The Society of Helical Carbon ヘリカル炭素学会

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がん告知

2015-07-22 23:23:38 | がん

がんを告知された場合、患者が受ける心理的ショックは大きい。誰でも気持ちが滅入ってしまうことだろう。

がん告知を受け、手術を受けた後の患者の心理的対応に、その後の治癒の状態が大きく関わっているという研究がある。たとえばがんの術後状態が同じ場合、どちらの態度が「長生き」するのだろうか。

a.冷静に受け入れる
b.(がんであることを)否認し、怒る

日本人患者はaの態度を取り、医師に従順になる。しかし、痩せ我慢でなければ長生きするのはbらしい。

鹿児島大大学院の山中寛教授は、aのような態度を取れば、医師の言うとおりの長さの余命になるケースが多いのではないかと疑問を呈す。

「私たちは医師を偉い人と思っているので、従順になりがち。でも余命は誰にもわからない。医師に依存せず、喜怒哀楽を表出するタイプの人こそ長生き。そういう人を多く見てきましたし、私もその好例かもしれません」

山中教授は主体的にがんと向き合い、医師の余命宣告を大きく裏切って精力的に講演や執筆を行っている。

「2009年4月に大腸がんが見つかり、すでに肝臓に転移していました。医師の告知は淡々としていて、私の顔を見ずにMRIの画面を見ながら話す。患者の心情に寄り添わない態度に、失望しました(笑)。

まず大腸がんを切りました。次に3カ月~半年後に肝臓のがんを切除する予定でしたが、大腸がんの手術のときに薬の副作用が強くて、アレルギー反応や薬剤性肝炎などで死にかけました。それなのに、主治医は『手術は大成功』と言う。怒りが込み上げてきました。死にかけているのに、何が大成功だと。

でも、何も言わずに我慢した。すると症状はますます悪くなった。こういうときに怒りを表出する人が早く治るんですね。それに気づき、薬の副作用もあって肝臓がんの手術に踏み切れませんでした。抗がん剤も使わない、放射線治療も受けない、いわゆる標準治療をしない道を選択しました。『1年後には死にますよ』と医師は言った。淡々としたものです。その後、代替医療や祈り、食事や運動に注意するなどして、今でも生きている。がんは少しずつ大きくなっていますが、医師のバイオロジカルな見立てどおりにはいかない。ひとの命は不思議です」

そういった体験もあり、山中教授はがん患者の気持ちのあり方に興味を持ったという。

「イギリスの大学病院のキングス・カレッジというところで、乳がん患者の気持ちの持ち方が延命にどう影響するかを調べたデータがあります。同じ症状の患者に、術後3カ月の心理状態を確認すると、大きく4通りに分かれました。

・絶望している人
・冷静に受容する人
・(がんであることを)否認する人
・闘争心を持つ人

そういう分類をして、13年後まで追跡調査をした。

1番長生きしたのは闘争心を持つ人でした。がんなんかに負けないと思った人。2番目が否認する人。医師が間違っている、私はがんじゃないと思うような人です。日本人には冷静に受容しようとする人が多いのですが、そうするとわりと早く死にます。絶望している人も、もちろん長生きできません。

がんは自分の生き方がつくるもの。それまでの自分の生き方がストレスになってがんをつくる。手術はまだしも、抗がん剤や放射線治療など自分の体の存在自体を忌み嫌って傷つけることを、私はやめた。お利口だから大人しくしていて、という態度です。その代わり、昔の自分の生き方と戦う。がんの原因になったストレッサーを排除して、やさしく丁寧に生活する。この生き方が私には合っていたように思います」

統計によれば、日本人の2人に1人はなんらかのがんになるという。告知にどう心を構えるか、決して他人事ではない。気持ちの前向きさに、がんの進行が譲歩するのである。

がんは人生における最大級のピンチだ。しかし、それまでの悪弊を断ち切り、新たなライフスタイルを確立する大チャンスでもあるのだ。

http://president.jp/articles/-/15756?page=1


レントゲン検査

2015-07-22 23:05:07 | がん

タバコ、遺伝、肥満……さまざまな要因が取りざたされる発がんのメカニズム。実は、私たちが普段何気なく病院で行っている「レントゲン検査」が、日本人の発がん理由の4.4%を占めているとしたら……。『「先生が患者ならどうします? 」医師が自分のために選ぶクスリ・治療法』の著者であり、医学博士の岡田正彦氏にその実態をうかがいました。


● レントゲン検査を強制するのは 憲法違反? 

 がんは遺伝する、と思っていませんか? 
 遺伝するがんも確かにありますが、せいぜい全体の5パーセントくらいです。ほとんどのがんは、環境中、または生活習慣にその原因を見出すことができます。原因は、現時点で7割ほどが明らかになっていますが、そのランキングの第4位が、なんとレントゲン検査による放射線被ばくなのです。

 世界中の先進国を対象に行われた実態調査によれば、日本に限り、がんによる全死亡数のうち4.4パーセントがレントゲン検査によるものだ、と断定されています。
 なぜ日本限定かといえば、レントゲン検査の件数が他の先進国に比べて圧倒的に多いからです。CTの稼働台数が他の国々に比べて非常に多く、第2位を2倍以上も引き離しているという事実もあり、間違いはないでしょう。

 この意味で気になるのは、日本ですべてのサラリーマンに課せられている定期健診です。メタボ健診と兼ねて行われることも多いのですが、腹囲、血液検査、検尿、心電図などの検査とともに、胸部レントゲン検査が必須となっています。
 連載第1回目ですでに紹介したとおり、定期健診を受けないと雇用者(会社)が法律で罰せられる仕組みになっていて、実質的に強制されていることと同じなのです。
 このような法律は外国にはありません。

 過去、この法律を改定するチャンスは何度かあったようですが、国が招集した専門家会議で、健診業界の代表が、レントゲン検査を存続させるため必死になって低レベルの発言を繰り返すなど、あきれた実態も明らかにされています。
 日本国憲法には、『すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』と書いてあります。しかし、きわめて有害、かつ何ら利益を生むことのないレントゲン検査を国民に強制しているのは、重大な憲法違反であると僕は思っています。

● レントゲンでがんになるかどうかは、 宝くじに当たるか当たらないかと同じ? 

 ある講演会で、僕の話が終わったあと、一人のご婦人から、こんな質問を受けました。

 「私の子どもが、医師に勧められてCT検査を2回も受けてしまいました。大丈夫でしょうか? 」

 発がんの仕組みは複雑ですが、原因が作用してから、がん細胞が発生するまでの出来事は、比較的短時間に終了します(正確な時間は不明)。その際にがん細胞が発生せずにすんだのであれば、危機は完全に去ったことになり、あとでがんになることはありません。

 がんになる確率は、発がん原因に暴露した回数(たとえばレントゲン検査の回数)に比例して高まると考えればよいでしょう。
 その状況は、ちょうど宝くじを買う場合に似ていて、何回も繰り返し買っている人ほど、一生涯のうちに当たるチャンスも大きくなるのと一緒です。

 つまり質問にあったように、CT検査を2回受けた直後にがん細胞が発生していなければ、放射線被ばくを受けたことは忘れてしまって構わないことになります。ただし、がんになったかどうかは、潜伏期をすぎたあとでなければわかりませんから、「あとあと大丈夫か? 」という質問には誰も答えられないのです。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150722-00075011-diamond-sci&p=1

近藤誠、放射線被曝CT検査でがんになる、亜紀書房(2011) ISBN 978-4-7505-1113-9 C0095