平蔵日記

クサガメ平蔵の日記。他に徒然なるまま気の向くまま・・・

「真田太平記(六)家康東下」 池波正太郎

2006年05月05日 19時57分41秒 | 読書
家康の天下取りへの執念が、ますます凄まじくなります。
大体秀吉亡き後の豊臣政権は、ホント隙だらけです。
その隙に家康の爺さん、思いっきりつけ込みます。
太閤贔屓の自分としては、家康ってのは生理的に受け付けないんですが、この時期(そして後の冬夏の大坂の陣のころ)の家康は、メチャクチャむかつきますね
だけど、戦国時代をまともに生き抜いてきた人間と、その2世達とでは、まともな喧嘩になりません。
家康の掌の上で、反家康勢力は完全に踊らされ、ほとんど思うがままに展開し、次の巻にていよいよ関ヶ原の戦い、となります。
実際は家康にしても伸るか反るかの、博打的要素が大きかったんですが、徳川家康と石田三成というリーダーとしての資質が、まともに結果に反映した戦いですね。
西暦で1599年12月始めから1600年8月25日です。
およそこの9ヶ月に渡って行われた前哨戦で、関ヶ原の結果が決定したようなもんですから、池波正太郎さん丁寧に書き込んでます。

真田家は、昌幸(お父さん)と幸村(次男)が西軍(石田三成)につき、信之(長男)が東軍(徳川家康)につきます。
真田昌幸が中央の情勢に、もっと詳しかったら、果たして西軍についたかどうか・・・
というよりも、真田昌幸は別として、幸村と信之の生き方の違いが、ここでハッキリとした、ということなんでしょう。

真田太平記〈6〉家康東下

新潮社

このアイテムの詳細を見る

「真田太平記(五)秀頼誕生」 池波正太郎

2006年04月24日 05時39分49秒 | 読書
朝鮮の役も一旦講和に向けた動きが始まりますが、秀吉が掲げる条件が無茶苦茶で、結局戦争が再開されます(慶長の役)。
そして秀吉の子、秀頼が誕生します。
タイミングがいいのか悪いのか・・・
秀吉は秀次を自決させ、その家族を皆殺し。また無意味な戦争を継続中の最中に、巨大な城を築く(伏見城)といった具合に、その崩壊はますますエスカレートしていき、秀頼の将来を心配しながら死んでいきます。
寂しい、そして迷惑な死に様です。
秀吉ファンの自分としては、非常に読んでてつらい部分です。
秀吉の死により、うやむやのまま、ようやく朝鮮との戦いが終わります。
その後徳川家康の台頭が始まります。
結構無茶します。このオヤジ。
特に前田利家が死んでからが物凄いですね。
確実に時期を捉え、その動きに無駄がないです。
周りを挑発しまくって、自分に味方する大名を確実に取り込み、敵対する大名を孤立させ、自分の天下取りに向かって驀進していきます。
西暦では1593年から1599年の物語。
この間真田家は、結構傍観者です。
しかし次はいよいよ関が原の戦い。
真田家にとって最大のターニングポイントを迎えます。
中盤の最大の見所です。

真田太平記〈5〉秀頼誕生

新潮社

このアイテムの詳細を見る

「真田太平記(四)甲賀問答」 池波正太郎

2006年04月24日 05時07分34秒 | 読書
時代は、いよいよ豊臣秀吉による朝鮮出兵に突入です。
ようやく日本国内に戦争がなくなって、これから平和が訪れるかに思われた矢先に起こった、まったく意味も目的もない戦争。
「真田太平記」ということで、真田家を軸とした小説なんですが、関連する歴史的出来事についても、池波さんはきっちり表現されております。
このあたりから、秀吉は壊れていきます。
読んでてつらいですね。
西暦では1591年末から1592年。
本巻は、朝鮮出兵(文禄の役)の流れを本流に、それに真田家がどう係ったのかを支流として、もう一本本流に沿うように甲賀忍者対真田草の者の対決が激化していく様子を別流として、物語はすすんでいきます。

真田太平記〈4〉甲賀問答

新潮社

このアイテムの詳細を見る


「真田太平記(三)上田攻め」 池波正太郎

2006年04月23日 00時39分14秒 | 読書
泊まったホテル(常滑市内)にネット環境があったもんで、とりあえず読んだ本の記録。
徳川家による上田城攻撃(第一次)に始まって、秀吉の小田原攻め、そして秀吉の全国統一から朝鮮出兵前夜、羽柴秀長、千利休の死という時代背景です。
1585年から1591年ごろか。
豊臣秀吉にとっては、絶頂期といえるかもしれません。同時に暗雲が立ち込め始めた時期ですね。
冒頭から、上田城の攻防戦です。
戦国時代の家康率いる徳川家ってのは、武田信玄以外に(三方ケ原の戦い)、この第一次上田城攻防戦と第二次上田城攻防戦の真田家にしか負けたことないんじゃないかと思ってますが、どうでしょう?
その第一次上田城攻防戦です。
家康本人が出陣してませんが、真田家は徳川・北条連合軍を追い払います。
これで真田昌幸(お父さん)の武名は一気に上がります。
気持ちいいですねぇ。
その頃、秀吉は四国征伐を終え、どんどんとその実力が強大となり、徳川家も結局は折れる形で、その傘下に入ることになります。
そういう情勢の中、真田信幸は徳川家康の養女として徳川家重臣本多忠勝の娘を嫁に迎え、真田幸村は上杉家から豊臣家へ人質(というよりも御側衆)のため大坂に入ります(後に幸村は豊臣家の家臣、大谷吉継の娘と婚約)。
この辺、後の関が原の伏線たっぷりで、読んでても緊張しますね。
豊臣家の実力が強大となった情勢を理解できない北条家は、豊臣家の謀略にはまり、真田家支配の名胡桃城を攻め、結果小田原攻めに会い、滅びることになります。
この辺りの状況を、池波正太郎は得意の忍者を絡め、見事に描ききってますね。
とりあえず天下は平定し、戦乱が絶え、秀吉は絶頂期を迎えたかに見えたんですが、なぜか秀吉は挑戦への出兵を決め、弟の秀長の死、千利休の処刑、羽柴秀次を養子に向かえ、そして秀頼の誕生と、どんどんと暗黒面が顔を出します。
太閤さん贔屓の自分としては、非常に読みづらい展開となっていく訳ですが、はたして真田家の運命は?
ってな感じで次巻へ突入です。

真田太平記〈3〉上田攻め

新潮社

このアイテムの詳細を見る



「真田太平記(二)秘密」 池波正太郎

2006年04月20日 21時37分55秒 | 読書
時代は本能寺の変直後から、羽柴(豊臣)秀吉が明智光秀、柴田勝家を滅ぼし、大坂城を築きながら、途中小牧長久手で徳川家康にちょっと噛みつかれつつも、着々と天下取りに向けて進んでいるところですね。
紀州の雑賀を滅ぼし、次は四国の長宗我部ってところです。
1582年の夏から1585年頃でしょうか。
その間真田家といえば、昌幸さんがきたる北条や徳川との戦いに備え、一生懸命本城となる上田城を築いています。
当然信州の小大名ですんで、北条や徳川のご機嫌を伺いながらとなるわけですが、徳川からの無理難題に耐えかねて、戦うことを決意します。
昌幸さん、心の中では秀吉贔屓ですんでなおさらですね。
んで、今まで敵だった上杉景勝に助けを求めます。
無茶苦茶ですね。上杉家にとっては、ホントに厄介な敵だったんですから。
当然上杉の本拠地、春日山城に呼び出されます。
呼び出されて行く方も行く方ですが、もう・・・上杉景勝カッコ良すぎです
いきなり、「あんたらには散々苦労させられたんや。今更何を言うねん!」と文句を言います。
だけど「けどまあ、そっちも大変やろし、水に流したるわ」ってことになっちゃいます。
さらに昌幸さんが人質として一緒に連れてきた源二郎(幸村)を差しだそうとすると、「北条、徳川敵に回すんやからどうせ勝ち目はないやろ。思いっきり父子一緒に戦って、もし生き残ったら預かるわ。頑張ってな。」と言う訳です。
(この部分、当然台詞回しは池波節ききまくってて、こんな下品な情景じゃないですよ)
これで真田家も上杉家を通じて羽柴(豊臣)家の後ろ盾を得ることができて、次の巻では前半の最大の見所(と自分が考えている)、上田城攻防戦に突入していく訳ですね。

真田太平記〈2〉秘密

新潮社

このアイテムの詳細を見る



「真田太平記(一)天魔の夏」 池波正太郎

2006年04月19日 20時12分53秒 | 読書
真田好き、忍者好きの池波正太郎が綴る、戦国時代終盤の物語。
もう17年ぶり位に読み返しますが、やっぱ面白いです。
池波正太郎さんって、台詞まわしが絶妙ですわ。
自分生まれは大阪に生まれ、18年間住んでたもんですから、真田家(というか幸村さんですが)に対する思い入れは大きいですねぇ。
んで本書。
全12巻の始まりとなるわけで、真田家が臣従してた武田家の滅亡から、一旦は天下を掴みかけた織田信長が亡くなる、本能寺の変までの期間の物語です。
戦国時代の終わりが見えかけた頃、信州の小大名である真田家がいかに戦い、結果家名を幕末まで存続させることが出来たのか。
真田昌幸(お父さん)、信幸(信之、長男)、信繁(幸村、次男)の活躍に、久しぶりに熱くなりたいと思います。

真田太平記〈1〉天魔の夏

新潮社

Amazonで詳細を見る


「塗仏の宴 宴の始末」 京極夏彦

2006年04月18日 21時27分12秒 | 読書
腰痛が治らないですねぇ
会社休んで、することないもんで読書です。
「塗仏の宴」の後半にあたる部分ですが、最後の(?)2/3は一気に読んでしまいます。
記録と記憶に関する話題や、妖怪達が絶滅する要因、洗脳、記憶の改竄といった話を織り交ぜながら、複雑に絡み合う複数の物語を収束させる手際は、やはりさすが京極堂ですね。
何度読んでも面白いです。

「塗仏の宴 宴の支度」 京極夏彦

2006年04月15日 21時21分42秒 | 読書
京極堂シリーズ6作目。
次の「宴の始末」と合わせて一つの作品となります。
これも何度も読んでるんで、話の流れ、結末ともに知ってる訳なんですが、やっぱり楽しく読めましたね。
シリーズ物の特徴なんでしょうが、だからシリーズ物が好きなんですが、京極夏彦も今まで出てきた登場人物(メインじゃなくてサブキャラが)もどんどん出してくる訳で、特にこの「塗仏・・・」は凄いですね。今までの集大成的な気合いで書かれたんじゃないでしょうか?(今のところシリーズ最終の「陰摩羅鬼の瑕」がイマイチ・・・ってのも、その後シリーズ新作を出されないのも、燃え尽きたのかな?と思ってます)
話の内容(面白さという意味で)は、自分的には今までのシリーズ中ランク低いですが、「絡新婦の理」や「姑獲鳥の夏」の続編的要素を持たせながら、同じテーマで複数の短編物語を絡め合わせ、次の「宴の始末」で一気に一つの物語にまとめ上げてます。
本作品は「宴の支度」ってことで、次の「宴の始末」にむけた複線を引きまくってる部分なので、当然次に読むのは「宴の始末」。
展開も結末も判ってる訳ですが、楽しみに読むことにします。
関口巽がたっぷり出てくるんで(メインキャラなのでしかたないですが・・・)ちょっとヤなんですが、大好きな「狂骨の夢」の朱美さんが活躍(?)するので、読んでて心地よいです。

「絡新婦の理」 京極夏彦

2006年04月01日 19時38分51秒 | 読書
もう何度目やろか?
最近本屋さんに行かんもんで、読み返しばっかりしてます。
「京極堂」シリーズの5作目。
自分の中では一番面白いと思ってます(関口出て来ぇへんし)。
何度も読んでるもんで、話の筋はしっかり頭に入ってるんですが、それでも楽しめるだけのしっかりとした構成が凄いですね。
文庫本で、物語の最後のページが1374。
新書では829。
持ってるだけで疲れるんですが、女権拡張論、キリスト教及びユダヤ教、日本の婚姻に関する風習等、結構ウンチクたまります。

次は何読もかな?
「塗仏~」になりそうで、しっかり京極堂の呪いにかかってしまってます

「ダ・ヴィンチ・コード(下)」 ダン・ブラウン

2006年03月23日 19時25分23秒 | 読書
面白かったです。
こういうのって、どこがどうって具体的に書いてしまうと、思いっきりネタバレになってしまうから困ったもんです(単に表現力がないだけか?)

やっぱり主人公はラングドンなわけで、彼がおいしいとこ持ってくのは仕方ないけど、ソフィーの扱いが尻つぼみかなって感じがして、ちょっと不満。
暗号解読官って肩書きで登場して、いきなり最初の謎をサクッと解いて、「おおっ凄い!」って思わせといて、あとは一緒におるだけ・・・
う~ん。
アリンガローサも最後は小物扱いやし・・・(けど彼の人格にはいい意味で騙されました)
ファーシュ警部に関しては、「突然お前何やねんっ!」て突っ込んでしまうほど、彼の人物設定にはいい加減なものを感じました。

けどきっちりどんでん返しも効いてて、謎解きの面白みも発揮されて手、娯楽小説としては十分に楽しめました。
これを真実だと思ったりすると馬鹿馬鹿しいけど、信仰者にとっては面白くないでしょうね。

ダン・ブラウンあたりが何と言おうが、他の研究者達が何と発表しようが、結局はレオナルド・ダ・ヴィンチにしか判らないことなんですから、単純に娯楽小説として楽しみましょう。