは芸術の都ですから。

建物は1900年のパリ万国博覧会に合わせて建造されたオルセー駅の駅舎だったものです。1986年に美術館となり、1848年(2月革命)から1914年(第一次世界大戦)までの作品を受け持ち、それより古いものはルーヴル、新しいものはポンピドーセンターが受け持つとのことです。

したがってオルセーには、印象派(旧印象派美術館の収蔵品をすべて引き継いでいます)と、印象派に先立つ新古典主義やアカデミズム(印象派はアカデミズムに対する反発から生まれた)と、自然主義、写実主義の作品が展示されています。

私の入学した大学の入試は、一次試験(学科試験)のあと2次試験(面接のみ)がありました。面接官の教授となぜか絵の話になり、どんな絵が好きかと問われ、ゴッホが好きだった田舎の高校生の私は、生意気にも後期印象派が好きだと答えました。Post-impressionnismeは正確にはポスト印象派ですから、印象派には含まれないという意味になりますが、当時は後期印象派と訳すのが一般的でした。昨年国立新美術館で行われた展覧会も、オルセー美術館展(ポスト印象派)となっており、最近はポスト印象派と呼ぶようになっているようです。

ルーヴルの主役がモナリザなら、オルセーの主役はムーラン・ド・ラ・ギャレット(1876)でしょうか。幾多の印象派の名作が揃っている中でも、このルノワールの大作は際だっています。また、日傘の女(1886)は、モネの作品の中でも好きなもののひとつです。私の若い頃のアイドル、ゴッホの作品にもいいものがあります(オーヴェールの教会:1890)。ミレー(落穂拾い:1857)やコローといった、印象派とは一線を画す自然主義の画家たちも、印象派とほぼ同時代なのは、意外な気もします。

   

アカデミズムは、印象派が登場した当時のフランス画壇の中心で、ダヴィッドやアングルの流れをくむ、美しい絵もたくさんあります。もしアカデミズムの画家たちがもう少し早く生まれていたら、評価は全く異なったかも知れません。完成度においては、印象派の画家たちより上なのです。しかし、過去の技術を洗練させただけでは、時代に置いていかれてしまうという好例でもあります。下はその代表者のひとり、ウィリアム・アドルフ・ブグローのヴィーナスの誕生(1879)。彼らは、感傷的、保守的、ブルジョア的などと批判されました。でも私はブグローもけして嫌いではありません。

印象派が好きな人は、オランジェリー美術館も必ず訪れて下さい。規模は小さいですが、名作揃いです。見物は睡蓮の間。晩年のモネが国の要請を受けて仕上げた、楕円形の部屋の壁全面が睡蓮の絵という部屋です。印象派と呼ばれる画家は多くても、フランスにとって、モネとルノワールは別格だったようです。二人とも長寿で、名声を得るとともに多くの作品を残しました。

 

 

 

 

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ルーヴル美術館

2011-06-26 19:00:03 | 絵画・音楽・文学

絵が好きで、旅行で真っ先の訪れるのは美術館です。一度は行ってみたい、何度でも行ってみたい美術館シリーズにトライしてみます。

世界一の美術館は、異論のある方もいらっしゃるとは思いますが、やはりルーヴル美術館です。所蔵物の数、展示物の数、そしてその内容、やはり他の追随を許さないというところではないでしょうか。パリのセーヌ河岸、元は宮殿だった建物ですが、ミッテラン大統領の時代に改装されて、映画ダ・ヴィンチ・コードの中でも重要な意味を持って紹介されたピラミッドが中庭にできています。

最も人気のあるのはモナリザです。私が大学に入り上京した直後に、上野の国立博物館にモナリザがやってきて、見に行きました。長時間並んでようやくモナリザの前にたどり着いても、立ち止まることは許されず、一瞬の出会いでしたが、その神秘的な微笑みは、記憶に刻みつけられました。ルーヴルでなら、人だかりはやはり多いですが、望むなら何時間も見ていられます。ダ・ヴィンチはフランスのフランソワ1世に招かれ、フランスで亡くなったのですが、モナリザもダ・ヴィンチとともにフランスに来て、以降フランスに留まっているのです。

モナリザは特別に防弾ガラス付きのケースに収められて展示されているのですが、その他のダ・ヴィンチやラファエロらのイタリアルネサンスの名画、ダヴィッド、アングル、ドラクロワに至るフランスの名画その他が、その辺の至る所に無造作に飾られ、絵画だけでも2-3日では見きれません。

     

その上、彫刻、工芸品、エジプトなどの古代美術、イスラム美術など、1週間でも見きれません。一度は行ってみたい、何度でも行ってみたい美術館の筆頭です。

 

 

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