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【石油危機の教訓】(中)LNG高騰、備えも不十分 bySankeiBizより

2014-02-07 15:51:04 | (英氏)原発・エネルギー問題

【石油危機の教訓】(中)LNG高騰、備えも不十分 (1/3ページ)

2014.2.6 05:00

 

 ■迫られるホルムズ海峡不安対策

 東京湾に浮かぶ広大な人工島・扇島(横浜市)。京浜工業地帯を見渡す高台に、芝生に覆われた高さ8メートルほどの丘がそびえる。

 ドーム形の形状は円墳を連想させるが、正体は昨年稼働を始めた東京ガス扇島工場の液化天然ガス(LNG)タンク4号機。奈良・東大寺の大仏殿がすっぽりと入るほどの大きさで、頂点部分が地上にはみ出しているのだ。容量は世界最大級の25万キロリットル。一般家庭約36万軒分の年間ガス使用量を賄える。今後の需要拡大を見据え、約200億円を投じて建設した。

 LNGはタンカーでマレーシアやカタール、サハリンなどから輸送。扇島沖500メートルの桟橋から海底地下トンネルでタンクに運ばれ、暮らしや産業を支える都市ガスの原料となる。

 全国の原発が相次いで稼働を停止する中で、LNGは火力発電の半分を担うまで存在感を高めている。だが、海外からの調達価格は高騰が続く。東京ガス原料部の棚沢聡・資源事業企画担当部長は「リーマン・ショック後には1トン当たり平均5万円まで下がったが、現在は8万円まで上がっている」と明かす。

 背景には、電力業界が原発を補う火力発電燃料として一斉にLNG購入に走ったことがある。原発の運転再開が見通せない中で、日本は資源国側から足元をみられ、高値購入を余儀なくされているのだ。

 LNGには価格以外にも課題がある。日本の備蓄量は2週間分しかないのだ。国家備蓄制度もなく、万一の備えとしてはあまりに心もとない。

 ◆国家備蓄の始まり

 日本が本格的なエネルギー備蓄に乗り出したのは、1973年の第1次石油危機の苦い教訓からだった。

 日本は安い原油に頼って高度成長を謳歌(おうか)していたが、同年10月、イスラエルとエジプトの第4次中東戦争を引き金にした石油危機が世界を襲った。外遊中だった田中角栄首相(当時)は、帰国直後に聞いた報告に愕然(がくぜん)とする。「日本には原油の国家備蓄制度はありません。民間で何日分あるかも分かりません」

 中東諸国は原油の生産制限と値上げを通告し、日本ではトイレットペーパーなどの買い占め騒動が起きた。原油供給が削減される懸念から電力使用制限令が初めて発動され、夜の街からネオンライトが消えた。田中首相に秘書官として仕えた元通産官僚の小長啓一氏は「敗戦直後のような混乱ぶりだった」と振り返る。

 この経験から日本は国家備蓄も始め、現在では官民合わせ約半年分に増やした。そして「脱石油」「脱中東」をエネルギー政策の柱に掲げ、原発建設を進める電源3法を成立させた。

◆原油中東依存9割

 自民党の石破茂幹事長は昨年11月、ビジネスマンを集めたシンポジウムで「日本のエネルギー安全保障をどう考えるのか。皆さんに問いたい」と訴えた。

 LNGの中東依存度は25%程度だが、原油については依然9割近くを中東に頼る。中東情勢がいまだ不安定な中で、ホルムズ海峡が封鎖されるような事態になれば、エネルギーを安定的に確保できなくなる恐れがあり、石破氏は「エネルギー安保は経済を担ううえでも重要だ」と強調した。

 エネルギー安保が揺らぐ日本に対し、世界のエネルギー地図は一変しつつある。

 「米国は2035年までに自国のエネルギー需要のすべてを国内資源で賄う方向に進む」

 「シェール革命」に沸く米国について、国際エネルギー機関(IEA)がまとめた13年版「世界エネルギー見通し」は、こう予言した。ある電力会社首脳は「中東に依存する必要がなくなる米国が、ホルムズ海峡を守ってくれなくなる日が来るかもしれない」と危惧する。

 田中伸男・IEA前事務局長はホルムズ海峡の危機を前提に「できるだけ多様なエネルギー源についてホルムズ海峡を通らないで確保することが必要だ」と警告する。そのなかにはもちろん原発の再稼働も含まれる。


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