詩はここにある(櫻井洋司の観劇日記)

日々、観た舞台の感想。ときにはエッセイなども。

英国ロイヤル・バレエガラ Aプロ 2022年7月14日 オーチャードホール

2022-07-15 09:37:24 | 日記
夏によく開催されるスターダンサーを集めたグループ公演英国ロイヤル・バレエ団からプリンシパルを中心にした選りすぐりのダンサーが来日し芸術監督のケヴィン・オヘアも来日して監修するというもの。音楽は一部のオーケストラピットに置かれた2台のピアノの生演奏の他は基本録音。PAの再生装置よりも原盤の音楽のクオリティが低くて聴くに耐えないもので閉口しました。あと場内の避難誘導灯は消されないままで蛍光灯色の光を浴びながらのバレエ鑑賞でこれも減点。

3演目に出演して大活躍のサラ・ラム、人気実力ともにトップクラスのマリアネラ・ヌニェスが観られたのが何よりでした。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ「明日」振付:ウェイン・マクレガー音楽:リヒャルト・シュトラウス。フランチェスカ・ヘイワード、セザール・コラレス。希望を綴る詩が流れて男は柔軟な身体を駆使して女に寄り添う。そして訪れる二人の幸福な時間。美しく静かで雄弁なバレエは愛を語る肉体となりました。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ「ジゼル」より第2幕のパ・ド・ドゥ。サラ・ラム、マルセリーノ・サンベ。アルブレヒトがジゼルの背中に添えた手には愛があった。でも彼女は生命を感じさせないまま踊り続ける。残酷なすれ違いが続いて悲しみがますばかり。結ばれないまま別れの余韻を残して幕となりました。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。
「ル・パルク」振付:アンジュラン・プレルジョカージュ音楽:モーツァルト。ヤスミン・ナグディ、リース・クラーク。女は心を病むほどに愛しているのか。熱い想いを隠そうともしないで男の身体に絡みつく。愛の形は様々だが狂おしいまでの想いを男は受け止めただろうか。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。「アポロ」よりパ・ド・ドゥ振付:ジョージ・バランシン音楽:ストラヴィンスキー。マリアネラ・ヌニェス、平野亮一。この振付家らしく端正で美しいバレエ。清潔で理想的な愛を描いたのだろう。二人の身体が重なりあって人間ではない何かに生まれ変わったように思った。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉「白鳥の湖」より第2幕のパ・ド・ドゥ。佐々木万璃子、ウィリアム・ブレイスウェル。ローレン・カスバートソンが来日不可能となりファーストアーティストの佐々木万璃子が代役。生演奏ではないので劇的で繊細な表現が厳しくて観ているのが辛くなった。バレエは生オケに限るなあ。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ振付:ケネス・マクミラン音楽:プロコフィエフ。高田 茜、アレクサンダー・キャンベル。バルコニーの上と下で無言で見つめあう二人に永遠の愛の姿を見た。あとの踊りはオマケのようなもので大満足するとは不思議だ。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。「コンチェルト」より第2楽章のパ・ド・ドゥ振付:ケネス・マクミラン音楽:ショスタコーヴィッチ。サラ・ラムはピアノの生演奏に乗せて自由に踊る。手先から足の先まで全く隙がない完璧な美しさを持つダンサー。平野亮一はサポートに徹していて見せ場は少ないが好感。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。
「マノン」より第1幕(寝室)のパ・ド・ドゥ振付:ケネス・マクミラン音楽:マスネ。フランチェスカ・ヘイワード、アレクサンダー・キャンベル。ドラマチックなバレエだけに生演奏でないのは作品の価値を損ねると思う。踊らされた二人は気の毒という他はなかった。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。「精霊の踊り」振付:フレデリック・アシュトン音楽:グルック。ウィリアム・ブレイスウェル。珍しく男性のソロ作品。男らしい力強さの中に優美さもあってバレエに求められるものを体現したような踊りだった。一瞬女性が踊っているかと錯覚させられて面白がって観た。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。「海賊」よりパ・ド・ドゥ。ヤスミン・ナグディ、セザール・コラレス。これでもかという超絶技巧の大盛り大会。高く長く跳びクルクルといつまでも回転する。本当はもっと出来る人達なのだろうけれど下品になる一歩手前で踏み止まったのはロイヤルの看板のためなのか。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。「ジュエルズ」より"ルビー"振付:ジョージ・バランシン音楽:ストラヴィンスキー。高田 茜、マルセリーノ・サンベ。スピード感とユーモアが溢れていて踊る楽しさが客席まで伝わってくるバレエ。最初に滑ってヒヤリとさせたが最後まで余裕で踊りきって安堵させた。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。「インフラ」よりパ・ド・ドゥ。振付:ウェイン・マクレガー音楽:マックス・リヒター。サラ・ラムは3度目の登場となった。元プリンシパルのエドワード・ワトソンが復帰して渋い色調の照明の中で踊られる大人のバレエ。地味だけれど技巧も表現力も必要だが万全な二人だった。

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉Aプロ。「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」振付:ジョージ・バランシン音楽:チャイコフスキー。最後を飾るに相応しいマリアネラ・ヌニェスとリース・クラーク。超絶技巧を次々と繰り出し驚かせるけれどバレエへの愛が満ちあふれていた。カーテンコールも同様に見事な演出。それぞれ得意な振付で踊るけれど著作権はクリアしているのだろうか?

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉7月14日(木)のキャスト

【Aプログラム】
                            

「明日」

振付:ウェイン・マクレガー
音楽:リヒャルト・シュトラウス

フランチェスカ・ヘイワード、セザール・コラレス
(下部に歌詞の和訳掲載)


「ジゼル」より第2幕のパ・ド・ドゥ

振付:マリウス・プティパ(ジャン・コラーリ、ジュール・ペローに基づく)
音楽:アドルフ・アダン

サラ・ラム、マルセリーノ・サンベ


「ル・パルク」

振付:アンジュラン・プレルジョカージュ
音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

ヤスミン・ナグディ、リース・クラーク  ピアノ:ロバート・クラーク、ケイト・シップウェイ


「アポロ」よりパ・ド・ドゥ

振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

マリアネラ・ヌニェス、平野亮一


「白鳥の湖」より第2幕のパ・ド・ドゥ

振付:レフ・イワーノフ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー

佐々木万璃子、ウィリアム・ブレイスウェル


「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

高田 茜、アレクサンダー・キャンベル


≪休憩≫


「コンチェルト」より第2楽章のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン
音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィッチ

サラ・ラム、平野亮一  ピアノ:ケイト・シップウェイ、ロバート・クラーク


「マノン」より第1幕(寝室)のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ

フランチェスカ・ヘイワード、アレクサンダー・キャンベル


「精霊の踊り」

振付:フレデリック・アシュトン
音楽:クリストフ・ヴィリバルト・グルック

ウィリアム・ブレイスウェル


「海賊」よりパ・ド・ドゥ

振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ、ルドヴィク・ミンクス

ヤスミン・ナグディ、セザール・コラレス


「ジュエルズ」より"ルビー"

振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
高田 茜、マルセリーノ・サンベ  ピアノ:ロバート・クラーク、ケイト・シップウェイ


「インフラ」よりパ・ド・ドゥ

振付:ウェイン・マクレガー
音楽:マックス・リヒター

サラ・ラム、エドワード・ワトソン


「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・チャイコフスキー

マリアネラ・ヌニェス、リース・クラーク


※出演者、演目が当初の発表より変更になっております。


◆上演時間◆

第1部  18:30~19:30
休憩  20分
第2部  19:50~20:55


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