あこや真珠の調色とナチュラル
一般的に断りのない限り『あこや真珠』と言えば
『調色された真珠』を指します。
あこや真珠は程度の差こそあれ、何らかの漂白処理をされています。
調色は漂白が必要なあこや真珠には欠かせない技術です。
我が国で真珠養殖の歴史が始まって以来今日まで100年以上もの間、
真珠加工会社が切磋琢磨して築き上げてきた、真珠加工技術なのだ
そうです。
とは言うもののあこや真珠が調色されているなんて、知らなかった人が
多いのではないでしょうか?
調色の必要がない真珠はごく一握りの高品質真珠だけなのです。
多くのあこや真珠にとって調色は欠かせない工程と言えます。
あこやの鑑別書付のお品をお持ちの方は鑑別書を見ていただくと
大抵の物はエンハンストメントしてあります等の表示があります。
こちらの表示ある物は何らかの調色処理が施されています。
あこやピンク系最高品質【花珠真珠】でも無調色のあこや真珠は
めったにありません。
という事で、
今日は真珠が製品になる前に行われる調色処理
真珠のしみ
真珠は貝から採り出した時から美しく輝くものだと思われて
いる方も多いと思いますが、そのような真珠は滅多に存在せず、
多くは染みや汚れを持っています。
宝飾品としての価値を発揮させる為に漂白処理が施されます。
真珠のシミとは真珠の一部が周りの色と違っている所の事を言います。
貝の分泌物に異常が起こりシミとなります。
貝から取り出された時に8割以上の真珠はこのシミをもっています。
このシミを取り除くために漂白処理が行われます。
ただ、この処理を行うとあこや真珠の本来もっている淡いピンク味
までをも漂白されてしまう場合があります。
それを補って元の状態に戻してあげる加工が調色です。
無調色真珠(ナチュラル)はこの調色加工を行っておらず、
真珠本来の生まれたそのままの美しさを追求したものです。
自然の海から生まれたままの「真珠本来の美しさ」にこだわって、
自然のままの美しさ、光沢・真珠層の緻密さ・色相をそのまま生
かした真珠がナチュラルです。
また、漂白処理をしていない前処理段階までの無調色真珠もあります。
調色は物理的には染色に属する加工ですが、真珠の表面に色を
着けるわけではなく、真珠層内部に染料を浸透させますので、
擦ったりして色が落ちることはありません。
この調色処理は鑑別書に記載される
エンハンストメントになります。。
調色加工の細かい手法・技術は各加工会社のノウハウです。
染みの多い珠など、この本処理で驚くほど美しく変わります。
しかし、元々の品質が粗悪な真珠はいくら調色を施しても綺麗
になることはありません。
本来調色を施した方が綺麗に仕上がっていたであろう無調色
の真珠を選ぶよりは、適切な加工により調色された真珠の方が
真珠本来の輝きを楽しむことができます。
照りに関しても漂白処理によって真っ白になってしまった無調色
の真珠よりも、きちんと調色された真珠の方が真珠層内部の光
の屈折率が適切になるため品質的に勝ります。
真珠を選ぶ時にはあまり調色、無調色にこだわり過ぎず
まず真珠として美しいかどうかを基準にして選ばれると
良いでしょう。
でもナチュラル真珠で素晴らしい物に出逢えたならば、
それは大変希少なお品との出逢いとなります。
真珠は調色の有無にかかわらず光によって褪色する傾向が
ありますので、保管時にはケースに入れて光に当てないように
しておくことが大切です。
また、調色は一般的に色褪せしやすいと言われていますが、
真珠層の巻き厚が厚ければ、過度に心配する必要はありません。
最後にエンハンスメント(改良)とトリートメント(改変)について
エンハンスメントは一般的に行われ、その真珠本来の美しさ
を引き出す加工の事ですが、トリートメントとは人工的に
色等を変えてしまう加工の事ですから注意が必要です。
つまり、エンハンスメントはお化粧のような事で、
トリートメントは美容整形のような事です。
エンハンスメントの例
加熱:色素、光沢の改良
漂白:シミ、色素の除去
シミ、色素の除去:軽度の色調の改良
トリートメントの例
染色:染料による色の改変
着色:化学薬品による色の改変
放射能照射:放射能照射による色の改変
調色か?ナチュラルか?
結局、大切なのは単に調色をしていないだけなのか、
調色の必要がないのか、の見極めが大切になってきます。
真珠選びの前にまず、真珠についての知識、経験が豊富なお店を
選ぶことが大切です。
調色についても疑問があれば遠慮なく聞いてみると良いでしょう。
品質に自信を持っているお店なら、きっと丁寧に答えてくれます。
中には、良くない真珠を加工の技術だけで美しく見せる真珠も多く
出回っています。
以上のことを考慮の上で、それでも私はナチュラル真珠を手にしたい
と思うのでありました
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