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詩はここにある(櫻井洋司の観劇日記)

日々、観た舞台の感想。ときにはエッセイなども。

新国立劇場バレエ団 『不思議の国のアリス』 2018年11月11日(日)

2018-11-15 18:51:19 | 日記
5年前の英国ロイヤル・バレエ団の公演では、DVDまで購入して入れ込んだ作品なのに、時間の経過とともにどのようなバレエだったのかすっかり忘れてしまっていた、来年劇団四季が上演するトニー賞を受賞した『パリのアメリカ人』を創ったクリストファー・ウィールドンが振付。音楽は映画やテレビ番組での音楽を手がけるジョビー・タルボット。美術は数々の作品で何度もトニー賞を受賞しているボブ・クロウリーという一流アーティストが集結。劇場には、インスタ映えを狙った?装飾が数多く施されていて、まさに『不思議の国のアリス』一色だった。

オーケストラピットには、多数のパーカッションをはじめ、あまり見たことのない楽器が並び演奏はかなり難しそう。衣裳・美術も通常のバレエ公演を遥かに超えた規模で、オーストラリアバレエ団との共同制作となったのも肯ける。演出はアリスの年齢を少々引き上げて思春期の少女に設定して恋愛もテーマとなっていた。原作者ルイス・キャロルが活躍した時代、さまざまなイメージが交錯する不思議の国。小説を読みながら昼寝していた?現代のアリスと時間も空間も超越したバレエ。プロジェクション・マッピングを使用して摩訶不思議な世界を表現していて見事だった。

千秋楽の主役は、小野絢子と福岡雄大の黄金ペア。人気実力ともに新国立劇場の大看板の二人である。その小野絢子をしても、珍しく薄らと汗をかくほどのアリスは難役だったとみた。ほぼ全編にわたって踊り続けなければならないし、少々つかみどころのない役だったのかもしれない。余裕がないのである。観ている観客にも伝わってきて、二人の愛を謳いあげるはずの最終幕のパ・ド・ドゥも低調に終わってしまった。

第1幕。劇場の入口から不思議の国仕様。日本人が上演するのは難しいかもという先入観を打ち破る見事な舞台。小野絢子のアリスは全編踊りっぱなし。複雑な振付を軽やかに踊りきった。映像を使った場面転換も巧みで飽きさせない。音楽、美術、衣裳が高度に融合していた。

第2幕は英国ならではの遊び心があふれている舞台。帽子屋のマッドハンターはタップを披露した。猫は黒衣に操られ動き回る。歌舞伎のような場面が多数。アリスとジャックが再会し2人で踊る場面は幸福感で満たされた。小野絢子は踊りっぱなしで珍しく薄っすらと汗をかいているのがわかるほどだった。

第3幕。ハートの女王の益田裕子が『眠れる森の美女』ローズアダージョのパロディでわかせた。アイディア豊富で飽きさせないけれど悪ふざけにならない絶妙なバランス感覚。結局現代の恋人達の物語かと思わせてのオチ。「楽しかったねえ」の感想はあっても感動とは無縁な舞台だった。

はじめ、



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