はとるのメモ帳

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ストームブリンガー

2007-03-02 22:42:45 | 映画とかドラマとか音楽とか
永遠の戦士エルリック4に収録されている最後の話です。
そして旧訳版での完結編でもあります。

<法>と<混沌>、どちらが一方的に勝っても世界の破滅です。
今回の話では<天秤>が大きく<混沌>の側に傾きます。
そして世界は崩壊していきます。では、もし<法>の側に大きく傾いたらどうなるのか?
世界は秩序の元に停滞してしまうと話の中で言われています。
進歩や発展のためにはそのバランスが重要なのです。
エルリックはその破壊と再生のキーパーソンとして運命に翻弄されます。

 今回のキャラクター相関図です。
 今回は長編のため登場人物が多いです。
 それも今までに出てきた重要な人物が数多く再登場しています。



あらすじ(ネタバレ注意)『

エルリックの妻、ザロジニアが何者かに誘拐された。魔性の者の仕業だった。
一度は捨てたストームブリンガーを再び手に、残された手がかりから西の大陸に向かうエルリック。
一方、西の大陸ではパン・タン国ダリジョール国同盟の侵略軍が
ジャーコルを初めとする隣国に侵攻しようとしていた。
ジャーコル女王イシャーナは近隣国と同盟し、この侵略を迎え撃つ。
侵略軍は<混沌>の神を召喚しているようだった。
エルリックはザロジニアの誘拐にパン・タンの神政官ジャグリーン・ラーンが
関わっていることを知る。侵略軍とジャーコル同盟軍の戦いの中、
ストームブリンガーを手にラーンに挑みかかるが、魔力の武具に守られたラーンには
通用しない。そして戦も敗戦、イシャーナは戦死、無残な最期を遂げる。
敗走するエルリックは<十者>の一人セピリズに出会う。
伝説では<十者>とは<運命>に仕える預言者であり、この世の終わりが近づくと眠りから
目覚めるとあった。セピリズの話では、ラーンの召喚した<死せる神々>ダルニザーンが
自らを滅ぼす力を持つストームブリンガーと引き換えにするためザロジニアを誘拐したと
いうことだった。ストームブリンガーとその姉妹の剣モーンブレイドは
この世の終わりに<混沌>の神を滅ぼすために鍛えられた剣だった。
そしてそれらの剣を使いこなせるのはメルニボネ王家の人間のみ。
次元の狭間からモーンブレイドを取り戻したセピリズはそれをエルリックの従弟の
ダイヴィム・スロームに渡す。ダルニザーンの元へ向かう二人。
ダルニザーンはザロジニアと引き換えに二振りの魔剣を渡せ、と言う。
その言葉どおりに魔剣を渡すが、ダルニザーンの手の中に魔剣が収まった時に
魔剣に呼びかける二人。自らの意思で宙を舞う魔剣にダルニザーンは滅ぼされる。
ザロジニアを連れてカーラークに戻る3人。カーラークには紫の島の海王や
諸国の代表が集まって侵略軍の対応を協議していた。
だが南方諸国は独自に侵略軍と相対するとして協議は物別れに終わる。
一方、エルリックとムーングラムは魔術師の島に向かい<法>の神の助力を請おうとする。
しかしラーンが召喚した<混沌>の神々の力で、西方大陸やその周りの海は
物理法則を失い、草木や岩は融けて崩れ海は荒れ狂っていた。
嵐で魔術師の島には辿り着けず、難破して西方大陸に打ち上げられる二人。
そこで預言者と出会い、ニレインのセピリズの元に行けと言われる。
セピリズに会うと、<混沌>の神達を滅ぼす為の、魔剣の同胞を呼び出す呪文を教えてもらう。
ストームブリンガーとは本来別次元に本体があり、この次元ではその顕現に過ぎないという。
ラーンの陣に向かうエルリックとムーングラム。
ニレインの馬は、宙を走ることができたのであっという間に陣に辿り着く。
迎え撃つ兵を無視し、ラーンの召喚した魔物を送還し、ついにアリオッホら
<混沌>の神々と相対するエルリック。ここでセピリズに習った魔法を使い
1000本もの魔剣の同朋を呼び出し、永遠にこの次元からアリオッホら送還する。
だが、同時にストームブリンガーも消え失せ、ラーンに捕らわれる二人。
南方諸国との海戦に連行されるが、ストームブリンガーを再度呼び寄せることで
船から脱出、援軍に来た紫の島の海王カルガン(スミオーガンの弟)の船に助けられる。
だが、海戦自体は<混沌>ピアレー神の軍勢を召喚した侵略軍の圧勝に終わり、
カルガンら紫の島の海王軍は撤退を余儀なくされる。
紫の島で協議するエルリックらのもとにセピリズが預言を伝えに訪れる。
戦士4人で、溜息砂漠の向こうに居る巨人モルダガを殺しその楯を奪って来い、という。
しかし侵略軍は迫っている為、取りに行く時間が無い。
海の精霊王を呼び出して力になってもらうことで侵略軍に対抗することになる。
狙うはラーンの乗る旗艦のみ。だがカルガンの船から旗艦に乗り込むも裏を掛かれラーンは居なかった。
さらにカルガンはエルリックの魔剣の暴走で命を落とす。
そこをピアレー神の軍勢に襲われ、船は融けて崩れ去る。精霊王も脱出できた人々を
紫の島に送り返すしか力が発揮できない。またも敗戦である。
精霊王は、ピアレー神を倒さなければその軍勢を滅ぼせないと言う。
巨人の楯を取りにいくしかない。東方大陸の沿岸を守っていたラッキールも
紫の島に敗走してきた。エルリック、ムーングラム、ダイヴィム・スローム、ラッキール。
4人の戦士が揃った。巨人の楯を取りに向かう4人。巨人の城への道では意志を持った木々が
4人に襲い掛かる。エルリックとダイヴィム・スロームが魔剣で次々になぎ払う。
さらに100人以上の衛兵が立ち塞がるが、二人の操る魔剣の敵ではなかった。
普通に殺してやれ、と暴走を諌めるラッキール。
だがストームブリンガーはラッキールをも殺しその魂を奪う。やっと正気に戻るエルリック。
巨人から懇願され命と引き換えにエルリックは楯を受取るがムーングラムは預言通り巨人を殺してしまう。
楯を持つとその周りだけ物理法則が一時的に甦る。これで混沌の軍勢に立ち向かえる、と戻る3人。
途中でザロジニアの父と出会い、カーラークは落ちザロジニアが行方不明になったことを知る。
エルリックは侵略軍の拠点に攻め込み、ピアレー神を倒す。だが、ラーンの魔力で白蛇のように
変えられたザロジニアを見つける。「魂をあなたとともに」と魔剣で自らの体を貫くザロジニア。
エルリックは悲しみの中、最後の拠点とするべくムーングラム、ダイヴィム・スロームらとメルニボネに向かう。
眠りにつく竜を起こすことが出来れば、ラーンの軍勢に対抗できるかもしれない。
だが、年単位の睡眠をとる竜は目覚めない。仕方なく休息を取る3人。
エルリックの夢の中にセピリズが現れ<法>の神の助力を得られたことを伝える。
夢の中で<法>の神ドンブラスは、<運命の角笛>を3度吹き鳴らし、この世を終わらせよと言う。
夢の神託に従い、一人<運命の角笛>を別次元に取りにいくエルリック。
別次元で‘曲がりの’ジャーメイスの力を借り<角笛>を手に入れる。
戻ってきたエルリックが<角笛>を吹き鳴らすと竜たちが目覚める。
しかしエルリックも立っていられない程に力を失う。
だが回復する薬も無い。そのまま最後の戦いに竜の軍勢を率いて向かう。
竜の鞍に体を縛り付けて辛うじて飛ばされずにいるエルリック。
侵略軍を切り捨て力を取り戻すエルリックの前に<混沌>の神キシオムバーグが立ち塞がる。
魔剣を操りキシオムバーグを倒したところで、空を見ると竜もわずかしか残っていない。
そして丁度舞い降りてきた竜の元に駆けつけるとダイヴィム・スロームの屍があった。
ここで<角笛>を吹き鳴らすエルリック。<法>の神々が現れ加勢する。
エルリックはラーンを見つけ、用は済んだと竜たちをメルニボネ帰らせる。
ラーンとエルリックは相対するもお互いに魔法の武具で中々決着がつかない。
ついに、倒れたラーンの上から剣を振りかざすエルリック。
だが、簡単に殺しては復讐にならない。ムーングラムの剣を借りてラーンをなぶり殺しにする。
気が付くと、<混沌>と<法>の神々の戦いにも決着がついていた。
今や全世界が破壊され、その世界の再生のためには<角笛>を吹くのみ。
しかしエルリックにはその力は残っていなかった。
ムーングラムは無表情のまま剣の前に体を差し出す。ためらうエルリック。
剣が宙を舞い、ムーングラムは体を貫かれ恐怖と後悔の中で死んでいった。
最後に<角笛>を吹くエルリック。力尽きて倒れるエルリックが空に見たものは
巨大で釣り合った天秤と、それを支える手だった。その啓示に満足を覚えたエルリックが
首を返すと、ストームブリンガーが心臓めがけて落ちてきた。貫かれるエルリック。
「さらば、友よ。われはなんじの千倍も邪悪であった!」
ストームブリンガーは姿を変え、地を蹴って宙に舞い上がり<宇宙の天秤>を嘲笑った。
その笑い声は全宇宙にいまわしい歓喜をもたらした。
メルニボネのエルリックのサーガ、ここに終わる。



衝撃のラストです。
多くの仲間や親しい人に次々と訪れる悲劇。
考えるまもなく運命に翻弄されるエルリック。そして悲劇はエルリックも襲います。

この世界の破滅と再生の後に、より<法>に傾いた世界が生まれるとなっています。
その世界はエルリックらの世界よりも魔法の影響の無い世界。
つまり、今の我々の世界を暗示しています。

そして世界を破壊するためには<混沌>の力が必要で、その<混沌>を打ち破るためには
やはり<混沌>の力が必要なのです。それが<混沌>の力で鍛えた魔剣
ストームブリンガーでした。エルリックはそのストームブリンガーを使うように
運命付けられた戦士だったのです。

混沌の侵略軍と戦って負ければ、世界の破壊という破滅が待っている。
だから負けられない。しかし、結局敗戦続きで世界は破壊されてしまいます。
その戦いの最中「自分が世界を終わらせる」ことを預言で知らされます。
どの道、世界の終わりしかないのです。自分が終わらせた時は再生がある、
ならば運命に従おう。そして衝撃のラストシーンです。

ところで、普通の話なら「剣」とは男性的に描かれます。
しかしストームブリンガーは一環して女性として描かれています。
侵略軍から敗走して部屋に戻ったエルリックは、何気なく魔剣を寝台に投げ出します。
そこに妻のザロジニアが愛する夫の心の負担を軽くできれば、とやってきます。
勿論、優しい心遣いでエルリックと語り合うのですが、戦場に来ては行けないと
カーラークに帰るようにエルリックは諭します。
ザロジニアは「あなたの寝所には別の女性がいる」と魔剣を見て言います。
ラストシーンを除いて魔剣はセリフがないのに、この扱いですよ。
呪いというか絆というか、なんという優遇でしょうw

しかし、ここでエルリックサーガは終わってしまいました。
まだ3冊も残ってるのに!?この後はどうなるんでしょうか?

次回「夢盗人の娘」
時は流れ、20世紀のドイツを舞台に物語は再開します。


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2 コメント

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いよいよ・・・ (ayane)
2007-03-05 10:40:43
頭が混沌><
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混乱は (はとるん)
2007-03-05 10:44:24
本編を読めばスッキリする、か、も(^O^)/
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