カルデラというと阿蘇山が有名ですが、実は霧島連山は、加久藤カルデラといういわゆるひとつの巨大な火山の噴火口の集まりであり、極めて大きい噴火=破局的噴火を起こす可能性があるのだそうです。
新燃岳も当然ながらその火口の内の一つです。
本作では、その加久藤カルデラが破局的噴火を起こしたとき、九州のみならず、日本がどのうな状況に置かれるかを科学的に(専門家をうならせるほどの精密さ、リアルさで)、また、ドラマチックに描き出します。(日本政府がちょっとかっこよすぎますが、)
もし、加久藤カルデラが破局噴火したら、南九州はほぼ全滅に近い被害を被ります。
その時起こる火砕サージの大きさは、かつて、恐怖を持って見た雲仙普賢岳の火砕流など足元にも及びませんし、その速度は時速200kmにも達します。
また、被害域に入るかも知れない川内原発の存在も不気味です。
九州南部を席巻した火山被害は、今度は火山灰の被害となり、東へ東へと進み、本州の殆どは、火山灰による土石流、機械類の故障その他の被害に見舞われてしまいます。
(まさに、今の気候は西高東低の気圧配置であり、このパターンに合致します。)
さらに、火山灰は成層圏まで広がり、地球上を小氷河期が襲う…
今回の新燃岳噴火がこの破局的噴火の序章でなければ良いのですが、…読み返していて背筋が凍る思いがしました。
死都日本 (講談社文庫) | |
石黒 耀 | |
講談社 |