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【石油危機の教訓】(下)空洞化招く電気料金値上げ bySankeiBiz

2014-02-07 15:55:07 | (英氏)原発・エネルギー問題

【石油危機の教訓】(下)空洞化招く電気料金値上げ (1/3ページ)

2014.2.7 05:00

 

 ■遅れる原発再稼働 企業を圧迫

 多くの鋳物工場が軒を連ねる埼玉県川口市。その一角にある児玉鋳物の児玉洋介社長は、2012年4月に東京電力が企業向け料金を値上げして以来、「ささやかな抵抗」を続けている。東電の値上げ幅は平均14.9%。だが、児玉鋳物では東電から料金請求が来ると、値上げ前の料金に8%分のみ上乗せした額に書き直して振り込むのだ。

 ◆7割「経常利益減少」

 大量の電気を使う鋳物工場にとって、電気料金値上げは即座に経営悪化につながる。川口商工会議所の会頭も務める児玉氏は「一方的な値上げは独占禁止法違反(優越的地位の乱用)にあたる」と公正取引委員会に申告した。一方で自分たちで東電の値上げ内容を精査した。すると、過剰な減価償却費など認め難い費用も含まれていることが分かり、容認できるのは8%までという抗議の意思を示すことにした。

 東電からは毎月、不足額が印刷された振込用紙と督促状が届く。電気を止められては困るので、その時点で残額を支払うが、児玉氏は「値上げは納得できない」と話し、今後も可能な限り抵抗するつもりだ。

 日本経済は安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」で久しぶりに明るい兆しがみえてきた。昨年12月の日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)では、中小製造業の景況感が6年ぶりにプラスに転じた。

 だが、関東商工会議所連合会が昨年9月、東電管内の中小企業約1000社に料金値上げの影響を聞いたところ、7割超が「経常利益が減少した」と回答した。全体の約8%は海外への生産シフトでしのいだという。電気料金値上げは、産業空洞化を加速させる要因にもなっている。

 

1973年の第1次石油危機で中東産油国は原油価格を大幅に引き上げた。この結果、日本の電気料金は翌年には一気に50%も上がり、その後も値上げが続いた。こうした激しい料金変動を回避するため、日本は官民で燃料や電源構成の多様化に取り組んできた。

 だが、原発の稼働停止に伴い、石油や石炭、液化天然ガス(LNG)の火力発電向け燃料の輸入が再び急増している。これが響いて日本の昨年の貿易収支は、過去最大となる11兆円超の赤字を記録した。貿易立国の足元が大きく揺らいでいるのだ。

 日本が昨年輸入した化石燃料の費用は約27兆4000億円。経済産業省によると、原発の停止で3.6兆円も余分に買っているという。1日当たり100億円の「国富」が海外の資源国に流出している計算だ。

 政府は電力各社からの値上げ申請の審査にあたり、社員の給与引き下げやボーナスカットなどを含めた徹底的なコスト削減を求めている。それでも円安が加わって燃料費上昇の影響は深刻であり、全国規模で料金値上げが相次いでいる。

 こうした値上げは、各社とも一定の原発再稼働を前提としたものだ。だが、原子力規制委員会の安全審査に時間がかかり、実際の稼働時期は見通せない。このため、九州や北海道は再値上げの可能性も示唆している。

 ◆日本の国力低下も

 老朽化した火力設備を駆使して綱渡りを強いられる電力供給と電気料金の上昇によるコスト増。これは企業の国際競争力の低下につながり、ひいては日本の国力低下を招きかねない。

 安倍政権は企業に投資を促す成長戦略で賃上げを図り、経済の好循環を実現させる構えだ。そのためにも安全性を確認した原発の早期再稼働は欠かせない。

液晶プロジェクター部品の反射鏡などで世界首位の岡本硝子(千葉県柏市)では、ガラスを溶かすのに大量の電気を使う。柏市内の工場の一部を電気料金補助が受けられる新潟県柏崎市に移したが、それでも電気代は全社で東電の値上げ前より年間8000万円も上がった。

 海外移転も検討したものの、日本並みの良質な電気を安定的に供給できる国がなく、断念せざるを得なかった。岡本毅社長は「このまま手をこまねいていれば、日本のモノづくりが壊されてしまう」と危機感を募らせる。

 資源小国の日本は、エネルギー問題と正面から向き合わねば立ち行かない。石油危機の重い教訓は改めてそれを突きつけている。(この連載は井伊重之、宇野貴文、藤原章裕が担当しました)


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