さて、夢のようなバラ園を南に、わが国のプリンスを探しましょう。
須磨は在原行平が蟄居した場所です。
別の歴史の先生に聞いた話ですが、平安時代には、女性関係でヘマをした時、須磨へ流されるというのが一般的であったようです。
「源氏物語」で光源氏が自主的に須磨へやってくるのも「女性問題」があったからですね。
ヘマした行平が寂しく侘しく月を愛でた場所こそ「月見山」です。
その復元場所が園内にあります。傘亭というあずまやと石灯籠があり、ここでは昭和天皇、そして母君の貞明皇后もご散策なさったようです。
数多くの伝承でこの地に縁ある松の木は「須磨区の木」にも指定されています。松風・村雨堂も近くにありますからね。
月見台からは比較的眺望が良く、広範囲に海原を見渡せます。
しかし、高層建築が多くてホントに視界が悪いです。海辺の高層マンションに住む人たちは日々恵まれた景色を目にするのでしょうが、国民の公園となった離宮からの眺めがこれでは恥ずかしいかぎりです。
外国と比べ、日本はその土地全体の歴史的景観をほぼ考えない国だと言えるでしょう。奈良、京都、鎌倉等等・・・きっと有名な町々も地元の方々の理解と協力があってこそ、歴史的景観の現存が成立しているのでしょう。公的な指定ができないものでしょうか。
栗林公園を思いだしました。写真スポットで撮影すると高層ビルが写りますので、とても残念でした。
大都市部で高層マンションに住むのはよいでしょう、既に自然の風景はないのだから。
神戸のような地方都市の歴史的景観が問題なのです。
月見山、離宮道、塩屋・・・万葉の時代から海原を見渡す景観は、高層マンションによって奪われました。栗林公園しかり、中規模な都市部では絶対にしてはいけないことがあると思うのです。
須磨観光ハウスと「花月」を守りたい理由の一つがここにあります。
最後に残った「古代からの須磨の景観」が視界いっぱいに眺められる場所は、もうあそこにしかありません。
皆さんもどうか、須磨観光ハウス「花月」を守り、須磨の原風景を守りぬくことに共感してください。
(続きます)
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