昨年10月に世界初演された熊川哲也振付の新作バレエ『クレオパトラ』が早くも再演され、その千秋楽を渋谷の東急文化村オーチャードホールへ観に行った。
これまで有名作品を熊川版として改訂演出してきた熊川哲也だが、全く何もないところから作品を作り上げたのは『クレオパトラ』が初めてだったらしい。台本、音楽、舞台美術、照明、衣裳を一から作り上げる労力、資金と大変に違いないのだが、完成した作品は残念な結果に終わった。男性ダンサーに超絶技巧を盛りに盛った振付を施しているのだが、エンターテイメントではあっても芸術とは言い難いものだった。ある程度予想はしていたが。
海外で長く活躍し、日本人離れしたプロポーションとテクニックを持つ中村祥子と、昨年上演されたミュージカル『リトル・ダンサー』にオールダー・ビリーで出演していた栗山 廉を観るために出かけたのである。
『クレオパトラ』という語感から、豪華絢爛な歴史絵巻、例えばハリウッド映画ばりの合戦場面などを想像していたが、舞台は至ってシンプルな装置。真ん中から分かれる大階段に一番お金が掛かっていたかも。衣裳も地味目で華やかさはあまりなかった。
政治的な陰謀と愛憎劇が中心で派手さは極力抑えられていた。むしろ振付は例によって過剰なまでの跳躍や回転が入れられていて、辟易させられるばかりでなく単調で退屈。新しく作曲されたらしい音楽もパーカッションの使い方に新味はあったが、あまり印象に残らない。
きっと熊川哲也が踊ったら凄いだろうなという振付も普通のダンサーに踊られると背伸びした無理矢理な感じが見えてしまって居心地が悪かった。
『クレオパトラ』第1幕。熊川哲也の新作バレエだけあって覚悟はしていたが跳躍や回転をこれでもかと詰め込んで落ち着かない舞台。観客の好みに合わせたのかリトル熊川みたいなダンサーが暴れまくる印象。色々やる割には単調で退屈。中村祥子のクレオパトラは魔性の女を演じて存在感抜群が救い。
『クレオパトラ』第2幕。政治劇&愛憎劇で格調高く終わるはずもなく、相変わらずの跳んだり回ったりで深みは皆無。もっぱら中村祥子と昨年「リトル・ダンサー」に出ていた栗山 廉を観る事に専念。観客はカーテンコールに登場の熊川哲也に一番反応していた。正直だ。本当に抜け殻みたい何もないバレエだった。
これまで有名作品を熊川版として改訂演出してきた熊川哲也だが、全く何もないところから作品を作り上げたのは『クレオパトラ』が初めてだったらしい。台本、音楽、舞台美術、照明、衣裳を一から作り上げる労力、資金と大変に違いないのだが、完成した作品は残念な結果に終わった。男性ダンサーに超絶技巧を盛りに盛った振付を施しているのだが、エンターテイメントではあっても芸術とは言い難いものだった。ある程度予想はしていたが。
海外で長く活躍し、日本人離れしたプロポーションとテクニックを持つ中村祥子と、昨年上演されたミュージカル『リトル・ダンサー』にオールダー・ビリーで出演していた栗山 廉を観るために出かけたのである。
『クレオパトラ』という語感から、豪華絢爛な歴史絵巻、例えばハリウッド映画ばりの合戦場面などを想像していたが、舞台は至ってシンプルな装置。真ん中から分かれる大階段に一番お金が掛かっていたかも。衣裳も地味目で華やかさはあまりなかった。
政治的な陰謀と愛憎劇が中心で派手さは極力抑えられていた。むしろ振付は例によって過剰なまでの跳躍や回転が入れられていて、辟易させられるばかりでなく単調で退屈。新しく作曲されたらしい音楽もパーカッションの使い方に新味はあったが、あまり印象に残らない。
きっと熊川哲也が踊ったら凄いだろうなという振付も普通のダンサーに踊られると背伸びした無理矢理な感じが見えてしまって居心地が悪かった。
『クレオパトラ』第1幕。熊川哲也の新作バレエだけあって覚悟はしていたが跳躍や回転をこれでもかと詰め込んで落ち着かない舞台。観客の好みに合わせたのかリトル熊川みたいなダンサーが暴れまくる印象。色々やる割には単調で退屈。中村祥子のクレオパトラは魔性の女を演じて存在感抜群が救い。
『クレオパトラ』第2幕。政治劇&愛憎劇で格調高く終わるはずもなく、相変わらずの跳んだり回ったりで深みは皆無。もっぱら中村祥子と昨年「リトル・ダンサー」に出ていた栗山 廉を観る事に専念。観客はカーテンコールに登場の熊川哲也に一番反応していた。正直だ。本当に抜け殻みたい何もないバレエだった。