映像詩

デジタル映像による心の表現
(映像作品制作を通して感じたこと)

4282-妄想の旅を楽しむ

2024年04月30日 | 30秒の心象風景

 広重のヒット作、東海道五十三次の浮世絵で妄想の旅を楽しんでいます。一日一枚、一つの宿を旅するのです。別の土地へ移動するという空間だけの旅ではなく、江戸時代という時間の旅も同時に妄想するのです。そして、広重の絵画を楽しむということも同時進行するのです。時間と空間を超え、季節や天候も楽しめるのです。三島では早朝に出立する人々とともに、その空間に存在します。江戸時代の旅、これから険しい箱根への旅をどんな風に感じていたのか、絵に登場する旅人の表情からもいろんな思いが浮かんできます。まだ先は長い旅です。三島から西に進む人たちの表情は見えません。朝霧の中に消えていく人々の後ろ姿から想像するのです。

 

 


30秒の心象風景27728・三島 朝霧~広重の東海道五十三次~
https://youtu.be/tzTi34gxsFc


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4281-仏塔を見る

2024年04月29日 | 30秒の心象風景

 古刹と呼ばれる寺院の境内には、多くの伽藍建築があります。山門をくぐると金堂や講堂、そして仏塔に鐘楼、その他には常行堂や太子堂など、その信仰の歴史を伝えるものが並びます。また、護法堂など境内を鎮める境内社があります。特別に開山堂をもつ寺院もあります。法華山一乗寺はそのような寺院の中でも、特に山岳寺院とよばれるものになるでしょう。人々の生活する平地からは、かなり険しい道を上らなければならない山上の寺院です。多くの伽藍は、険しい山中に、高低差を持って並んでいます。最も高い位置にある本堂に観音様が祀られ、三重塔や常行堂などは、本堂に向かう途中に建てられているのです。本堂に向かう参拝者は、三重塔を見上げながら本堂に向かい、観音様にお参りすると、そこからは三重塔を見下ろすことができるのです。法道仙人開基の伝説を持つ法華山は、後に天台宗の寺院となって現在にまでその法灯を守っています。山中に配された伽藍群はその歴史を示しています。

 

30秒の心象風景27721・塔を見る~法華山一乗寺~
https://youtu.be/ULHfgcMtR20


 

 


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4280-現代アート

2024年04月28日 | 30秒の心象風景

   広重の東海道五十三次、デジタルデータから映像編集を楽しんでいます。その中でモーションを利用した疑似カメラワークを行います。そのときに、視点の誘導を行うのですが、それは鑑賞者の見所ポイントを選び出す作業になります。どこからどこへパンニングを行うか、開始点と終了点は特別な意味を持つものになります。色鮮やかなデジタルデータは、広重の描いた大本の彩色イメージを再現しています。刷り上がりから時間を経て、劣化してしまう前の色のイメージでしょう。かなり斬新な思い切った色と形を感じるのが箱根の山です。この部分だけをクローズアップしたとき、現代アートの抽象表現のような印象を受けたのです。

30秒の心象風景27711・箱根 湖水図~広重の東海道五十三次~
https://youtu.be/opj5qri_VSc

 


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4279-久々の来訪

2024年04月27日 | 30秒の心象風景

 法華山一乗寺は何度も訪れ、撮影を楽しんできた寺院です。一番の魅力は国宝の三重塔の存在です。最初に訪れたのは何十年前か思い出せないですが、本堂の解体修理以前の古い話です。それから、本堂の解体修理が終わった後には、落慶法要の映像記録を依頼され、特別な場所での撮影も経験しています。以降訪れる機会が増えて、文化財巡りというコンセプトの映像収録を行うようになりました。リカちゃんが登場するようになってからでは、2度目になる撮影です。訪れる度に境内の整備が進んでいるのを感じます。昨日までの雨がやっとあがった朝、週日で訪れる人も少ないことを期待して朝早く訪れることしたのです。期待通りの静かな境内です。山寺の古刹の雰囲気が楽しめそうです。

30秒の心象風景27705・案内板~法華山一乗寺~
https://youtu.be/uwlL9OEzpdE

 


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4278-珍しい組み合わせ

2024年04月26日 | 30秒の心象風景

 西国三十三所観音霊場。天台宗寺院の境内で、その石仏群を見ることが多いです。八徳山八葉寺は播磨天台六山の一つとして知られる古刹です。この境内にも、西国三十三所の観音石仏があります。最初の石碑に記された内容を見ると、既存の古い石仏が新たに配置し直されたように思えます。開山堂に向かう参道脇に、一直線に並んでいて、その背後は山裾が崩れないように新しく整備工事を終えた場所なのです。一番から順に三十三番まで観音石仏が並ぶのですが、15番の次は番外になっていて、それが讃岐善通寺なのです。弘法大師の生誕の地です。石仏も弘法大師の行脚姿です。修行大師と呼ばれるものです。そして、その次も番外で、高野山金剛峯寺になっています。これは、真言宗の本山です。善通寺も高野山もともに真言宗の重要な信仰の地です。天台宗の八徳山に、なぜと感じる存在です。

 

 

30秒の心象風景27693・番外・讃岐善通寺~八徳山石仏~
https://youtu.be/Ci_azKHBYQE


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4277-社殿建築

2024年04月25日 | 30秒の心象風景

仏殿や社殿などの伝統木造建築では、建築部材の至るところに彫刻が見られます。基本構造部材以外に、装飾を目的に加えられる部材もあります。建築技法の発達と共に装飾彫刻も豊かになってゆきました。社殿建築の庇、向拝と呼ばれる部分には虹梁と呼ばれる目立つ構造部材があります。その表面には、様々な装飾彫刻が施されます。木鼻と呼ばれる部分は特別な造形になっていることが多いです。神社などで見かけることが多いのは、獅子や象などの霊獣です。弥勒寺の護法堂では、向拝の虹梁に、鼻が長く牙を持つ象の頭部が刻まれています。向かって右側の象は口を閉じた吽形で、左側が阿形になっています。仁王門に祀られる仁王像や神社の拝殿前の狛犬などのように、右が阿形で左側が吽形という配置のものが多いのですが、弥勒寺の護法堂では数少ない逆の配置です。


30秒の心象風景27696・向拝虹梁の彫刻~弥勒寺護法堂~
https://youtu.be/hgt69HqfSaw


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4276-あえて雑草という

2024年04月24日 | 30秒の心象風景

 雑草生け花というものを知りました。生け花用に育てられた花ではなく、自然に生えている草を生け花として愛でる活動のようです。並べられた作品は、解説を聞かなければ、普通に生け花が並べられているようにしか見えないものです。あえて「雑草生け花」という表現で活動されているようです。「雑草という名の草は無い」という牧野富太郎のことばを知っている人から、なぜ雑草なのですかと聞かれることもあるということです。雑草には役に立たないものというイメージが付いていますが、もともと雑草という言葉に、そんな意味はなかったのではないかともいわれます。英語にはハーブ(herb)とウィード(weed)があって、weedを雑草と訳したことが影響しているとも言われます。害虫ならぬ害草のイメージが付いてしまったのです。雑草を他の表現にするなら野草の方が良いのではという人もいます。wildflowers です。

30秒の心象風景27675・野草が魅せる~雑草生け花~
https://youtu.be/UekMc-YnVxQ

 

 


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4275-仏像フィギュア

2024年04月23日 | 30秒の心象風景

  仏像フィギュアの存在を知ってから5~6年ほど経ったでしょうか。最初に出会ったのは、東大寺の仁王像でした。誰もが知る像でしたので、すぐにそのフィギュアだと解ったのですが、何より、その再現力に驚いたのです。土産物屋に並んでいるものより、よほど優れた造型だったのです。ガチャで販売されている組み立て式の玩具なのですが、とても廉価なフィギュアだと思えない造形だったのです。それから、フィギュアの収集をはじめて、フィギュア製作で有名な海洋堂の仏像を知ったのです。その中に特別仕様の極めて丁寧な彩色が施されたシリーズがあって、興福寺の阿修羅像と新薬師寺の伐折羅像、そして奈良国立博物館の十一面観音像を入手したのです。いずれも造立時の色彩を再現したものかと思ったのですが、十一面観音像は海洋堂が独自に色彩を選んで製作したもののようです。これは、妄想の色彩感覚なのですが、極めて魅力的な像になっています。

 

30秒の心象風景27674・時空を超える 3~十一面観音像~
https://youtu.be/pTu7U5qiOYs


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4274-旅人を描く

2024年04月22日 | 30秒の心象風景

 広重の東海道五十三次を楽しむ妄想の旅を続けています。今回で3巡目になるでしょうか。映像編集を伴うことが、絵の細部にまで注意を払う作業となり、さまざまな発見があり、新たに疑問が生まれてくることもあるのです。藤澤のタイトルは遊行寺になっています。実際に絵の中央奥に遠景として寺院建築が描かれています。藤澤は時宗の総本山である清浄光寺の門前町で、宗祖の一遍上人が全国を遊行したことから遊行寺ともいわれているのです。ところが目を引くのは前景に大きく描かれた鳥居です。これは、5キロほど先の江ノ島弁財天への入り口を示すものだというのです。その鳥居の脇に旅人の一団が描かれているのですが、どうやら目の不自由な人たちです。広重の絵には、このような障害を持つ人がよく登場します。これは、江戸時代の文化を示すものかと思います。そして、この一団は江ノ島詣出の人たちなのです。調べてみると江ノ島には、盲官の杉山検校(すぎやまけんぎょう)の話があったのです。江戸時代に活躍した「鍼師」杉山検校は、その技を江ノ島で感得したことで知られ、杉山検校のお墓にお参りる人が描かれてるのだと知りました。

 

30秒の心象風景27659・藤澤 遊行寺~広重の東海道五十三次~
https://youtu.be/Xo67aY327YY


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4273-蟇股の彫刻

2024年04月21日 | 30秒の心象風景

 国指定重要文化財、通宝山弥勒寺の本堂は小さいながら、丁寧な造りで、細部にまで精緻な彫刻が施された建築物です。吹き放ちになっている外陣の軒裏にも、二手先の組物に尾垂木が伸び、中備えの全てが蟇股で、そこに透かしの彫刻が入っています。向拝虹梁の上にある蟇股にも両面に透かしの彫刻があります。表と裏では異なる彫刻がはめ込まれています。特に裏側には、他では余り見ない彫刻があります。中央に花のようなものがあり、その左右に霊獣のようなものが配されているのですが、犬のようにしか見えないのです。左側のものは、狛犬のように蹲踞した姿勢なのですが、右側は四つ足で立った姿勢で、頭はこちらを向けているのです。まるで子犬のように見える獣です。霊獣の獅子と言えなくもないですがどう見ても子犬です。

30秒の心象風景27651・向拝虹梁の蟇股彫刻~弥勒寺~
https://youtu.be/BH1MnBMqW4M




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