詩はここにある(櫻井洋司の観劇日記)

日々、観た舞台の感想。ときにはエッセイなども。

七月大歌舞伎 第1部『三代猿之助四十八撰の内 當世流小栗判官』

2022-07-20 21:33:34 | 日記
『通し狂言 當世流小栗判官』の現・猿翁の初演の初日を観ている。今回はコロナ禍で時間制約のある中で見せ場だけの寄せ集め。こんなに短くても楽しめるなら、あの初日に延々と上演し続けたのは何だったのかという思いはある。

『小栗判官』序幕。時間短縮が至上命令とはいえ約20分で終わってしまうとは。碁盤乗りを見せるだけに終わってしまった。基礎体力が低下しているのか覇気のない馬でなんとか事故のないようにと祈り続ける。全く絵面に決められなかった馬の脚のぶら下がりぶりに落胆。猿之助の輝きだけが救いだった。

『小栗判官』二幕目。巳之助の橋蔵は現代風にUpdate。面白いけれどコロナ禍ゆえ大笑いはできない。猿之助の浪七が岩組の上での切腹からの流れる大量の血潮。幕切れの逆落としまで初演した現猿翁の記憶が蘇った。観客に驚きを与え楽しませようとした精神は今も生きている。猿之助が先代に似せてきているのも良い。

『小栗判官』大詰。哀れさから嫉妬へ右近のお駒が出番は短いが強烈な印象。白馬にまたがる宙乗りが一番の見せ場だが酷暑の中での雪景色はご馳走。最高齢の寿猿と最年少の眞秀君にも芝居らしい活躍の場があって楽しめた。大勢役者が出ていた気がしたが幕切れでの一座の少数精鋭ぶりに驚いた。

三代猿之助四十八撰の内
  通し狂言 當世流小栗判官
    市川猿之助 市川笑也
    天馬にて宙乗り相勤め申し候


小栗判官/浪七 猿之助
照手姫 笑也
矢橋の橋蔵/横山太郎 巳之助
万屋娘お駒/岡村采女之助 尾上右近
横山三郎 男寅
遊行上人弟子一眞 寺嶋眞秀
横山次郎 青虎
横山太郎妻浅香 梅花
旅女房およし 寿猿
後家お槙 笑三郎
横山大膳 猿弥
鬼瓦の胴八 男女蔵
浪七女房お藤/上杉安房守 門之助
遊行上人 歌六

三代猿之助四十八撰の内
當世流小栗判官
序幕・二幕目 11:00-12:17

幕間 30分

三代猿之助四十八撰の内
當世流小栗判官
大詰12:47-13:40

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