はとるのメモ帳

思いつくままにいろんなメモを保存してます

物語の形式について

2006-07-01 00:35:04 | 物語論
私以外が見ると駄文というか、殆ど役に立たない。

Googleで検索して、面白いリンクを見つけると安心してしまう。
そのリンク先がいつまでも残る保証なのないのに。
だから、そんなときは、このブログをメモにする。
大抵は趣味的なものだ。
まずはヴラジミール・プロップ『民話の形態学』
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知られている魔法民話の機能の数は限定されている。
01 家族の一人が家を留守にする(不在)
02 主人公にあることを禁じる(禁止)
03 禁が破られる(侵犯)
04 敵が探りをいれる(探りだし)
05 敵が犠牲者について知る(漏洩)
06 敵は犠牲者またはその持ち物を入手するために、相手をだまそうとする(悪計)
07 犠牲者はだまされて、相手に力を貸してしまう(幇助)
08 敵が家族のひとりに、害や損失をもたらす(敵対行為)
09 不幸または不足が知られ、主人公は頼まれるか、命じられて、派遣される(仲介・連結の契機)
10 探索者が反作用に合意もしくはこれに踏み切る(始まった反作用)
11 主人公は家を後にする(出発)
12 主人公は試練をうけ、魔法の手段または助手を授けられる(寄与者の第一の機能)
13 主人公は将来の寄与者の行為に反応(主人公の反応)
14 魔法の手段を主人公は手に入れる(調達)
15 主人公が探しているもののある場所に、運ばれ、つれて行かれる(二つの王国間の広がりのある転置、道案内)
16 主人公とその敵が直接に戦いに入る(戦い)
17 主人公が狙われる(照準)
18 敵が勝つ(敵の勝利)
19 初めの不幸または欠落がとりのぞかれる(不幸または欠落の除去)
20 主人公は帰還する(帰還)
21 主人公は迫害や追跡をうける(迫害、追跡)
22 主人公は追跡者から救われる(救い)
23 主人公は、気付かれずに家または他国に到着する(気付かれない到着)
24 偽の主人公が、根拠のないみせかけをする(根拠のないみせかけ)
25 主人公に難題を課す(難題)
26 難題が解かれる(解決)
27 主人公が気付かれる(判別)
28 偽の主人公や敵、加害者が暴露される(暴露)
29 主人公に新たな姿が与えられる(姿の変更)
30 敵が罰される(罰)
31 主人公は結婚し、即位する(結婚)
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次は夢を語る技術(5)神話の法則 ライターズ・ジャーニー

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12のステージ
○ステージ1:オーディナリー・ワールド(日常の世界)
 ヒーローが現在いる世界。ヒーローはやがてここから出て特別な世界 への旅をする。

○ステージ2:コール・トゥ・アドベンチャー(冒険への誘い)
 ヒーローはこれから待ち受ける冒険とともに紹介される。ヒーローが一度冒険への誘いを受けると、もはや日常の居心地の良さには浸って いられなくなる。

○ステージ3:リフューザル・オブ・ザ・コール(冒険への拒絶)
 ヒーローは冒険に対して尻ごみし、冒険への誘いを断るか気乗りのしない態度をとる。

○ステージ4:メンター(賢者)
 ヒーローは導き手であるメンターに励まされ、冒険へと向かい始める。

○ステージ5:クロッシング・ザ・ファースト・シュレスホールド (第一関門突破)
 ヒーローはついに冒険に踏み出しスペシャルワールドに入る。この時点 で、ヒーローは問題や挑戦に対して前向きになる。ここから真の冒険が始まる。

○ステージ6:テスト、アライズ、エナミーズ(試練、仲間、敵対者)
 ヒーローは新しい挑戦や試練に直面し、仲間や敵対者と出会い、スペシャルワールドのルールを学び始める。

○ステージ7:アプローチ・トゥ・ジ・インモウスト・ケイヴ (最も危険な場所への接近)
 ヒーローはスペシャルワールドの中でも、最も危険な場所の入口にやっ てくる。そこにヒーローが捜し求めているものがある。そこでヒーローは大きな危機に直面する。

○ステージ8:オーディール(最大の試練)
 ヒーローの運命が奈落の底に落ち、その生死さえ不明になる。その試練を乗り切り、ヒーローは生まれ変わる。

○ステージ9:リウォード(報酬)
 ヒーローは死の危機を乗り越え、求めていた宝を手に入れ、英雄と呼ばれるにふさわしい存在となる。

○ステージ10:ザ・ロード・バック(帰路)
 この時点でヒーローはまだ完全に危機的な状況から脱してはいない。ヒ ーローは日常世界への帰還を決意するが、まだスペシャルワールドの魔力や危険、試練がヒーローを待ち構えている。

○ステージ11:リシュアラクション(復活)
 このステージはオーディール(最大の試練)に次ぐ第二の生死の瞬間である。ヒーローが最大の危機の中で、教訓を学び取ったかどうかを確認する最終テストであり、死と再生を通し、ヒーローは復活する。

○ステージ12:リターン・ウイズ・ジ・エリクサー(宝を持っての帰還)
 ヒーローはスペシャルワールドから日常世界へ帰ってくる。そのとき何らかの宝物を持ち帰らなければ、その旅は無意味なものになる。

7つのアーキタイプ
1.冒険の旅にでるヒーロー(英雄)
2.ヒーローを冒険の旅に誘い出すヘラルド(使者)
3.ヒーローに魔法の贈り物をするメンター(賢者)
4.ヒーローの行く手を阻むシュレスホールドガーディアン(門番)
5.常に変化しヒーローを困惑させるシェイプシフター(変化する者)
6.ヒーローを破滅させようとするシャドウ/ヴィラン(悪者)
7.現状を覆し息抜きを与えるトリックスター(いたずら者)

これらのアーキタイプはストーリーの中で、ひとつのキャラクターが最初から最後まで一貫して演じるというものではありません。
これらはキャラクターがストーリーを進める上でつける一時的な仮面とも考えられます。
あるキャラクターがヘラルドからやがてはトリックスターに変り、シャドウになることも珍しくはありません。

アーキタイプは様々な人格の象徴的な部分を具現化したものです。
優れたストーリーは人間の全体的、普遍的な状況を反映していると著者は言います。
主人公がこの世に生まれ、育ち、学び、自我を確立しようともがき、死んでいくというような状況です。
アーキタイプはひとりの人間の中にある人格の様々な側面ともいえるのです。
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最後に千の顔をもつ英雄 上

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英雄とは:
「生誕の再現」がたえずくりかえされる人間であり、その生命の啓示がカトドス(上り道)とアノドス(下り道)の交差の上に幾度となく成立するような人間のこと、総じては「自力で達成される服従(自己克服)を完成した人間」のことである。

神話の4つの力
①存在の神秘を畏怖に高める力(これはルドルフ・オットーが「ヌミノーゼ」とよんだものに等しい)
②宇宙像によって知のしくみをまとめる力
③社会の秩序を支持し、共同体の個人を連動させる力
④人間の精神的豊かさに背景を与える力

世界の英雄伝説に共通している構造
(1)「セパレーション」(分離・旅立ち)
日常世界から危険を冒してまでも、人為の遠く及ばぬ超自然的な領域に出掛ける
① 「冒険への召命」
 =★出立・分離あるいは冒険への使命がもたらされる。
 →★あるいは神・老人・特定の声などによる合図がある。
② 「召命の辞退」
 =★しかし、いったんは召命はなんらかの理由によって辞退もしくは理解できないものとなる。
 →★主人公は神から逃走しようとする自身の愚かさを露呈する。
③ 「超越的な援助」
 =★超自然的なるものが思いがけなくも英雄を支援する。
 →★与えられた冒険を受け入れた者に思わぬ天佑がもたらされる。
 →★このとき援助者は矮小あるいは貧しい老人や老婆の身なりをしていることが多い。またしばしば助言者は意地悪な妖精になっている。
④ 「最初の越境」
 =★こうして英雄は最初の境界をまたぐことになり(バウンド)、そこで境界を守る者との対決を試され、これをなんとか越境する。
 →★これは異界への突入、限界の突破、異界の守護者(渡守・橋姫・猿田彦など)の認識をあらわしている。
⑤ 「闇への航海」
 =★英雄はさらに闇あるいは魔の領域に突入し、いったんはまったく別の負荷状態になる。
 →★これはしばしば「胎内回帰」とよばれるもので、自己消滅の危機さえ伴う。
 →★物語のなかではピノキオのように鯨の中などに呑みこまれることが少なくない。いわば、夢を見ているのかと見紛うばかりの「英雄流動」の段階なのである。
(2)「イニシエーション」(通過儀礼)
その出掛けた領域で超人的な力に遭遇し、あれこれの変転はあるものの、最後は決定的な勝利を収める
① 「試練の道」
 =★ここからは英雄の試練が次々に続く。
 →★玄奘と孫悟空の試練、あるいは日本神話でいえばイザナギや大国主命の試練などをおもえばよいが、象徴的には主人公が英雄になるべく「転身の門」をくぐるためのプロセスになっている。
② 「女神との遭遇」
 =★英雄はひょんなことから女神あるいはマグナ・マーテルあるいはグレート・マザーと出会い、その力に包まれ、いきさつによっては聖婚(ヒエロス・ガモス)する。
 →★英雄は慈母・一時花嫁・代母などによって“永遠の幼児”としての至福感を初めて体験するわけである。
 →★これは主人公のエネルギーの「回復期」にあたるのであろう。
③ 「誘惑する異性」
 =★女神による回復をえた英雄は、しばしば誘惑者の快楽を断れない。しかし、このプロセスで英雄は「最大の真相」つまり「オイディプスの謎」を初めて理解する。
 →★神話上のスクリプトの中でも最も難解なところで、基本的には「父殺し・母との姦淫」が潜在しているのだが(第657夜『オイディプス王』参照)、それ以外にもマグダラのマリアや静御前や吉野太夫のような娼婦・白拍子・遊女との出会い、および悪女からの仕打ちが含まれる。
④ 「父との一体化」
 =★畏怖あるいは脅威の対象としての父が「大いなる父」でもあったことをどのように理解したかというドラマが、ここのテーマになる。
 →★『スター・ウォーズ』における隠れた父ダース・ベーダーとの対立と和解を思い浮かべればわかりやすいだろうが、キャンベルの原型はゼウスにおけるクロノスや、ディオニソスにおけるゼウスなどにあった。
 →★ここは別の観点からいえば英雄の「成熟」を暗示する。なぜなら英雄はここで初めてこれまでの試練の意味を悟ることになるからである。
⑤ 「アナザー・ワールド」
 =★英雄は父の真実の姿を知って驚くとともに、自分にとってはアナザー・ワールドである父がつくった国を体験する。
 →★この国は、王の国・神の国・ユートピア・アルカディア・老いた国・不老の国・魔王の世界・別世界そのほかの様相を呈する。
 →★しかしここでは、父に対するアンビバレンツな神格化もおこっている。そのためこの段階では両性具有のキャラクターがよくあらわれる。
⑥ 「終局の恩恵」
 =★英雄は大団円に到達する。それは不滅・勝利・獲得・謎解きなどの象徴の終焉であり、前に進む物語の終息である。
 →★ここで初めて世界模型の全貌があかされることが少なくない。たとえば須弥山、シャンバラ、エルドラドなど。
(3)「リターン」(帰還)
英雄はかれに従う者たちに恩恵を授ける力をえて、この不思議な冒険から帰還する
① 「帰還の拒絶」
 =★英雄は故国への帰還の旅立ちをするにあたって、収穫物(エメラルド板・黄金の羊毛・玉手箱・不老長寿の薬・金銀財宝・眠れる王女など)を持ち帰らなければならないのだが、その困難を予想して責務履行はいったん拒否される(あるいは持ち帰るほど期待される戦利品がない)。
 →★夢から覚めたくないという本音の気分が報酬の重荷に転移したというふうにも解釈できる。
② 「呪的逃走」
 =★押し付けられた戦利品(たとえば王女)から逃げ出したくなり、主宰の王や管理者からの呪いを振り払って逃走する。
 →★追跡者の手から逃れる逃走神話には、たいていは残し物・変種の物の散布などが絡む。
 →★ヘンゼルとグレーテルはお菓子の家に到達したのに、そこが怖くなって逃げるとき、さまざまな呪文と戦わなくてはならなかった。イザナギは冥界からの逃走にあたっては多様な物を投げ捨てながら走らなければならなかった。
③ 「外界からの救出」
 =★英雄の逃走が進むには、ときにそこに外部的な超常力が加わる必要がある。
 →★オズの魔法の国やアリスの不思議の国からの帰還には、外力が手をさしのべる。ダンテが地獄篇の世界を脱出するにも巨人の助力が必要だった。アマテラスの岩戸からの脱出にも外力が加わっている。
④ 「帰路の境界」
 =★英雄は彼岸から此岸に戻ろうとして、さまざまな境界を逆方向に、かつ上手にまたいでいかなければならない。それに失敗すると英雄は因幡の白兎か浦島太郎になってしまう。
 →★ここにはリップ・ヴァン・ウィンクルの原型がある。英雄は最後に「時間の旅」の試練を受けたのである。ここにトランジットの問題の本質があらわれる。
⑤ 「二つの世界の導師」
 =★英雄はついに空間と時間の仕切りを越えて帰還に至る。このとき、これまで仮の姿であったすべての化身たちの正体が、輝きあるいは驚きをもって出現してくる。そこに英雄自身が実は神の仮 の姿であったという逆転も含まれる
 →★英雄クリシュナは実は宇宙神ヴィシュヌであり、助六は実は曽我の五郎だったのである。
⑥ 「自由と本性」
 =★こうして英雄が故郷に戻ると、そこは まったく新たな王国・原郷・共同体としての活気に満ちてくる。祭りが挙行され、婚姻が進み、財産が配分される。
 →★この最後の場面こそ、その後に何度も再現されることになった世界各地の祭りのクライマックスになっていく。

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