花餅屋廼徒然書附帖

歌舞伎の世界に魅入られた男の、余りにも刺激的でグダグダ過ぎる日々…

『當る亥年 吉例顔見世興行 十八代目中村勘三郎襲名披露』其の壱 昼の部(上)

2006年12月10日 23時44分43秒 | 徒然に歌舞伎噺なと…
今年の歌舞伎見納めです…『吉例顔見世興行』南座へ向かいました。
たぶん…今年初めての南座か???
まぁ、南座自体…歌舞伎の本興行って顔見世しかない年って結構と多いですものね…(涙)
昨日まで雨で…今日はどうなるだろうか???と心配していましたが、お天気も良く…左程寒くもなく…いい気分での上洛です…。

十時での待ち合わせでしたが…些か早く京阪四条駅に到着。
で、ウロウロと徘徊す…またかよ?
お土産屋さんとかが入っている北座の方まで行ってみて…南座を見る…上に上がればいいものだが…時間がなく…いや、めんどい(汗)。
結構といい眺めだよ♪とか言いながら…待ち合わせ場所の四条通を挟んだ南座の反対側のバス停で庵看板の上がる南座を眺める…。

そうこうする内に…昼の部から同行の燃えるお能の人と、合流す…。
今回の昼の部は…三階です。
一応…二等のAですが…(汗)三階の正面1列の24番…取り敢えず良い席です♪うん。
天井が近い…(汗)

番附を見ながら…キョロキョロとしていましたら…!
襲名の祝幕が中村座なんですよね…♪
で、今回の演目が金看板に其々に描かれていて…印刷の勘亭流って言うのは…チト(汗)
でも、趣がありますよね…。

しかし…あれあれ???幕が引かれる…あぁ、定式幕に入れ替わるんだよね。
襲名幕は襲名披露狂言か口上の時に引かれるから…。
あれ?

チト、違った色合いの定式幕に…?
あぁっ!中村座の定式幕ですね!!江戸三座は其々に定式幕の色の組み合わせが違っていたそうで…中村座の定式幕は下手より白・柿・黒となっています。
因みに、歌舞伎座は森田座の定式幕、国立劇場は市村座の定式幕…らしい。
じゃぁ、松竹座と南座は?…また今度(滝汗)

昼の部の演目一番目は『猿若江戸の初櫓』から始まります…。
中村勘三郎家の由来と言うか…江戸歌舞伎はそもそも…と言った感じの舞踊劇です。
京の都で人気を博した歌舞伎踊りの出雲阿国と猿若の二人が一座を引き連れて、お江戸に下ってきたことから話が始まる…。
阿国役の七之助丈と猿若役の勘太郎丈…兄弟揃って花道七三辺りでの舞…いいものです。
思っていたよりも美しいものですよ♪
舞台には蓬莱山の作り物が…不思議がるお二人さん…其処に登場するのが福富屋の夫婦…愛之助丈に吉弥丈…。
乱暴狼藉の者によって、江戸城への献上の蓬莱山が届けられないと言う。
で…猿若思いついて一座の者を呼び寄せて、此の蓬莱山を曳かせたのだった…。
親切ですね…。ハイ。
其処に現れたのが…お奉行の板倉殿…弥十郎丈…此の様子を見て猿若の機転を褒め称える。
すると…猿若と阿国が江戸のでの歌舞伎踊りの興行の場所を探しているとの由…其の候補の地が…何と板倉殿の所領だとは…!
勿論のことお奉行は、其の地での興行を許し、福富屋に芝居小屋の普請を命じるのであった。
それを聞いた猿若と阿国は踊らんばかりに喜ぶ。
そして其の返礼にと舞を披露するのであった…。
話は単純なものです…。
江戸歌舞伎発祥の謂れを…中村屋のそもそもの謂れを舞踊化したもので…猿若舞を演じていた猿若のことですので…でも些か踊りが軽く見えてしまったね。
優雅な踊りと言うよりは…滑稽な軽妙な踊りですね…猿若舞。
男装をした歌舞伎踊りで有名となった阿国の方が、女らしい舞を披露していたのも…疑問が残ったが…七之助さんが、こんなに綺麗に舞うのには感心しましたね。
それ以上に、勘太郎さんの猿若舞は…よかったです。確りとした足腰で…力強く、また軽妙に…お目出度い雰囲気の中に幕です…。

次の演目は『寿曽我対面』です。
顔見世らしくお目出度い演目です。
曽我物の中でも一番ポピュラーな演目ではないでしょうか?
上方勢によるキャストで…楽しみです♪
先ずは工藤館に招かれた大名たちが烏帽子大紋姿で館前でぼやいています…まぁ、よくあることです…家に入る前に玄関先でウダウダと愚痴のこぼしあい(汗)で、皆揃ってから一緒に入ると…今も昔も変わらないか???
大名の中に、上方若衆の千次郎さんに佑次郎さん…名題役者さんたちに負けじと頑張っておられますね~!
舞台は…揚障子が上がり…其処には居並ぶ面々。
其々に祝いの言葉を述べ合っているとぉ…。
工藤祐経に設けの席にどうぞ♪と皆さん促す。
で…工藤、皆の勧めに応じて設けの席(高座)に移る…。
普通此処で座頭格の工藤役の役者は、座敷から高座への移動の際に芝居小屋の象徴の櫓に一礼をするといった儀式性の高い面が見受けられる。
今回は、我當さんが工藤役。
座敷から降りて来て…先ずは客席に向かって座礼をされました…で、
『高座に移りますこと、御免蒙ります…』
と申されて…其のまま静々と…高座に上がられまいした…。
続いて…小林妹舞鶴…秀太郎さんです。
以前にも顔見世で『対面』を観た時も秀太郎さんの舞鶴でしたが…其の時に、座敷から降りて来て…客席に向かって、掛け素襖の広袖を大きく広げて会釈されたのを覚えています。
其の後…『上方歌舞伎会』で此の『対面』が出されるときは必ずと言っていいほど小林朝比奈ではなく舞鶴で…座敷から降りて来たら同じように両手を広げて会釈されていました…秀太郎さんの指導の許に皆さん演じてるんだなぁ…と思っていました。また秀太郎さんのそう言った愛嬌のあるところが好きなんですよね。
しかし…今日は、何故か…其のまま…舞鶴の位置に向かわれましたよ???
うぅぅぅぅん?悩む??
続々と降りて来る…大磯の虎(扇雀)に化粧坂の少将(孝太郎)…。
難なく…綺麗に…。
舞鶴が工藤の許しを得て、次の間に控える若者を呼び出す…。
さて…花道を出て来るお二人さん…。
流石に三階からだと観辛いものがある…。
ゆったりと歩んで来る十郎の翫雀さんに、バタバタバタと力んでの登場は五郎役の橋之助さん…。
一斉に
成駒屋~っ!
掛け声が掛かるが…お二人とも成駒屋さんなんで…(汗)
ドウなんでしょうか?東西の成駒屋…ははは♪
翫雀さんは上方の役者として柔らかい雰囲気が常にあって、十郎を演じるのは何ら抵抗感はないのですが…。
橋之助さんは線が細いイメージが私にはあって…五郎?って感じが強いです。
まぁ…私が見たことない舞台では荒事と言うか…骨太の役もされておられるので…でも、ピンと来ないなぁ(汗)
あまり成駒屋自体が…荒事って感じの家じゃぁないものねぇ…歌右衛門、芝翫、福助…今は女方の家ってイメージが強い。
さて、此処で二人が手にしている島台ですが…どんな飾り物なのか???
儀式性の強い此の演目…全てに渡って祝儀の事で埋め尽くされています。
で…此の二人の持つ島台も、江戸三座で其々飾り物が違っていたらしい…。
でも…見え辛いなぁ…やはり、勘三郎丈の襲名披露興行なので、中村座での飾り物を乗せた島台なんでしょうか…?
あぁ…不覚でした(涙)
此の演目は儀式性の高い面もあり、また歌舞伎のあらゆる役柄の揃った演目でもあります…。
此れこそ、ジスイズ歌舞伎です。はいな。
座頭格:工藤…我當さん。
和事役者:十郎…翫雀さん。
荒事役者:五郎…橋之助さん。
立女方:虎…扇雀さん。
若女方:少将…孝太郎さん。
半道化の大役:舞鶴…秀太郎さん。
実事役者:鬼王…進之介さん。
敵役の二番手役者:近江…亀鶴さん。
花形の二番手役者:八幡…薪車さん。
いやぁ…思いっきり、スッキリとしますね。
上手いこと座組を考えて…上方勢も幅が広くなってきましたねぇ(嬉涙)
少し…?と言ったところもありますが…適材適所と言うべきか…?
でも、十分に楽しめる内容の『対面』でした。
我當さんも、落ち着いて…顔見世では十三代仁左衛門さんの工藤のイメージが強いと聞きます…。
しかし、今回大きな工藤を演じられたのは我當さん。
どっしりとして、敵役ながらも慈悲深い…いい役を魅せて頂きました。
秀太郎さんは、文句なし…ご自分のキャラで、自在に舞鶴を演じてられるって感じが…。
三階から観ていた所為もあってか…オペラグラスで彼方此方と…見ていまして…。
上から見ると、下から見えないものも見えて…いろんな意味で楽しめました。
十郎、五郎の両成駒屋は若さが前面に出ていたので、其の点は良かったように思えます。
動きもテキパキと…長袴の捌きも上手で…こう言った動きは橋之助さんは見事ですね。
翫雀さんのやんわりとした…十郎も、分別を弁えた兄を演じる…いいですね。
虎にしても少将にしても、此の演目の中ではあまり動きが無く、気品を保つのが…使命でしょうね。
演技よりも、立女方としての使命…かな?でも、扇雀さんと言うのも…わかるような…わからないような…(汗)

中弛みが少しありましたが…まぁ、楽しめました…。
最後に、皆さん見得を切って…あぁ!歌舞伎らしくイイ感じですっ!!
歌舞伎はこうでなくきゃ!

さて…此処で長めの幕間の突入です…で、昼の部は後半に続く…(汗)



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2 Comments

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わーい♪ (ちゃくら)
2006-12-16 00:26:50
アップ待ってましたぁ!さーすーが!

細部に渡ってしっかりご覧になってて、毎度のことながら感激します。

いろいろ事前に聞いとけば良かったなーとも思いつつ。

続き楽しみにしてます(≧ω≦)b
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わ~い♪わ~い! (太夫元)
2006-12-16 00:41:26
ちゃくらさん、こんばんは。

>アップ待ってましたぁ!さーすーが!

ですか?本人的には中途半端ですが…(汗)
これ以上長くなってしまえば…とも思って(滝汗)

>細部に渡ってしっかりご覧になってて、毎度のことながら感激します。

イヤイヤ…三階からだと…全体像が見えますが…見下ろすのはチト不器用で…其のまま舟を漕ぎ出すか?>ヲイ!

>いろいろ事前に聞いとけば良かったなーとも思いつつ。
>続き楽しみにしてます(≧ω≦)b

今回は、幕間に意見交換が余り出来ませんでしたね…次回はそういった所にも重点を置いて…何時やねん?
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