はちみつブンブンのブログ(伝統・東洋医学の部屋・鍼灸・漢方・養生・江戸時代の医学・貝原益軒・本居宣長・徒然草・兼好法師)

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貝原益軒の養生訓―総論下―解説 043 (修正版)

2015-12-29 18:06:51 | 貝原益軒の養生訓 (修正版)
(原文)

世の人を多くみるに、生れ付て短命なる形相ある人はまれなり。長寿を生れ付たる人も、養生の術をしらで行はざれば、生れ付たる天年をたもたず。たとへば、彭祖といへど、刀にてのどぶゑをたゝば、などか死なざるべきや。今の人の欲をほしゐまゝにして生をそこなふは、たとへば、みづからのどぶえをたつが如し。のどぶゑをたちて死ぬると、養生せず、欲をほしゐまゝにして死ぬると、おそきと早きとのかはりはあれど、自害する事は同じ。気つよく長命なるべき人も、気を養なはざれば必命みじかくして、天年をたもたず。是自害するなり。

凡の事、十分によからんことを求むれば、わが心のわづらひとなりて楽なし。禍も是よりおこる。又、人の我に十分によからん事を求めて、人のたらざるをいかりとがむれば、心のわづらひとなる。又、日用の飲食衣服器物家居草木の品々も、皆美をこのむべからず。いさゝかよければ事たりぬ。十分によからん事を好むべからず。是、皆わが気を養なふ工夫なり。

(解説)

 中国伝統医学が完成しつつある時代、後漢末は華陀や張仲景などの有名な医師がいた時代は、人々が運命論を信じていた時代でもありました。人の運命、寿命は生まれながらにして決定しているという運命論は世界中に見られます。そして当時の中国では占い師も医師も同列に見られていました。占いの方法は、天文占い、風占い、吉凶占い、人相占い、夢占いなどいろいろあり、それらの名人達は華陀とともに『魏書』方技伝に名を連ねています。

  相術の名人では朱建平が知られています。彼は魏の文帝や夏候威などの寿命を的中させました。これはいわゆる人相見であり、その人を見ることでその運命や寿命を占うというものです。その目に見ることのできる相、それを益軒はここでは「形相」と言っています。そして「生れ付て短命なる形相ある人はまれなり」と言っていますが、これは「貝原益軒の養生訓―総論上―解説 004」で述べたことと同じです。

  「彭祖」とは伝説の長寿者です。『荘子』や『列子』、『列仙伝』にも登場し、夏代から殷代まで生き、齢八百歳とも言われています。益軒は、そんな彭祖でも「刀にてのどぶゑをたゝば、などか死なざるべきや」と言い、人々に長寿をあきらめることをさせず、努力して生きることを勧めるのです。

(ムガク)

(これは2011.3.16から2013.5.18までのブログの修正版です。文字化けなどまだおかしな箇所がありましたらお教えください)


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