今回は、男性7人組R&Bグループ、メイズ・フィーチャリング・フランキー・ビヴァリー(Maze Featuring Frankie Beverly)の「When You Love Someone」を紹介します。
心を和ませてくれる優しいサウンドと、フランキー・ビヴァリーのなめらかなシルキーヴォイスで包み込んでくれる「When You Love Someone」は、彼らのライブアルバム『Live In Los Angels』(1986年)に収録されていた新曲で、アルバムからの2ndシングルとしてカットされ、1986年12月13日付R&Bチャート38位を記録。ちなみにポップチャートにはエントリーしませんでした。
まあ、名曲はそんなにヒットしなくてもいいんですよ…。たまにレコード盤に針を落として、「ああ、いい曲だよなぁ」とじっくり感慨にふけるだけでシアワセになれますから…。きっとフランキー・ビヴァリーだって、チャートの上下より、21世紀に入ってもいい曲だと聴き続けてもらえるほうがうれしいんじゃないですかね??
30秒間の試聴もできますので、ぜひトライしてみてください。
マーヴィン・ゲイ、スモーキー・ロビンソン、ルーサー・ヴァンドロス、マイケル・マクドナルド、ジェフリー・オズボーンなど、シルキーヴォイスという形容詞が当てはまるシンガーはたくさん存在しますよね。でも、つやっぽくなく、セクシーでもなく、ディープでもない、純然たるシルキーヴォイスというのはフランキー・ビヴァリーだけだと思うのですが、いかがでしょうか??
当時レコード盤で発売された2枚組のライブアルバム『Live In Los Angels』は、1枚目のA面にライブ4曲、B面にライブ4曲、2枚目のA面にライブ3曲、B面にスタジオ録音の新曲4曲という構成でした。
ライブだとアレンジを変えてたり、声が出てなかったり、演奏がイマイチだったりと、同じ曲でもアルバムバージョンのほうが格段に聴きやすいっていうことがありますよね?? メイズ・フィーチャリング・フランキー・ビヴァリー自体もともとライブに定評のあるグループなので、1枚目のA面から2枚目のA面ラストまで通して聴くとホントにその会場の一番前にいるような興奮が伝わってきます。
その熱い感動の直後にスローナンバーの「When You Love Someone」が出てくると、ライブでヒートアップしたカラダをクールダウンさせてくれるかのような心地いい優しさに包まれること間違いナシですよ!
あまりヒットしなかったメイズ・フィーチャリング・フランキー・ビヴァリーの「When You Love Someone」、個人的評価☆☆☆☆☆(五つ星)の大オススメ作品です。
■メイズ・フィーチャリング・フランキー・ビヴァリー■
グループの創設者であり、プロデューサー兼ソングライターのフランキー・ビヴァリーは、1946年12月6日、ペンシルヴァニア州フィラデルフィア生まれ。本名ハワード・ビヴァリー。1956年にわずか9歳でドゥーワップグループのフランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズの影響を受け、自らをフランキーと呼ぶ。教会で歌っていたフランキー・ビヴァリーは、12歳で地元ドゥーワップグループ、シルエッツ(Silhouettes)に加わり、1959年からツアー参加。1960年代初頭に入り、自らのグループ、ブレンダーズ(Blenders)を結成するが、ブレンダーズ解散後の1963年、ノーザンソウル系グループ、ザ・バトラーズ(The Butlers)を作り再スタート。地元のマイナーレーベルから何枚かのシングルを発表するも不発に終わる。1970年、フランキーは新たにロウ・ソウル(Raw Soul)を結成し地元レーベルから3曲のシングルをリリース。フィラデルフィア出身=フィリーソウルというカテゴリーから脱却するため、1971年にはサンフランシスコのベイアリアに活動拠点を移す。サンフランシスコやオークランドで演奏活動を続ける中、彼らのアイドル的存在であったマーヴィン・ゲイがフランキー・ビヴァリーの歌唱力とソングライト能力に感銘を受け、グループをキャピトルレコードに紹介し、1976年にメジャー契約が成立。彼らはマーヴィン・ゲイからグループ名を変えたほうがいいのではというアドバイスを受け、メイズ・フィーチャリング・フランキー・ビヴァリーに改名。1977年のデビューアルバム『Maze Featuring Frankie Beverly』はゴールドアルバムに輝き、何人かのメンバーチェンジを繰り返ものの、1978年の2ndアルバム『Golden Time Of Day』、1979年の3rdアルバム『Inspiration』、1980年の4thアルバム『Joy And Pain』と、立て続けにゴールドアルバムを生み出す。R&B界最高のライブパフォーマンスと称された彼らは、1981年に新曲入り2枚組ライブアルバム『Live In New Orleans』をリリース。1983年のオリジナル5thアルバム『We Are One』、「Back In Stride」(1985年4月13日付全米R&Bチャート1位~2週連続)の全米R&Bナンバーワンを生んだ6thアルバム『Can't Stop The Love』に続き、新曲入り2枚組ライブアルバム『Live In Los Angels』(1986年)を発表。1989年にキャピトルを離れワーナーに移籍。移籍第一弾となる7thアルバム『Silky Soul』からは、1stシングル「Can't Get Over You」(1989年9月23日付全米R&Bチャート1位~2週連続)がR&Bナンバーワンに輝くとともに、マーヴィン・ゲイにささげた「Silky Soul」(1990年1月20日付全米R&Bチャート4位)もヒットを記録。北米とヨーロッパツアーの後、充電のために長期の休養を取るが、1993年に8thアルバム『Back To Basis』をリリース。彼らはツアーのオープニングアクトに新人時代のトニ・ブラクストン、アニタ・ベイカー、レジーナ・ベルといったアーティストを積極的に起用し、パフォーマンスの機会を与えたことでも知られている。