花師のここだけの話し

花師がお届けする熱い想い。気ままに気まぐれに、ぼちぼち更新。ええ塩梅でお届けします。

ブルーレースフラワーの想い出

2007-05-20 18:52:25 | Weblog
いつもいつも、花とは全く関係のない無駄話を、好き放題に書き殴っておりますが、母の日も過ぎて、少々時間にゆとりのあるこの時期に、花師の思い出の花なんかをご紹介しようかな?なんて、ちょっと可愛らしく思っております。
その第1弾がこの花!ブルーレースフラワーです。

今から遡る事15年ほど前。
バブル崩壊後に、自営業である花の世界に足を突っ込んだ花師。
初めは親の真似をしてたんですが、なんだか決まったレールに乗るのが嫌になり、独自のスタイルを模索し始めるちょっと前、親の知り合いの花屋さんに勉強に行く事になる。

そこで師匠に出会うわけなんやけど・・・
この師匠ってのが何も教えてくれない。
正確には教えてくれてるんやろうけど、言葉が足りない、気が短いときてるから、
すぐに出る言葉は・・・

「おまえ~!こんなんもわからんのか!」

すべてはこの言葉で片付けられる。
だから質問なんかした日にゃ~、まともに答えなんか返って来る訳がない。
どうしたもんかと考えた結果、お調子者の師匠を、おだてて調子に乗らせて、自慢げに話させる方法に打って出た!
それで技術を着々と習得!
花束の基本スパイラルや、アレンジやラッピングなど、表面上のテクニックを得たものの・・・
花の名前ばっかりは、幾らおだてても、ズバリ聞くしか方法はない。

師匠の店のショーケースには、見たこともない花がズラリ!
一つ二つならともかく、見たこともないだらけの花の名前なんて、恐ろしくて聞けたもんやない。
そこで思いついたのが、ゴミ箱に捨てられるような花を、そっとポケットに入れて持って返って、それを親に仕入れてきてもらう方法!
これは我ながらええアイディアと喜ぶものの・・・
世間はそんなに甘くない。

家に返って花を渡して、「これ今度買って来てくれへんかな?」と差し出す。
返ってくる言葉は・・・なし。
そう・・・無言。
確かに当時の花師の店は、洒落た花なんて置いてなかった。
当然、必要でない花なんて買って来てくれるわけがない。
今振り返ってみると・・・親父は知らんかった可能性が大きい!
ここで壁にぶち当たって、諦めても前には進めない。
そこで考えたのが・・・自分で仕入れに行く!

親父の車に便乗して、初めての仕入れ。
事前にポケットに仕込んでいた花を市場で見せる。
「すみませんこの花下さい」
無知と言うのは恐ろしく強い!恥なんてお構いなし!
聞かれた方も、ただただ驚くばかり。
数年後聞いた話しでは、市場始まって依頼の事やったらしい。

その時、掌の中でくしゃくしゃになっていた花がこれ
「スカビオサ」
師匠の店で並んであった、青い不思議な形の花。
手にした時の感動は、今でも忘れられない。
ここで話しが終ったら、なんともええ話しで終るんやけど
まだまだ続きが待っている。

当時の市場は、自分で買った花の名前を、伝票を書く人に伝えなくてはならないシステム。
当然、グリーンボーイ(新人)の花師が、花の名前なんて知るわけもない。
「え~っと・・・なんて名前ですか?」と、明らかに年下のアルバイトさんに尋ねる。
「えっ!花の名前も知りませんの?花屋の息子やのに?」と冷たい視線。
「置いといてっ!勝手にするから。この忙しいのに・・・」などと怒られる始末。
幾ら年齢では上でも、この世界では1年生。
知らないものは馬鹿にされるのが当然と思い、その時を境に憶えた憶えた!
市場でもわからない名前の花がある。
そんな花の名前でも、パシッと!言い当ててやるまでに・・・時間は結構掛かった。残念!

あのアルバイトのおかげか、それとも師匠のおかげか?
今になってはどうでもいいことやけど、とにかく必死に追いつく為に、怒りのパワーを与えてくれたことに感謝!やね。
今来てる弟子に、自分がしてきたことをなぞれとは言わない。
人それぞれに方法があるからだ。
ただ・・・ブルーレースフラワーを何年ぶりかに仕入れて、ふとあの頃をセンチメンタルな気分で想い出したから、昔を懐かしんで書いてみた。

昔を懐かしむなんて・・・
やっぱり年を取った証拠。

思えば遠くへ来たもんだ・・・である。

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