日々あらたに

3/11の大震災以降、数多くの変化が起きています。その変化をとらえ、新しい時代について観察を続けていきます。

銀行のBIS規制と国債

2011年09月15日 | 日記

専門外だが、少し気になったので、BIS規制と国債の関係について書きたい。

BIS規制とは、簡単に言えば、国際業務を行う銀行は総資産に対して自己資本比率を8%以上待たなければいけないという国際的な取り決めのこと。

へぇーそれがどうしたの?・・・という感じを受けると思うが、問題はここから。


2012年日本経済は大崩壊する(朝倉慶 幻冬舎)という本から抜粋すると、

・・・貸し出しはリスクですし、不動産を買い付けるのもリスク、そして株を買い付けるのもリスクです。ここまではわかるでしょう。不動産も株も貸し出しも確かに危険性があるとなれば、当然その危険性に備えて、自己資本を積んでおくのは当たり前のことで、このBIS規制というやつは銀行の財務の健全さを保とうとする素晴らしい規制であるな!と思うわけです。

ところが、そこから巧妙な仕掛けが始まるのです。BISは「貸し出し、不動産、株はリスクがある資産です。だから100%のリスクとして計算します。でも国債は全く危険はありません。国が発行しているのですからね」と言うのです。

この場合、国債は全く危険はないということで、リスクがゼロと規定されたわけです。当時から現在に至るまで、OECD加盟各国の国債のリスクはゼロで、危険は全くないということです。

となると、これはおかしなことになります。キャノンのような日本を代表する企業に貸し出した時、BIS規制ではリスクは100%として計算するのですが、反面、ギリシャの国債は、リスクはゼロになるのです。銀行としては、株や不動産に貸し出しをすれば、途端に自己資本を積み増さなければなりません。

・・・結果として銀行は貸し出しを抑え、国債を買えば買うほど健全性が保たれるということになるわけです。(ここまで引用)

 

まじっすか?・・・


たとえば、超有力企業の株をたくさん持っている銀行と、あのデフォルトの可能性さえあるギリシャ国債をたくさんもっている銀行を比較すると、BIS規制では、まちがいなくギリシャ国債を大量に持っている方が安全。・・・と言うのである。

デフォルト=債務不履行。・・・おカネが帰ってこない可能性大なんですよ。・・・それでも、国債を持っている銀行の方が優良と言われるのがBIS規制のカラクリ。

 

どう考えてもおかしい。

このBIS規制に躍らせられた結果、日本の銀行は大量の国債を保持せざるを得なかった。もちろん、今時点では、日本国債は(知りうる限りでは)ギリシャ国債までは行っていないかも知れないが、本当に安全って誰が責任を持って言えるのだろうか?

しかも、BIS規制をもっと強化した新BIS規制では、信用リスク(貸し倒れリスク)、市場リスク(株価等のリスク)に加え、オペレーショナルリスク(災害他様々なリスク)も考えないといけない。

でも、新BIS規制でも国債のリスクはゼロ(金融庁資料)。・・・この資料(4P)を見ると、一律のリスクウェイト適用ということで、事業法人、個人は100%だが、政府向け(OECD加盟国)は0%。

・・・OECDにはギリシャももちろん入っているから、ギリシャ国債は、リスク0%

 

そりゃ、銀行は国債に走りますよ。だって、リスクゼロですから・・・。

・・・なんで、銀行がいまどき超不安定な国債(米国債、日本国債他)をいっぱい持っているのかこれまでは、よくわからなかったが、これでなんとなく理解できた。

 

それにしても、これを知ったとき、あまりのBIS規制のいい加減さにあきれてしまったと同時に、これを知らないでいると、いかに怖いことになってしまうかということに気付いた。

実際は、意図的に銀行や生保に国債を持たせるよう誘導するための国際的な施策なのかもしれないが・・・

 

繰り返すが、このBIS規制による銀行の安全性を見ると、国債をできるだけ多くもったところが超安全(仮にそれがギリシャ国債であっても)であり、世界に名だたる企業の株を大量に持っているところは、安全ではないということになる。

 

BIS規制=安全・安心(銀行の信用度アップ)というプロパガンダに騙されないように・・・。



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