幕間でゆったりと…だべって…と言うか病気の話題で盛り上がる…おかしな病人二人です(汗)
さて…此の後に出されるのは『伽羅先代萩』です…半通しだそうで…と言っても、わからない。
此の演目は一回しか観たことが無く…しかも、『御殿』と『床下』の連続する場しか観たことがありません…。
今回は…半通しと言うことで…大阪では久し振りの上演だとも聞きます、楽しみです♪
前回同様に政岡は藤十郎さんですが…流石はと…魅せてくれますでしょうね…楽しみ楽しみ…♪
席に着く…今回の席は7列の11番…歌舞伎座では『と』『ち』『り』の席がイイとよく聞きますが…ちょうど、『と』に当たるのが7列ですね…いい席なんでしょう…そう思っての観劇ですが…前の人の頭が大きい…前途多難だよ(苦笑)
/…//………………。
『伽羅先代萩』(めいぼくせんだいはぎ)
将軍家綱の時代にあった仙台藩のお家騒動、『伊達騒動』を元にしたお話です…。
時代物ですね…さてさて…半通しですので、サッサと参りましょうか…無理か?
『花水橋』
話の発端と言うか…お家騒動の元凶と言うか…まぁ、遊蕩三昧の御大尽、実は大名です。
だんまりのような様相です。
手探りで…頼兼と彼の命を狙う者たち…しかし、命を狙われているはずの頼兼は泰然として…。
何もせずして…刺客の方が勝手に倒れていると言うか…オーラに圧されていると言うべきか???
で、頼兼の菊之助丈ですが…優雅さが出ていて…何処と無く気品も漂う…色男。
しかし、幾らお大名でも…遊蕩三昧ではねぇ…しかもあの派手派手な出で立ちは…やはり、『伊達男』の名前の由来となるお方ですね…(汗)
…あれっ?刺客の一人が…頼兼の下駄を手に取って…匂いを嗅いでいる…???
何だありゃ?こう言ったフェチか?←コラッ!
此れが、此の外題とも成っている由縁の伽羅…。
将軍家より拝領したとか言う伽羅の香木から作った下駄…。
なんて、無意味と言うか…贅沢と言うか…白檀なら兎も角、伽羅でしょう?
高いよ…ホンマ、伽羅って少しだけでも…諭吉さん飛んで行くもの…(苦笑)
仙台のお殿様が伽羅で下駄を拵えて…宮城野のお花が萩と来ると言っちゃぁ…あんたっ!
『伽羅先代萩』って…ホンマ、嫌味と言うか…何でしょう?
皆バレバレの何処の何を揶揄しているのかが…わかるんですよね。
さて…其処へ遣って来たのがお抱えの相撲取り…此処が可笑しいんだがお大名のお抱えって…まぁ、遊蕩三昧の大名なら致し方ないか?…絹川谷蔵、愛之助丈ですが…何を遣ってもカッコいいねぇ…ホンマ。
刺客を打ちのめして…ハイ、夜が明ける?
ホンマ…でも、あんた…チャンとしぃや!と言いたくなるような、放蕩大名です。
其のまま、ゆらりゆらりと…悠然と谷蔵の進言に従って立ち去るって…ホンマ、苦労知らずですな…当たり前か?大名だから…。
………………。
通常の通しならば此処で『竹の間』が入るらしいが…私は観たことが無いので…わからない(汗)聴けば…台詞劇らしい…まぁ、先程の『血判取』も台詞劇だから…続いてあると重苦しいですなぁ。
で、飛ばした…?違うでしょう?まぁ…此の次の『御殿』に続く導入部らしいから、本来はあった方がよりわかりやすいのかもしれませんが…またの機会です…。
『御殿』
此の場面は…子役以外は全て女性が登場人物です。
と言いましても、歌舞伎は全て男が演じているのですが…で、意外と子役は女の子が多いのですよね…(汗)
……………。
此の場面も最初は子役にやられています…若君鶴千代と政岡の子の千松の可愛らしい台詞の応酬…其れを二人の間で聴いている乳人政岡…藤十郎丈…安心して観ていますよ…。
此の子役さんたちも、まぁ…意味はわからないかもしれませんが難しい台詞をよくぞ覚えていますねぇ…関心ですよ…あたしゃ絶対無理…ついさっきの事でも忘れるのに…大丈夫か?
子供たちが余程お腹を空かしているのでしょうね…政岡が食事の用意をと言うと…侍女が栄御前の来訪を伝えて…あれれ?
『飯炊き』の場面が無いよ…此処を省略したみたいですね…結構と此の場面長いし…ダレルか?でも子供たちが入れ替わり立ち代わりと政岡の様子を覗き見したり、雀の唄など可愛らしい演出があるのですが…。
で、此処で恐らく寝落ちすると踏んでいた…コラッ!
管領夫人の栄御前(秀太郎丈)が鶴千代の病気見舞いと称して…遣って来る。
其れを出迎えるとの事で…八汐(仁左衛門丈)、沖の井(魁春丈)、松島(孝太郎丈)の片はずしの三人がゾロゾロゾロと…侍女を引き連れて…。
しかし…此のお三人さんの片はずしの簪ですが、皆さんご自身の紋をあしらっていて、スゴイですよね…特に八汐の仁左衛門さん…きらりと『七ツ割丸に二引紋』の簪が光っていますよ…♪
で、…もちろん、花道を渡って来る栄御前も前後に侍女に足元を照らされながらも…おぉっ!
千壽郎さんにりき彌さんと…秀太郎一門が侍女ですね…納得です。
あと…お二人何方だったっけ?…スミマセン(滝汗)
一生懸命観ていたら…わけわからんようになる…ははは(涙)
さて…遣って来た栄御前…まぁ、上座と言うか…何なんでしょう?上座でしょうね…(汗)
蔓桶に腰掛ける…まぁ畳に直に座らない…此の時代は正座と言うモノがなかった筈で…でも、他の人は正座しているか…(汗)
まぁ、高貴なお方と言う御簾中様と言う意味でしょうね…でも、蔓桶って…其れこそ能、狂言って感じ…松羽目物…変に広がる我が頭脳…(違)
此の場では八汐の凄みがスゴイですね…私は仁左衛門さんの八汐を観るのは初めてで…こう言ったお役は女方よりも、立役の方が遣った方がイイのかも…?
さて…栄御前からのお見舞いの品…管領家からのお菓子…結構上等そうに見えます(汗)…鶴千代に勧めるが…流石に政岡に言い聞かされているので、手に取って食べない…本当は食べたいのに…折角のご飯もお預けになったのだから…。
『飯炊き』を省略したから…(違)
其処へ千松が走りよって此の菓子を頬張って、其の上に件の菓子折りを蹴散らかすのだ…スゴイことですよ…無礼千万と言われても致し方ない所業です…。
しかし、其の菓子を口にした千松は突然苦しみ出し…やはり、毒饅頭だったのかっ!
其の千松をすかさずとっ捕まえて、懐剣で咽喉元をグサリと…鬼の形相の八汐っ!
一気に御殿内は気色ばみ…懐剣に手を遣る沖の井に松島…政岡は先ずは若君大事と控えの自室に鶴千代を押し留め…障子をピタリと閉めて柱にて微動だにせぬ…。
ただ、其の視線の先には八汐と我が子、千松っ!
此の藤十郎さんの政岡の型は文楽の本行から取っているものらしい…言わば上方の型らしい…。
今日よく演じられる歌右衛門型は鶴千代を引き寄せて、我が打掛の左手にて覆って庇う型を取る…。
政岡の視線の先には八汐も千松もいない…政岡は下手を見詰め、八汐は上手を見据える…。
だから…江戸の型には上手の政岡の控えの間が無い…。
しかし…政岡と八汐、藤十郎と仁左衛門…上方の両雄がスゴイはち切れんばかりのパワーを放っての大舞台ですっ!
観ているだけでも…此の緊迫感…何でしょうか…此れが此の歌舞伎の凄さですよね…柱にて立ち竦む政岡、平舞台で不敵な笑みを浮かべての八汐…其れを取り囲む沖の井と松島…更に侍女たち。
一人…蔓桶に座って…扇で顔を隠す栄御前…貴婦人は見てはならぬモノか…
ややあって…一同が退出して、舞台には政岡ただ一人…残された千松の遺体に気付き…此処でやっと我に帰る…
『でかしゃったっ!』
でかしゃった、でかしゃった…でかしゃった…
いやぁ…ホンマに、でかしゃったよ…うん。
此処で政岡…クドキになりますが…千松…よぉ、遣りおせたのぉ…(涙)
声を出して咽び泣く…政岡…。
其の場に再び八汐が現れて…政岡の命を狙うっ!
しかし、すかさず政岡に手によって討ち取られる…我が子の仇を取り、また御家に仇なす憎き八汐…最後の最後まで憎らしげに、そして討ち取られる…。
女の憎悪の渦巻く御殿です…。
そんなドタバタの最中に…一匹の鼠が走り去り、栄御前から託された悪事の証拠となる連判状を…咥え去ったのだ…。
でも…確か以前に観た時は鼠の動きがよくわかったのですが…今回は…判り辛かった。
何か、政岡に八汐、沖の井、松島…侍女などが取り込みあった後ろをスススーッッと言った感じで駆けて行くのを、ようやく見たって覚えでして…(汗)
一転暗転に…。
此処で舞台がスピーディに???チェ~ンジ!しないか?
これまた確か…以前に観た折には…『御殿』での最後の政岡と八汐の対決にケリが附くと、チョンと柝が入って其のまま舞台がせり上がって…続く『床下』に舞台転換成された覚えが…ある。
しかし…よ~く考えた、今回キャスト的に無理だわさ。
其れは…。
『床下』
一気に御殿がせり上がって…此処は鶴千代君のおわす御殿の床下。
悪事を働く者どもによって主君より遠ざけられた荒獅子男之助…何て名前だよ…が宿直をする床下…。
忍者が天井裏に忍んでいるのはわかるが…主君を守るために床下で宿直するとは…お話ですよお話。
さぁ、男之助…松緑さん…まぁ、荒事です…此処は荒事で、確りと極めて貰いましょうぞっ!
先程の鼠をとっ捕まえて、踏み付けていますよっ!
しかし…取り逃がしてしまうとは…チト、間抜けです…ヲイヲイッ!
此の鼠をされていたのは、松緑一門の…辰巳さんです…其の裏話は…此方にて。
さて…鼠ですが…花道まで逃げて来て其のままスッポンに落ちて行く~っ!
其処へ…ドロドロドロ~ッ!
出た~っ!
口に連判状を咥え、両手で印を結んだ怪しげなる男…。
花道の前後で差し出しの蝋燭の炎が揺らめく…。
仁木弾正…さっきの鼠は此の弾正が妖術にて姿を変えていたのである…。
まんまと連判状を取り戻して…不敵な笑みを浮かべる弾正…。
此の弾正こそが、御殿にて政岡と戦った八汐の兄なのであるっ!
今日は…仁左衛門さん…八汐と弾正の二役を演じているのです。
そう…幾ら早変わりでも、片はずしの女方から長裃の立役に替わるのは大変でしょう…拵えも違うし…。
舞台もせり上がって…其処から裏に廻って…拵えをして衣裳替えもして…スッポンまで降りて来るのは…至難の技ですよ。
弾正…床下の男之助に向かって小柄を投げ打ち、其のまま悠然と其の場をあとにして行くのであった…。
此の長袴の捌きはゆったりとしての歩みですが…大胆で悠然として…しかも綺麗ッ!
で、おまけに…弾正の前後の差し出しの蝋燭ですが…黒衣さんが…恐らく仁左衛門さんのお弟子さんでしょうね…差し出された蝋燭の台にも確りと、松嶋屋の紋が…印されています…あぁ、こう言った小さな所までも拘った歌舞伎って…やっぱり好きですっ!!!
そんな蝋燭の明かりに燈されて…真っ暗の中を鳥屋に向って歩む弾正…あぁ、敵ながらも…美しいよなぁ~♪
あの『御殿』から『床下』と要った全く違った場面にまで変えてしまう…歌舞伎の世界…うぅぅぅぅぅぅんっ!
あぁ…5,450文字を超してしまった…流石に長過ぎる…いたたまれなく、続く(涙)
さて…此の後に出されるのは『伽羅先代萩』です…半通しだそうで…と言っても、わからない。
此の演目は一回しか観たことが無く…しかも、『御殿』と『床下』の連続する場しか観たことがありません…。
今回は…半通しと言うことで…大阪では久し振りの上演だとも聞きます、楽しみです♪
前回同様に政岡は藤十郎さんですが…流石はと…魅せてくれますでしょうね…楽しみ楽しみ…♪
席に着く…今回の席は7列の11番…歌舞伎座では『と』『ち』『り』の席がイイとよく聞きますが…ちょうど、『と』に当たるのが7列ですね…いい席なんでしょう…そう思っての観劇ですが…前の人の頭が大きい…前途多難だよ(苦笑)
/…//………………。
『伽羅先代萩』(めいぼくせんだいはぎ)
将軍家綱の時代にあった仙台藩のお家騒動、『伊達騒動』を元にしたお話です…。
時代物ですね…さてさて…半通しですので、サッサと参りましょうか…無理か?
『花水橋』
話の発端と言うか…お家騒動の元凶と言うか…まぁ、遊蕩三昧の御大尽、実は大名です。
だんまりのような様相です。
手探りで…頼兼と彼の命を狙う者たち…しかし、命を狙われているはずの頼兼は泰然として…。
何もせずして…刺客の方が勝手に倒れていると言うか…オーラに圧されていると言うべきか???
で、頼兼の菊之助丈ですが…優雅さが出ていて…何処と無く気品も漂う…色男。
しかし、幾らお大名でも…遊蕩三昧ではねぇ…しかもあの派手派手な出で立ちは…やはり、『伊達男』の名前の由来となるお方ですね…(汗)
…あれっ?刺客の一人が…頼兼の下駄を手に取って…匂いを嗅いでいる…???
何だありゃ?こう言ったフェチか?←コラッ!
此れが、此の外題とも成っている由縁の伽羅…。
将軍家より拝領したとか言う伽羅の香木から作った下駄…。
なんて、無意味と言うか…贅沢と言うか…白檀なら兎も角、伽羅でしょう?
高いよ…ホンマ、伽羅って少しだけでも…諭吉さん飛んで行くもの…(苦笑)
仙台のお殿様が伽羅で下駄を拵えて…宮城野のお花が萩と来ると言っちゃぁ…あんたっ!
『伽羅先代萩』って…ホンマ、嫌味と言うか…何でしょう?
皆バレバレの何処の何を揶揄しているのかが…わかるんですよね。
さて…其処へ遣って来たのがお抱えの相撲取り…此処が可笑しいんだがお大名のお抱えって…まぁ、遊蕩三昧の大名なら致し方ないか?…絹川谷蔵、愛之助丈ですが…何を遣ってもカッコいいねぇ…ホンマ。
刺客を打ちのめして…ハイ、夜が明ける?
ホンマ…でも、あんた…チャンとしぃや!と言いたくなるような、放蕩大名です。
其のまま、ゆらりゆらりと…悠然と谷蔵の進言に従って立ち去るって…ホンマ、苦労知らずですな…当たり前か?大名だから…。
………………。
通常の通しならば此処で『竹の間』が入るらしいが…私は観たことが無いので…わからない(汗)聴けば…台詞劇らしい…まぁ、先程の『血判取』も台詞劇だから…続いてあると重苦しいですなぁ。
で、飛ばした…?違うでしょう?まぁ…此の次の『御殿』に続く導入部らしいから、本来はあった方がよりわかりやすいのかもしれませんが…またの機会です…。
『御殿』
此の場面は…子役以外は全て女性が登場人物です。
と言いましても、歌舞伎は全て男が演じているのですが…で、意外と子役は女の子が多いのですよね…(汗)
……………。
此の場面も最初は子役にやられています…若君鶴千代と政岡の子の千松の可愛らしい台詞の応酬…其れを二人の間で聴いている乳人政岡…藤十郎丈…安心して観ていますよ…。
此の子役さんたちも、まぁ…意味はわからないかもしれませんが難しい台詞をよくぞ覚えていますねぇ…関心ですよ…あたしゃ絶対無理…ついさっきの事でも忘れるのに…大丈夫か?
子供たちが余程お腹を空かしているのでしょうね…政岡が食事の用意をと言うと…侍女が栄御前の来訪を伝えて…あれれ?
『飯炊き』の場面が無いよ…此処を省略したみたいですね…結構と此の場面長いし…ダレルか?でも子供たちが入れ替わり立ち代わりと政岡の様子を覗き見したり、雀の唄など可愛らしい演出があるのですが…。
で、此処で恐らく寝落ちすると踏んでいた…コラッ!
管領夫人の栄御前(秀太郎丈)が鶴千代の病気見舞いと称して…遣って来る。
其れを出迎えるとの事で…八汐(仁左衛門丈)、沖の井(魁春丈)、松島(孝太郎丈)の片はずしの三人がゾロゾロゾロと…侍女を引き連れて…。
しかし…此のお三人さんの片はずしの簪ですが、皆さんご自身の紋をあしらっていて、スゴイですよね…特に八汐の仁左衛門さん…きらりと『七ツ割丸に二引紋』の簪が光っていますよ…♪
で、…もちろん、花道を渡って来る栄御前も前後に侍女に足元を照らされながらも…おぉっ!
千壽郎さんにりき彌さんと…秀太郎一門が侍女ですね…納得です。
あと…お二人何方だったっけ?…スミマセン(滝汗)
一生懸命観ていたら…わけわからんようになる…ははは(涙)
さて…遣って来た栄御前…まぁ、上座と言うか…何なんでしょう?上座でしょうね…(汗)
蔓桶に腰掛ける…まぁ畳に直に座らない…此の時代は正座と言うモノがなかった筈で…でも、他の人は正座しているか…(汗)
まぁ、高貴なお方と言う御簾中様と言う意味でしょうね…でも、蔓桶って…其れこそ能、狂言って感じ…松羽目物…変に広がる我が頭脳…(違)
此の場では八汐の凄みがスゴイですね…私は仁左衛門さんの八汐を観るのは初めてで…こう言ったお役は女方よりも、立役の方が遣った方がイイのかも…?
さて…栄御前からのお見舞いの品…管領家からのお菓子…結構上等そうに見えます(汗)…鶴千代に勧めるが…流石に政岡に言い聞かされているので、手に取って食べない…本当は食べたいのに…折角のご飯もお預けになったのだから…。
『飯炊き』を省略したから…(違)
其処へ千松が走りよって此の菓子を頬張って、其の上に件の菓子折りを蹴散らかすのだ…スゴイことですよ…無礼千万と言われても致し方ない所業です…。
しかし、其の菓子を口にした千松は突然苦しみ出し…やはり、毒饅頭だったのかっ!
其の千松をすかさずとっ捕まえて、懐剣で咽喉元をグサリと…鬼の形相の八汐っ!
一気に御殿内は気色ばみ…懐剣に手を遣る沖の井に松島…政岡は先ずは若君大事と控えの自室に鶴千代を押し留め…障子をピタリと閉めて柱にて微動だにせぬ…。
ただ、其の視線の先には八汐と我が子、千松っ!
此の藤十郎さんの政岡の型は文楽の本行から取っているものらしい…言わば上方の型らしい…。
今日よく演じられる歌右衛門型は鶴千代を引き寄せて、我が打掛の左手にて覆って庇う型を取る…。
政岡の視線の先には八汐も千松もいない…政岡は下手を見詰め、八汐は上手を見据える…。
だから…江戸の型には上手の政岡の控えの間が無い…。
しかし…政岡と八汐、藤十郎と仁左衛門…上方の両雄がスゴイはち切れんばかりのパワーを放っての大舞台ですっ!
観ているだけでも…此の緊迫感…何でしょうか…此れが此の歌舞伎の凄さですよね…柱にて立ち竦む政岡、平舞台で不敵な笑みを浮かべての八汐…其れを取り囲む沖の井と松島…更に侍女たち。
一人…蔓桶に座って…扇で顔を隠す栄御前…貴婦人は見てはならぬモノか…
ややあって…一同が退出して、舞台には政岡ただ一人…残された千松の遺体に気付き…此処でやっと我に帰る…
『でかしゃったっ!』
でかしゃった、でかしゃった…でかしゃった…
いやぁ…ホンマに、でかしゃったよ…うん。
此処で政岡…クドキになりますが…千松…よぉ、遣りおせたのぉ…(涙)
声を出して咽び泣く…政岡…。
其の場に再び八汐が現れて…政岡の命を狙うっ!
しかし、すかさず政岡に手によって討ち取られる…我が子の仇を取り、また御家に仇なす憎き八汐…最後の最後まで憎らしげに、そして討ち取られる…。
女の憎悪の渦巻く御殿です…。
そんなドタバタの最中に…一匹の鼠が走り去り、栄御前から託された悪事の証拠となる連判状を…咥え去ったのだ…。
でも…確か以前に観た時は鼠の動きがよくわかったのですが…今回は…判り辛かった。
何か、政岡に八汐、沖の井、松島…侍女などが取り込みあった後ろをスススーッッと言った感じで駆けて行くのを、ようやく見たって覚えでして…(汗)
一転暗転に…。
此処で舞台がスピーディに???チェ~ンジ!しないか?
これまた確か…以前に観た折には…『御殿』での最後の政岡と八汐の対決にケリが附くと、チョンと柝が入って其のまま舞台がせり上がって…続く『床下』に舞台転換成された覚えが…ある。
しかし…よ~く考えた、今回キャスト的に無理だわさ。
其れは…。
『床下』
一気に御殿がせり上がって…此処は鶴千代君のおわす御殿の床下。
悪事を働く者どもによって主君より遠ざけられた荒獅子男之助…何て名前だよ…が宿直をする床下…。
忍者が天井裏に忍んでいるのはわかるが…主君を守るために床下で宿直するとは…お話ですよお話。
さぁ、男之助…松緑さん…まぁ、荒事です…此処は荒事で、確りと極めて貰いましょうぞっ!
先程の鼠をとっ捕まえて、踏み付けていますよっ!
しかし…取り逃がしてしまうとは…チト、間抜けです…ヲイヲイッ!
此の鼠をされていたのは、松緑一門の…辰巳さんです…其の裏話は…此方にて。
さて…鼠ですが…花道まで逃げて来て其のままスッポンに落ちて行く~っ!
其処へ…ドロドロドロ~ッ!
出た~っ!
口に連判状を咥え、両手で印を結んだ怪しげなる男…。
花道の前後で差し出しの蝋燭の炎が揺らめく…。
仁木弾正…さっきの鼠は此の弾正が妖術にて姿を変えていたのである…。
まんまと連判状を取り戻して…不敵な笑みを浮かべる弾正…。
此の弾正こそが、御殿にて政岡と戦った八汐の兄なのであるっ!
今日は…仁左衛門さん…八汐と弾正の二役を演じているのです。
そう…幾ら早変わりでも、片はずしの女方から長裃の立役に替わるのは大変でしょう…拵えも違うし…。
舞台もせり上がって…其処から裏に廻って…拵えをして衣裳替えもして…スッポンまで降りて来るのは…至難の技ですよ。
弾正…床下の男之助に向かって小柄を投げ打ち、其のまま悠然と其の場をあとにして行くのであった…。
此の長袴の捌きはゆったりとしての歩みですが…大胆で悠然として…しかも綺麗ッ!
で、おまけに…弾正の前後の差し出しの蝋燭ですが…黒衣さんが…恐らく仁左衛門さんのお弟子さんでしょうね…差し出された蝋燭の台にも確りと、松嶋屋の紋が…印されています…あぁ、こう言った小さな所までも拘った歌舞伎って…やっぱり好きですっ!!!
そんな蝋燭の明かりに燈されて…真っ暗の中を鳥屋に向って歩む弾正…あぁ、敵ながらも…美しいよなぁ~♪
あの『御殿』から『床下』と要った全く違った場面にまで変えてしまう…歌舞伎の世界…うぅぅぅぅぅぅんっ!
あぁ…5,450文字を超してしまった…流石に長過ぎる…いたたまれなく、続く(涙)
ご無沙汰しています。
私は、先日足を骨折しましてベッドの中でございます。
荒ちゃん、床下に勤務ですか。
御徒町の由来の『御徒組』ですね。
>暑いですね。
ハイ…おもっくそ、暑いですね。
>私は、先日足を骨折しましてベッドの中でございます。
ありゃっ!其れは…如何為されたのでしょうか?
あまり無理を為さらずに…しかし、この暑い時期に…大変ですね…早くご回復の程を…。
>荒ちゃん、床下に勤務ですか。
うぅぅぅん、この場合は…勤務と言うべきか?否か?
讒言によって若君の近くから遠ざけられたと言う設定ですので…まぁ、もしもの為に自主的に隠密裏に床下にて警護と言う感じです。
其の場面のストーリーがわからないので…何とも(涙)
マダマダわからないことが多いのが…今現在の歌舞伎ですね…。