最新のR&Bチャートをご紹介

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速藤年正 Toshimasa Hayato

ブルック・ヴァレンタイン

2005年05月06日 15時40分44秒 | 全米チャート
brooke_valentine

今回は期待の新人女性R&Bシンガー、ブルック・ヴァレンタイン(Brooke Valentine)のデビューアルバム『Chain Letter』を取り上げます。

すでにアルバムからはリル・ジョンがプロデュースを手がけた1stシングル「Girlfight」(2005年5月7日付全米R&Bチャート13位)がヒットを記録。リル・ジョン主催のパーティに出席したブルック・ヴァレンタインが、わずか10分でソングライトしたとのこと。
リル・ジョンと言えば、自らのグループ、リル・ジョン&ザ・イースト・サイド・ボーイズを率いると同時に、アッシャー「Yeah!」(2004年2月28日付全米チャート1位~12週連続)や、シアラ「Goodies」(2004年9月11日付全米チャート1位~7週連続)などのナンバーワンプロデューサーとしても大活躍。
1990年代前半に流行したマイアミベースの21世紀バージョンとでも言いましょうか(ビートはマイアミベースよりもかなり遅いですが…)、ブ厚いベースラインとゴリゴリのシンセサウンドが特徴的なアトランタ発パーティミュージック《クランク》の立役者であります。

ブルック・ヴァレンタインの所属はヴァージンレコード。最近ではジャネット・ジャクソンとアニタ・ベイカーぐらいしかブレイクしてないこともあり、人気プロデューサーのジャーメイン・デュプリをトップに迎えアーバンミュージック部門を新設。
各レコード会社ともアーバン(R&Bとかヒップホップとかの総称)系の売り上げシェアが大きいので、ヴァージンも心機一転の勝負に出たというとこですかね。
そのヴァージンからの新星がブルック・ヴァレンタインです。

1stシングル「Girlfight」がリル・ジョンのプロデュースだったこともあり、最初は、リル・ジョン人気にあやかったイケイケねーちゃんだとばかり思ってましたが、アルバムを何度か聴くと、結構な可能性を秘めてる新人だということが判明。

ブルック・ヴァレンタインの詳細については後述するとして、アルバムでは16曲(日本盤ボーナストラック含む)のソングライトを担当。わずか4カ月で全曲書き上げてしまったというからソングライトの能力はバツグンですよね。
その歌詞も、かなりタフな内容の「Girlfight」からティーンのオトメ心をつづったキュートな「Cover Girl」まで、多彩なブルック・ヴァレンタインを楽しませてくれます。

サウンド面に関してアメリカのレコード会社&マスコミは「ポップから、ロック、オルタナティヴ、ダンスまで幅広い」と評価し、本人も「クランクのシンガーじゃないし、R&Bのアーティストでもないの。何でも歌えるわ。だからひとつのカテゴリーに閉じ込めないでネ」(←ちょっと脚色あり)とコメント。

そのアルバム内容ですが、仮にラジオでかけるとしたらどの曲を選ぶかという基準で聴いてみると、これはいいなと思ったのが3曲、まあまあかなと思ったのが2曲。

《これはいい組》

01.「Girlfight」
なんたって1stシングルですからね。人気のリル・ジョンがプロデュースしてますし、アウトキャストのビッグ・ボーイもラップ参加と超豪華。ある女の子(ブルック・ヴァレンタイン??)が知り合いの女の子に「あんた気に入らないのよ」と爆発する歌詞内容。ちなみにプロモーションビデオのラストはキツーいパンチで終わります。

03.「Long As You Come Home」
ダイナスティの「Adventures In The Land Of Music」(1980年のアルバム『Adventures In The Land Of Music』収録)をサンプリングしたバックトラックがすごくキャッチーです。キャンプ・ローの「Luchini aka (this is it)」(1997年3月1日付全米R&Bチャート21位)でも使われてましたよね。シングルカットすれば、ある程度はヒットするんじゃないかなぁ??

05.「Cover Girl」
バラードです。アコースティックなギターとシンプルなオルガンの音色が不思議と心に響きませんか?? ルックスはハデなのに、ちょっと優しいタッチで歌うあたりがいいですよね。歌詞がまた切ない…。「自分が雑誌モデルの女の子みたいだったらいいな」とティーンならではのキュートなハートを歌ってます。

《まあまあ組》

02.「Taste Of Dis」
サウンドはほとんどデスティニーズ・チャイルドですよ。またそれがカッコいいんですけどね。プロデュースを担当するSoul Diggazは資料によるとデスティニーズ・チャイルドも手がけたと載ってるのですが、いくら調べてもデスティニーズ・チャイルドのアルバム上にSoul Diggazのクレジットは発見できません…。マドンナのリミックスアルバム『Remixed & Revisited』(2003年)に収められていた「Into The Groove」と「Hollywood」の合体ソング「Into The Hollywood Groove」(2003年秋のGAPテレビキャンペーンソング)や、ミッシー・エリッオットの5thアルバム『This Is Not A Test!』(2003年)、トゥイートの2ndアルバム『It's Me Again』(2005年)などのプロデュースで知られています。

04.「Playa」
ブリトニー・スピアーズのベストアルバム『Greatest Hits: My Prerogative』(2004年)からの新曲「My Prerogative」と「Do Something」を手がけたBloodshy & Avantをプロデューサー起用。生前のオール・ダーティ・バスタード(2004年11月13日、ニューヨークのスタジオで突然死)とスタジオに入って収録した貴重なトラックだ。本来はかなり変態度の高いオール・ダーティ・バスタード(=ダート・マクガート)のラップも、軽やかなトラックに誘われたのかどことなく聴きやすく響いてくる。

こんな感じで参考になりましたでしょうか?? ブルック・ヴァレンタインのデビューアルバム『Chain Letter』、個人的評価☆☆☆★★(三ツ星)の期待作です。

■ブルック・ヴァレンタイン■
テキサス州、ヒューストン出身の現在19歳。アラニス・モリセット、アニタ・ベイカー、パット・ベネター、アル・グリーン、ルーサー・ヴァンドロスなど、さまざまな音楽を聴いて育った彼女は14歳の時にロサンゼルスでプロデューサーのデジャ(現サブリミナル・エンターテインメント社長)と出会い、女性3人組グループのベスト・ケプト・シークレットに参加。グループ解散後、マネージメント会社のインターフェイス・ヴィジョンに所属しソロ活動をスタートする。彼女の書いた何曲かがヴァージンレコード会長のマット・サーレティックに渡り、彼はブルック・ヴァレンタインの話を聞くために一路ロサンゼルスへ。ポップ、ロック、オルタナティヴ、ダンスと、幅広い音楽テイストを持つ彼女のライブパフォーマンスを見たレコード会社サイドは、彼女とのレーベル契約をすぐに決意。エグゼクティヴプロデューサーにデジャを迎え2005年3月15日に全米発売(日本盤は2005年4月20日発売)されたデビューアルバム『Chain Letter』は、発売1週間で4万2千枚(ニールセン・サウンドスキャン集計)のセールスを記録し、全米アルバムチャート初登場16位、全米R&Bアルバムチャートは初登場3位をマークしている。


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